和本のすすめ 江戸を読み解くために (岩波新書 新赤版1336)
- 岩波書店 (2011年10月20日発売)
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感想 : 28件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004313366
みんなの感想まとめ
日本の伝統的な書籍である和本の魅力とその歴史を深く知ることができる一冊です。大学の課題をきっかけに手に取った読者は、和本の制作や流通の過程を通じて新たな視点を得たと語ります。また、入門書としての役割を...
感想・レビュー・書評
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和本のすすめ
江戸を読み解くために
岩波新書 新赤版1336
著:中野 三敏
最近とんと見かけなくなりました。
昔、親父がよんでいた囲碁の本が、和本で何冊がありましたが、箱にはいっているものがあったように記憶しています。
江戸期の出版事情で、書籍の発行部数は、世界で日本が一番であったとのこと。識字率といい、寺子屋をはじめとする、いわゆる読み書き算盤といい、なるほどと感じました。
本書は、和本は、江戸理解のインフラといっています。
気になったのは、以下です。
■はじめに
・本には、①中国:唐本、②朝鮮:韓本、③西洋:洋書、に加えて、④日本:和本 があります。
・印刷方法には、木版印刷での、板本と、手書きのままの、写本の2種
・和本は、奈良から戦前まで作られていたようです。
■江戸の出版事情
・板本の種類は、整版、活字版、拓版の3種、17世紀までは、ほとんど貴族や僧侶の専有物であり、古版本とと呼ばれていたようです。
・もともと、本屋は、京都にあり、江戸時代に江戸にも、後半には、地方にも広がっていったようです。
・本の価格は現代価格で、平均5800円とあり、草子、浮世絵は、300円、1000円程度だった。
・出版条例があって、京都所司代が、版元である本屋について規制をおこなっていました。
・本の製作費は、原稿料23万6千、彫刻費26万1千と、全体の7割をしめていて、全体は70万ぐらいです。
■和本には身分がある
・大名の蔵書 題簽(だいせん)
・物の本、草紙、地本
■和本の作り方
・原稿⇒清書(板下)⇒彫り⇒試し刷り⇒構成⇒本刷り⇒丁合い⇒中綴じ⇒表紙付け⇒本綴じ⇒袋入れ
■和本にはどんな本があるのか
・読本、咄本、洒落本、滑稽本、人情本、草双紙、地口・謎、年代記、往来物、道中記、劇書、浄瑠璃本、音曲、あふむ石、評判記、吉原本、細見、狂歌本、絵本、艶本、双六、刷りもの、等
・色刷りは、1631年の塵劫記から
・遊女評判記、吉原細見、東海道中膝栗毛、春画、
目次
はじめに―いま、なぜ和本か。そして変体仮名のすすめ
第1章 江戸の出版事情
第2章 和本には身分がある
第3章 和本のできまるで
第4章 和本にはどんな本があるか
第5章 海外の和本事情
おわりに
あとがき
索引
ISBN:9784004313366
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:224ページ
定価:860円(本体)
発売日:2011年10月20日第1刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学の課題のための参考にと読みました。なかなか文字で読むだけでは私には難しいところ、始まったばかりの今年の大河ドラマに助けられました。和本がどう作られて、どう流通して、その後どうなっているのか。とても面白いことを知りました。
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これは良書。新書というパッケージにふさわしく、入門書でありながら奥行きがある。長きにわたってくずし字勉強中なので、少しはヒントになるかなと手に取ったけれど、そこは全然効果なし。でも、書誌学的な話、とてもおもしろいし、知らないことばかり。図書館で借りて読んだのだが、座右においときたいから買うかな。
内容と関係ないが、研究者の文章の美しさも堪能。おおらかなユーモアも良くて、必死で情報を摂取しているさなかにくすりと笑いがもれる。 -
和本の歴史。
和本とはどういったものを指すのかから始まり、江戸時代を中心として出版の歴史をたどる。
日本の本の在り方の変化を受け止めて理想を語る。 -
享保の出版条例は規制に非ず、など、流暢かつ柔軟な語り口で研究はもとより読み物としても上出来。「気合いで読める変体仮名」というのは名言である。古典に親しんできた者の文体であることは、すぐに分かる。
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積読していたが必要に迫られて読むことにした。江戸時代の出版(京都、江戸、大阪、おくれて名古屋など)のことが分かる、ありがたや。
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ワクワクする和本の世界へようこそ!と語りかけてくれるような本です。
和本の情報が凝縮されていました。物の本、洒落本など和本の種類、出版事情、過程と経費、板元、出版条例、講、写本と板本、韻文と散文。この本を読んで和本…江戸の手触りを感じたくなりました。 -
実際の書名が出るあたりがややこしいけれど、基本的な部分は参考になりました。
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目次:
はじめに―いま、なぜ和本か。そして変体仮名のすすめ
第一章 江戸の出版事情
1 日本の出版略史
2 本屋の誕生
3 本屋の実体―京都を中心に
4 学芸文化への貢献―丹波屋理兵衛のこと
5 出版条例について
6 出版に関わる経費
7 版権・著作権
8 原稿料について
9 田舎版(地方版)のこと
第二章 和本には身分がある
1 写本と版本
2 写本の世界
3 江戸の写本
4 写本と出版規制
5 製版と活字版―営業と非営利の間で
6 拓版のこと―『乗興舟』讃
7 刷りものの世界
第三章 和本のできるまで
1 和本のつくり方
2 和本の外型と名称
3 彫り・刷り・修正について
4 細部の名称について
第四章 和本にはどんな本があるか
1 和本の分類
2 絵本・絵入り本・画譜
3 江戸のサブ・カルチャー
4 遊女評判記―『難波鉦』という本
5 吉原細見
6 洒落本の世界
7 艶本(春本・わ印・埒外本)
第五章 海外の和本事情
1 韓国・台湾篇
2 ロシア・ドイツ篇
3 アメリカ篇
おわりに―和本リテラシーの回復を願って
あとがき
索 引 -
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(チラ見!/新書)
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古書であっても、板本しか知りませんでしたが、写本こそ真の書物という認識のあった文明はすでになくなっているのでしょう。「和本リテラシー」を持つにはやりたいことが多すぎて難しいと感じています。江戸の書誌学としてこの本を読むだけにします。
なお、著者の他の本にもありますが、「写本や古文書の文字は、書き手によってすべて違ってくるので初心者にとっては最も読み難い」ので、「初心者は写本ではなく、江戸期の極く通俗的な木版本(板本)を読むことから始めるのが良いかと」いっているわりには例があまりよろしくありません。P12の『おくのほそ道』は「芭蕉門人の素龍という能書家が書いた自筆本をそのまま木版にしたものなので、板本とはいえ、写本と同レベルのもの」ですので読めなくても心配はいりません。ここから入るのは「いわばまったくの登山の初心者が、のっけからヒマラヤ登山を志しているようなものだ」ということになります。 -
手漉き和紙でつくられた本である和本について、江戸時代の出版事情、和本の制作過程、和本の種類等について解説している。著者がこの本を書いた動機は、今は専門家以外では失われている和本リテラシーの回復である。普通の読書人が変体仮名と草書体漢字を習得し、和本がよめるようになることを夢見ている。なかなか魅力的な世界のようなので、著者のアジテーションに乗って変体仮名の練習をしてみようか。
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新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:022.31//N39 -
これを読めば変態かな文字が読めるようになるのかと期待したが、それには個人の努力が必要。明治まで読まれていた文字なのだから、読めないなんてもったいないね。和本は江戸の文化をたどれる最大のインフラだから。江戸の出版事情はなかなか勉強になる。
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・また和本である。中野三敏「和本のすすめ-江戸を読み解くために」(岩波新書)は近世文学の重鎮による和本入門である。古書店主橋口侯之介の入門と重なる部分もあるが、たぶん重ならない方が多い。研究者と商売人、実務家の違ひとでも言ふのであらうか。本書からは「江戸理解のインフラそのもの」(6頁)たる和本理解の喪失、あるいはそこから中野氏いふところの「和本リテラシーの回復」(8頁)を目指さんとする「何やら悲憤慷慨の態」(同前)がうかがへる。もちろんこの言は近世文学流のおどけなのだが、氏が本気で「和本リテラシーの回復」を願つてゐるのは他の著作からも明らかである。橋本氏も和本の分かる古本屋が減つたと嘆いてゐる。商売、やりにくいといふわけだが、中野氏の和本をめぐる状況に対する危機感はそれを遙かに上回る。それは私の想像を絶するものであるに違ひない。
・本書の和本を考へる基本的な態度は「和本には身分がある」(73頁)といふことであらう。これは第二章の章題である。江戸は身分制の時代である。その身分制ゆゑに「当然のこと人間が関わるものにはすべてに身分が付与されてくるわけで、なかでも書物は人間しか必要としないものだから必然的に強く意識される領域である。」(78頁)例へば大名の嫁入り豪華写本はその上位に位置し、「板本はいかほど豪華な作りであろうとも、しょせんは複製(中略)まぎれもない営業品の一種であるにすぎないので、身分としては下位に置かれて然るべきものであった。」(同前)これは少し考へればすぐに分かることなのだが、私はそんなことを考へもしなかつた。長屋の八つあんや熊さんが宣長本や篤胤本を読むとは、失礼ながら、思へない。あるいはご隠居さんなら、あるいは寺子屋の先生ならとは思ふ。これも和本の身分であらう。長屋の住人には草紙類がふさはしい。豪華な写本と版本、版本の中の物の本と草紙、更には三都と地方、かういふ本の身分が「そのままそれらを出版する本屋自体の身分」(79頁)となつてゐた。それが江戸の和本といふものであつた。正に蒙を啓かれる思ひである。ここから「身分制社会では、区別は何よりもまず外型に現われる。」(130頁)といふことになる。和本も同様である。「かつて長沢規矩也先生が『いちいち中身を読まなければわからないようでは駄目』と言われた」(131頁)といふ。「まず本の大きさと型、そして縦綴じか横綴じか、また綴じ方の種類、表紙の色や模様、題箋の型や貼り位置等々に少し気を配るだけで、その本の身分や大まかな成立年代がわかり、その素性は一目瞭然であるはずという。和本とはそもそもそういうものなのである。」(同前)私は和本をほとんど必要としない人間なので、和本体験とでもいふべきものは無きに等しい。従つて、かういふものを見ても素性は分からない。題箋がないとか、糸が新しいとかは誰でも分かる。私は刊記等を見ていつ頃の本だと見当はつけても、それが信用できないことも一応知つてゐる。私に分かるのはそこに加へて汚損、虫損の程度ぐらゐまでである。さう、これでは素性も何もあつたものではない。理解不能、「和本リテラシーの」欠如そのものである。しかし、これでもまだましな方かもしれない。当世、和本など見たこともないといふ人間の方が遙かに多からう。そんなわけで、和本に少しでも関心があり、しかも「和本には身分がある」ことを知らない人間に本書は必読の書である。写本にも触れ、書肆関連にかなりを割く。つまり版本書誌学である。江戸の身分で本を見る、本書はこの実践的入門書である。変体仮名同様、数をこなせばならぬのが辛いところ……。 -
勉強になりました。
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2011 12/5読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
米澤誠さんのブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/bpxdx655/45782900.html)で見て手にとって見た本。
活字化されている和本は1%程度に過ぎず、それらは近代的視点で選ばれたものである⇒近代的視座を離れて江戸を理解するには和本を読める必要がある⇒しかしそれを有する者はもう日本人の0.04%くらいでは・・・という危機感から書かれたという、和本リテラシーのすすめ。
江戸の出版事情等についても紹介されている。
出版文化史関連の本で、西洋ではなく日本に関する者はあまり読んでいなかったので、その補完に良かった。
ただし複数の原稿をまとめて1冊にしたものであるためか、ところどころで内容の重複や前後する部分があったりする。
○江戸の出版事情・・・気になった部分メモ
・出版の稿料で生活する/できる者はごく稀
・板本=通俗書=あくまで「商品」としての性格を持つ
⇒・幕府の対応も同様(×文化政策 ○商業政策) -
ジュンク堂池袋本店で購入しました。
2011年12月1日
現代の本をつくっている私たちにも、
この本は、必読です。
出版に携わる人すべての副読本にしたほうがいい。
2012年2月19日
半分、読みました。
失礼ながら、最近の新書とは違って、しっかりした本です。
新書は、これくらい濃密でなくちゃ。
2012年2月21日
いや、素晴らしい。
見事です。
読み終えて、拍手しました。
ありがとうございます。
(2012年2月24日)
著者プロフィール
中野三敏の作品
