日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 133
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313335

作品紹介・あらすじ

まさしく歴史的な転換点に立つ日本。大震災を経てなおさら、経済・文化活動のあらゆる側面において根本的な変更をせまられるいま、この国に必要な「資源」とは何か?マネーではなく、誇りと充足への道筋を-。高度成長と爛熟経済のその後を見つめ続けてきた日本を代表するデザイナーが、未来への構想を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の文化を踏まえ、日本人の強みを生かして、今後の世界における日本の立ち位置や進むべき道を説いた一冊。

    「デザイン」とは単なるファッションの創造のみならず、生活を作り上げていくもの。

    デザイナーの仕事とは建築も含め、色んな工業製品だけではなく、生活様式や社会生活まで「デザイン」すること。

    改めてスゴイと思いました。

    目から鱗です。



    また原氏の文章がとても秀逸で説得力を伴うものであったことも驚きました。

    物書きの人よりよっぽど綺麗な言葉を駆使し、時に熱を帯びた文章に感動を覚えます。



    ポイントポイントをノートに控えましたが、少し目の前が開けた感じがあります。

    これは繰り返し読んで自分の中にしっかりと植えつけたい本です。

  • 原研哉氏のエッセイ連載をまとめたもの。
    デザイン、ものづくりで日本を語るとき、表現はどうしても保守っぽい雰囲気になるんだな、と思った。
    それとも、敢えて、国の文化方面にウケの良さそうなネタにしているのか。
    それでも大陸や西洋のいい部分、参考になるところはきっちり紹介してあるし、日本礼賛部分も当然著者の広い経験と実績、深い知識に基づくもの。
    日本の文化を守る、伝えるというのはこうあるべきと思った。

  • 薬缶

    日本の家では部屋とは呼ばないで、「何とかの間」といいます。「茶の間」、「客間」、「寝間」、「居間」がそれです。......
    いいタイミングを「間合いがいい」といい、肝心なところで抜けていることを「間が抜けている」、~「間延びする」「間が悪い」…
    この日本の、「余白」や「間」は、はじめから受け手が参加しやすいように準備された仕掛けだともいえます。......

  •  美意識は資源である。空港を歩けば床のタイルはピカピカで、高速道路を走れば路面は鏡のように滑らかで、東京の夜景は街路灯がしっかり確かに点灯している。仕事をよりよくしつらえようとする日本の美意識は、作り手のみならず、生み出されたものをよろこぶ受け手にも共有された感受性であって、技術や生活や芸術の先端で世界を繊細に感知し未来を豊かにする。

  • デザインについて、車や家、素材など様々な視点から未来を描いたもの・

    ・富を所有するだけでは幸せになれない。
    手にしているものを適切に運用する文化の質に関与する知恵があってはじめて人は充足し、幸せになれる。

    ・良質な旅館に泊まると、感受性の感度が数ランクあがったように感じる。それは空間への気配りが行きとどいているために安心して身も心も開放できるから。しつらいや調度の基本はものを少なく配すること。
    何もない簡素な空間にあってこそ畳の目の織りなす面の美しさに目が向き、壁の漆喰の風情にそそられる。

  • クルマは「ドライブ」系から「モバイル」系へ。
    移動は個人から都市インフラへ。
     道路の白線という約束を頼りに運転の全てを委ねていた時代は過ぎ去るが、
     根源的な欲望としてのクルマも趣味性の高い乗り物として残る。
     
    「シンプル」が生まれたのは150年前。
     世界が「力」によって統治され、せめぎあって流動性をつくっていた時代には、
     人工の複雑さが威嚇の象徴だった。
     近代化という名のもとに、自由に生きることを基本に再編され、
     物は「力」の象徴である必要がなくなった。

    家を輸出する。
     テクノロジーにより家が制御され始めている。
     テレビもスピーカーも照明も壁と一体化していく。床がセンサーになる。
     靴を脱いで入る住環境は体と環境の新たな対話性を生み出す。

    世界で「評価される」より「機能する」
     日本独自の情報の流れを主体的に生み出していくこと。

  • 原研哉の最近の仕事、考えてること、これからやりたいこと。岩波の「図書」に連載されていた内容、ということで、「デザインのデザイン」よりは軽い印象。自身の概念や考えてることをここ最近はどう落とし込んできたか、みたいな。
    僕もその一人やけど、新書でなくて作品集ぐらいのレベルで図版もたくさん交えつつ、がっつり原研哉と向き合いたいって人は多いんではなかろうか。
    自らコミュニケーション・デザインが専門、というだけあって、相変わらず「モノが書けるデザイナー」さんだなぁと思う。

  • 新刊書なのにこれだけの人数が登録し、レビューも多い。それだけ期待された新書なのだろうか。それともこのデザイナーが有名なのだろうか。
    「安直にファッションという既存産業の仕組みにすり寄ってはいけない」
    西洋・アメリカに追従するのではなく・・・という視点が必要なのでしょう。今こそ、日本の「未来」のデザインを政府や行政がしっかり持ってほしいものだ。
    評価されることを期待するのではなく、主体性を持つことなのだ。

  • ナショナルブランドならいざしれず、世の中の中小企業にとってデザインとデザイナーはお金をかけてまで注力するジャンルではないのが実情、と最近感じていたタイミングでこの本を読んだ。
    第2章の室町時代の阿弥衆の話が目から鱗だった。空間全体の美をしつらえる彼らはデザイナーの始祖であり、時の権力と近い距離にあるゆえに政治と美意識の間の葛藤に悩まされていたのではないかという内容。通史ではあまり深く語られることのない室町時代が、美術史の視点だとこんなに画期的な時代だったなんて。
    日本賛美だけではなく世界にいかに日本のデザインを広めるか、さらに未来につながる活動をデザインを通じて行えるか、について様々なアイディアが語られていてデザインの可能性に希望が感じられた。

  • 今後の日本のあり方、可能性を示した一冊。デザインという手仕事よりな発想ではなく、俯瞰的に、日本をどうプロデュースしていくかという観点から述べられている。
    特に秀逸な前書きは日本という国の素晴らしさを再認識させてくれる。

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