日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

著者 : 原研哉
  • 岩波書店 (2011年10月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313335

作品紹介

まさしく歴史的な転換点に立つ日本。大震災を経てなおさら、経済・文化活動のあらゆる側面において根本的な変更をせまられるいま、この国に必要な「資源」とは何か?マネーではなく、誇りと充足への道筋を-。高度成長と爛熟経済のその後を見つめ続けてきた日本を代表するデザイナーが、未来への構想を提示する。

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 日本の文化を踏まえ、日本人の強みを生かして、今後の世界における日本の立ち位置や進むべき道を説いた一冊。

    「デザイン」とは単なるファッションの創造のみならず、生活を作り上げていくもの。

    デザイナーの仕事とは建築も含め、色んな工業製品だけではなく、生活様式や社会生活まで「デザイン」すること。

    改めてスゴイと思いました。

    目から鱗です。



    また原氏の文章がとても秀逸で説得力を伴うものであったことも驚きました。

    物書きの人よりよっぽど綺麗な言葉を駆使し、時に熱を帯びた文章に感動を覚えます。



    ポイントポイントをノートに控えましたが、少し目の前が開けた感じがあります。

    これは繰り返し読んで自分の中にしっかりと植えつけたい本です。

  • クルマは「ドライブ」系から「モバイル」系へ。
    移動は個人から都市インフラへ。
     道路の白線という約束を頼りに運転の全てを委ねていた時代は過ぎ去るが、
     根源的な欲望としてのクルマも趣味性の高い乗り物として残る。
     
    「シンプル」が生まれたのは150年前。
     世界が「力」によって統治され、せめぎあって流動性をつくっていた時代には、
     人工の複雑さが威嚇の象徴だった。
     近代化という名のもとに、自由に生きることを基本に再編され、
     物は「力」の象徴である必要がなくなった。

    家を輸出する。
     テクノロジーにより家が制御され始めている。
     テレビもスピーカーも照明も壁と一体化していく。床がセンサーになる。
     靴を脱いで入る住環境は体と環境の新たな対話性を生み出す。

    世界で「評価される」より「機能する」
     日本独自の情報の流れを主体的に生み出していくこと。

  • 原研哉の最近の仕事、考えてること、これからやりたいこと。岩波の「図書」に連載されていた内容、ということで、「デザインのデザイン」よりは軽い印象。自身の概念や考えてることをここ最近はどう落とし込んできたか、みたいな。
    僕もその一人やけど、新書でなくて作品集ぐらいのレベルで図版もたくさん交えつつ、がっつり原研哉と向き合いたいって人は多いんではなかろうか。
    自らコミュニケーション・デザインが専門、というだけあって、相変わらず「モノが書けるデザイナー」さんだなぁと思う。

  • 新刊書なのにこれだけの人数が登録し、レビューも多い。それだけ期待された新書なのだろうか。それともこのデザイナーが有名なのだろうか。
    「安直にファッションという既存産業の仕組みにすり寄ってはいけない」
    西洋・アメリカに追従するのではなく・・・という視点が必要なのでしょう。今こそ、日本の「未来」のデザインを政府や行政がしっかり持ってほしいものだ。
    評価されることを期待するのではなく、主体性を持つことなのだ。

  • ナショナルブランドならいざしれず、世の中の中小企業にとってデザインとデザイナーはお金をかけてまで注力するジャンルではないのが実情、と最近感じていたタイミングでこの本を読んだ。
    第2章の室町時代の阿弥衆の話が目から鱗だった。空間全体の美をしつらえる彼らはデザイナーの始祖であり、時の権力と近い距離にあるゆえに政治と美意識の間の葛藤に悩まされていたのではないかという内容。通史ではあまり深く語られることのない室町時代が、美術史の視点だとこんなに画期的な時代だったなんて。
    日本賛美だけではなく世界にいかに日本のデザインを広めるか、さらに未来につながる活動をデザインを通じて行えるか、について様々なアイディアが語られていてデザインの可能性に希望が感じられた。

  • 今後の日本のあり方、可能性を示した一冊。デザインという手仕事よりな発想ではなく、俯瞰的に、日本をどうプロデュースしていくかという観点から述べられている。
    特に秀逸な前書きは日本という国の素晴らしさを再認識させてくれる。

  • 原研哉氏のエッセイ連載をまとめたもの。
    デザイン、ものづくりで日本を語るとき、表現はどうしても保守っぽい雰囲気になるんだな、と思った。
    それとも、敢えて、国の文化方面にウケの良さそうなネタにしているのか。
    それでも大陸や西洋のいい部分、参考になるところはきっちり紹介してあるし、日本礼賛部分も当然著者の広い経験と実績、深い知識に基づくもの。
    日本の文化を守る、伝えるというのはこうあるべきと思った。

  • 日本を代表するデザイナーのひとりである原研哉による、岩波書店の月刊誌『図書』における「欲望のエデュケーション」という題名の連載(2009~2011年)をまとめたものである。
    著者は、連載の題名「欲望のエデュケーション」について、「製品や環境は、人々の欲望という「土壌」からの「収穫物」である。よい製品や環境を生み出すにはよく肥えた土壌、すなわち高い欲望の水準を実現しなくてはならない。デザインとは、そのような欲望の根底に影響をあたえるものである・・・よく考えられたデザインに触れることによって覚醒がおこり、欲望に変化が生まれ、結果として消費のかたちや資源利用のかたち、さらには暮らしのかたちが変わっていく。そして豊饒で生きのいい欲望の土壌には、良質な「実」すなわち製品や環境が結実していくのである」という。
    また、本書の題名については、「こうなりたいと意図することがデザインであり、その姿を仮想・構想することがデザインの役割である。潜在する可能性を可視化し、具体的な未来の道筋を照らし出していくこと、あるいは多くの人々と共有できるヴィジョンを明快に描き出すことこそ、デザインの本質なのである」と語る。
    著者は、「ものの作り手にも、生み出されたものを喜ぶ受け手にも共有される感受性があってこそ、ものはその文化の中で育まれ成長する。まさに美意識こそものづくりを継続していくための不断の資源である」とした上で、日本の「美意識」の中心は、「繊細」、「丁寧」、「緻密」、「簡潔」を旨とし、簡素さや空白に価値を見出していく感受性にあると言い切る。
    そして、今後、日本に求められるのは、西欧中心の既成の価値観において「評価される」ことではなく、日本発の価値観において「機能する」ことであり、日本が如何にして世界で「機能する」べきかについて、移動手段、家、観光、素材などについて具体的に語っている。
    著者のいう“デザイン”の意義・価値に大いに共感するとともに、その未来について考えさせてもらった。
    (2014年3月了)

  • 資源が不足しているからこそ、日本は「美意識」という資源を手にした…というところから話は始まる。シンプルという美、そしてシンプルを先駆けしていた足利義政、繊細で丁寧で緻密で簡潔な日本のデザインなど、日本の美意識という観点から我々を勇気付けてくれる一冊。
    様々な小話が盛り込まれているが、リノベーションに関する提案、世の中が丸と四角ばかりワケ、新素材を使った笑う車などまさに目からウロコの情報ばかりだ。

  • デザインの視点から、日本の未来の可能性を考察する。洗練された考えと言葉の選び方で、心地よい緊張感と勇気をもらった。

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