本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 1300
レビュー : 205
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313328

作品紹介・あらすじ

「生まれてきてよかったんだ、と子どもにエールを送るのが児童文学」。アニメーション界のトップランナーとして世界的に注目される著者が、長年親しんできた岩波少年文庫の中からお薦めの五〇冊を紹介。あわせて、自らの読書体験、児童文学の挿絵の魅力、そして震災後の世界についてなど、本への、子どもへの熱い思いを語る。

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら、定番どころの児童文学をあまり読んでいません。
    なので、20代になってから少しずつ岩波少年文庫や福音館書店の児童書を読み始めました。
    本書を読んで、やっぱり私、児童文学を読んでないなぁ…と実感しました。
    でも、宮崎駿監督も20代から児童文学をたくさん読んだとのこと。
    私もまだまだこれからだ!

    児童文学は「やり直しがきく話」だと、宮崎さんは仰っています。
    ちょっと自分が不安定になっているときに児童文学を読みたくなるのは、それが理由なのだと思います。
    子供も大人も関係なく、読み手を励まし、前を向いて進むパワーをくれるのです。

    『アンドルー・ラング世界童話集』に興味がわきました。
    細かいところまで書き込まれた美しい挿絵も魅力的ですが、恐ろしいものを本当に怖く描いてあるところに、怖いもの見たさの好奇心がうずきます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「児童文学は「やり直しがきく話」だと」
      良い話だ、若い人に知って貰いたいです(因みに私は、岩波少年文庫2冊買って小冊子を貰いました)
      「児童文学は「やり直しがきく話」だと」
      良い話だ、若い人に知って貰いたいです(因みに私は、岩波少年文庫2冊買って小冊子を貰いました)
      2012/03/12
    • すずめさん
      nyancomaruさん、こんにちは☆
      コメントありがとうございますっ!

      児童文学で描かれる「やり直し」は、ゲームでよくあるような全部リセ...
      nyancomaruさん、こんにちは☆
      コメントありがとうございますっ!

      児童文学で描かれる「やり直し」は、ゲームでよくあるような全部リセットしてはじめから、というやり直しとは全然ちがいますよね。
      失敗したりぐるぐると悩みながらも、それらをバネにして、えいやっと問題解決をしようとする登場人物たちに、気付かされることってたくさんあります。
      2012/03/13
  • 非売品だった小冊子「岩波少年文庫の50冊」(宮崎駿・選)を元にまとめた第一部と、3月の震災の前と後の2本のインタビューを元にまとめた第二部。

    第一部の扉を見ると、紙が黄ばんだ、ちょうど日に焼けた時の色で、そうそう岩波少年文庫ってこんな感じだよなー、とまず思う。カラーで、宮崎さんが選んだ50冊が紹介されているけれど、ここも同じヤケた紙なので、抜粋されたイラストが岩波少年文庫の1ページそのもののよう。

    大好きだった本がたくさんあって、うれしい。
    まだ読んでない本も少しあって、楽しい。

    第二部のインタビューで語るように、「つまり、みんな小人になっちゃった」んだな、と思う。
    でも、だからこそ、本が必要だ、とも思う。
    やり直したり、取り戻したりるするためにも。自分を失わないためにも。ただの楽しみのためにも。

    ここにあげられているもの、全て読みたい。全て読んでほしい。それも、子どもよりむしろ大人に。
    読書に疲れたり迷ったり煮詰まったりしたら立ち戻りたい、大事な1冊が出来ました。

  • 1,000円と、新書としては高めの値段だと思っていたら、本の前半、少年文庫の紹介部分が、まるごとカラーで古い本のような見かけにデザインされていて面白い。
    途中まで、この本は誰に向けて、どんな目的で書かれたのか疑問に思っていたが、もともとは、著者の小学生の友人を想定して、おすすめの児童文学を選んだのだそうだ。そのおすすめリストを元に、著者にとって児童文学はどういうものであるか、語られている。
    本書を読んだ大人は、この本で勧められている50冊の岩波少年文庫を、もちろん、周りの子どもに勧めてあげればいいだろう。
    しかし、著者の推薦文を読んでいるだけで、大人たちもどこか懐かしく、切なくなるはずだ。
    著者も、児童文学の作品の多くは大人になってから読んだという。
    是非、この本をガイドに、すっかり忘れていたかつてのお気に入りの本を読み返したり、これまでに通らずにきた色褪せない名作を手に取ってみては。

  • あの宮崎駿氏が岩波少年文庫からお薦めの50冊を選び、それぞれにメッセージを添えられています。自分の思い出に因ったものもあれば、とにかく読め!というもの、自分は読んでないもしくは読めなかったけどいいはずだというものまで。
    挿絵についても言及されているのが、らしいなとも思ったり。E.H.シェパードがアニメーターになったらいいとか、「床下の小びとたち」の挿絵の印象など。様々な角度から岩波少年文庫を検証しまとめられています。
    謂わば岩波少年文庫の宣伝媒体なのですが、それでも読み物として面白く読めるというのは宮崎駿という人物の面白さなのでしょう。
    「児童文学はやり直しがきく話である」という言葉が印象的です。なるほどだから児童文学はつらく厳しい状況の物語でも、どこか希望を感じられるのですね。希望を感じさせる物語が児童文学だと思っていましたが、その希望の理由を知った思いです。
    もちろん「やり直しのきかない話」での児童文学の名作もあります。それでも子どもたちには希望を与えたいと思うのが大人なのかもしれません。「この世には面白いことがいっぱいある」そのことを子どもに伝えるのが大人の役割だとずっと思ってきました。それを後押ししてくれるのが児童文学なのだと改めて心に沁みいったのです。
    それは「3月11日のあとに」と題された最終章にも示されています。今児童文学を読んでいる子どもたちが新たな未来を築く。そのことをこんなにも力強く言えることが素敵だと思うのです。

  • 宮崎氏のおススメ児童文学50冊とエッセイ。
    その中には、懐かしいお気に入りの本、大人になって知り大人視点で読んだ本、全く知らなかった本も。

    幼いころ、様々に読んだ児童文学の名作が、今の自分を支えていると言ってもいい。
    同じような思いを、宮崎氏もお持ちのようで嬉しかった。
    本との出会いの素晴らしさをまたしみじみと思わせてくれる一冊。

  • 【本へのとびら ー岩波少年文庫を語る】
    宮崎駿著、岩波文庫、2011年

    本も人も「誰に紹介されるか」というのは大事にした方がいいとおもっている。
    その意味では、良い本と出会いたかったら、達人が選んだ「ブックリスト」こそ手に入れるべきだし、その意味でも本書は最強無敵ではないだろうか。

    「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」などで知られるアニメーション映画監督の宮崎駿が、岩波少年文庫50冊を紹介している。宮崎の作品群は岩波少年文庫から直接、間接にインスパイアされたものが多い。

    しかもその50冊を100字程度で洒脱に紹介しているのだが、この文章がどれも秀逸。
    例えば、僕の大好きなサトクリフ著「第9軍団のワシ」について以下のように紹介している。
    ーー
    歴史小説の傑作です。この物語を日本の古代の東北地方に移して、壮大なアニメーション映画をつくれないものかと何度か試みました。人の姿のない古江戸湾の風景を想像したりしてワクワクしたりしましたが、まだ実現していません。
    とても好きなの小説です。
    ーー

    最終章は2011年の東北の大震災の後に書き下ろしている。
    この20年を「風が吹き始めた時代」だとして大いに危惧する著者。
    原発、巨大な負債、戦争の可能性など戦中生まれだからこそ、その「風」に敏感なのだろうか。

    そして、風があるからこそ、児童文学に可能性を見出している。

    ーー
    要するに児童文学というのは「どうにもならない、これが人間という存在だ」という、人間の存在に対する厳格で批判的な文学とは違って「生まれてきてよかったんだ」というものなのです。生きてて良かったんだ、生きていいんだ、ということを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。
    ーー

    ここに、学校というものの根本的な存在意義と似たものを感じるので、この仕事をしてからさらに児童文学に傾注するのかもしれない。

    ところで、最初のページに宮崎駿が描いたイラストが載っている。
    半ズボンを履いた少年が縁側で腹ばいになって本を読んでいるところだ。

    隣には白い大きな犬(あちらを向いている)、頁に直接差し込む日差し、そして、縁側の引き戸にあてもなく向かう足。

    そうだ、子供の頃に本を読むときには、足がこうやって、あっちこっち行ってたなぁ。。。

    この時の足の感じが今でも思い出せるが、どうやら子どもの読書にとって足のポジショニングって大切みたいだ。

    #優読書

  • ツイッターで見かけて気になり購入。すごく面白かった。50冊のリストと推薦文を読んでいると、片っ端っから岩波少年文庫を読みたくなる。子供の頃に読まなかったからなおさら読みたい。

  • 引用します。
    「要するに児童文学というのは、「どうにもならない、これが人間という存在だ」という、人間の存在に対する厳格で批判的な文学とはちがって、「生まれてきてよかったんだ」というものなんです。生きててよかったんだ、生きていいんだ、というふうなことを、子どもたちにエールとして送ろうというのが、児童文学が生まれた基本的なきっかけだと思います。」

    もう一つの発見は、「小公子」の絵は古茂田守介が描いている、ということだった。現在の版ではなく、1954年刊の方ですが。

  • 宮崎駿監督が選んだ岩波少年文庫の本紹介。
    個人的に気になったのは、
    ・人間の土地 サン=テグジュペリ
    ・訳者 石井桃子さん
    ・秘密の花園 バーネット
    ・シャーロックホームズの冒険 コナンドイル
    ・不思議の国のアリス ルイスキャロル
    ・くまのプーさん AAミルン
    ・夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦
    ・ももいろの童話集

  • 宮崎駿さんが選んだ児童文学たち。
    ジブリ美術館で手に入れて、アメリカ行く時の成田までで途中まで読んでて、で、やっと読み終わった。
    とてつもなく児童文学が読みたくなる。
    ホビットの冒険、うちにあったから読み始めちゃった!

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著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年、東京都生まれ。作品に「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」など。

「2013年 『風立ちぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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