李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)

著者 : 岡本隆司
  • 岩波書店 (2011年11月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313403

作品紹介・あらすじ

近代世界に入る清朝の困難な舵取りをした政治家・李鴻章(一八二三‐一九〇一)。旧式のエリート官僚だった彼は、内乱の平定に貢献して官界最高の実力者に登りつめた。二十年間、「洋務」「海防」を主導して外国列強と渡り合うも、日清戦争で敗北を強いられる。その生涯を一九世紀・清朝末期という動乱の時代とともに描き出す比類なき評伝。

李鴻章――東アジアの近代 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「李鴻章」岡本隆司著、岩波新書、2011.11.18
    224p ¥798 C0222 (2017.09.06読了)(2017.08.31借入)
    副題「東アジアの近代」
    陳舜臣著「中国の歴史」全14巻、を読んだついでに近代日本にかかわりの深い李鴻章、孫文、袁世凱を読んでおくことにしました。手始めに李鴻章です。
    李鴻章の軍隊は、私設的軍隊です。装備を近代化して強くしています。西洋の軍艦も購入しています。清の中央政府にはとてもできなかったことです。
    日清戦争後の下関条約交渉の時は日本にやってきています。日本人の暴漢に襲われています。けがを負った後にも交渉の席に出てきています。
    清朝にとっては、朝鮮、台湾、ベトナム、琉球、は直後に統治はしていないけど、属国ということで、支配下にはあるという扱いになっています。琉球は、日本の支配下にはいり、ベトナムはフランスの植民地になってゆきます。朝鮮、台湾も日本の支配下にはいり、満州も独立した国になってゆきます。
    李鴻章は、この過渡期に立ち会ったことになります。

    洪秀全 太平天国
    曽国藩 師

    【目次】
    プロローグ―下関の光景
    第1章 青年時代
    1 生い立ち
    2 黄昏
    第2章 動乱のなかで
    1 太平天国
    2 幕僚の日々
    3 転機
    第3章 浮上
    1 進軍の興起
    2 督撫重権
    3 「協力」の時代とその終焉
    第4章 明治日本
    1 清朝と日本
    2 日清修好条規
    3 台湾出兵から琉球処分へ
    第5章 「東洋のビスマルク」
    1 「海防」と「塞防」
    2 朝鮮
    3 ベトナム
    4 「洋務」の運命
    第6章 「落日」
    1 日清戦争
    2 親露への旋回
    3 最後の舞台
    エピローグ―新しい時代へ
    あとがき
    参考文献について
    李鴻章略年譜
    索引

    ●洋式装備(60頁)
    李鴻章は上海に到着してまもなく、外国軍・常勝軍の作戦を目の当たりにし、その洋式装備、とりわけ新式鉄砲の威力に驚嘆、自軍の刀矛や火縄銃では役に立たないことを痛感した。そこで急速に装備の改善を進め、1863年中には、小銃はもとより開花砲(榴弾砲)をも配備して、淮軍は当時の中国で、最新鋭の武装を誇るようになったのである。
    ●琉球(113頁)
    琉球は建国以来、明朝の朝貢国、「属国」であった。清代に入ってもその関係は続いていた一方で、17世紀のはじめ、薩摩藩の征服をうけ、日本にも属していた。
    ●台湾は化外の民(115頁)
    日本の側は、清朝にとって台湾の「生蕃」は「化外の民」であり、統治外の存在だとの姿勢を明言した、とみた
    ●琉球処分(124頁)
    琉球を沖縄県に編入した「琉球処分」は、清朝にとって衝撃であった。日清修好条規第一条はその過程で効力を失い、恐れていた「属国」の滅亡が、ついに現実と化したからである。
    ●海防(128頁)
    「海防」とは字面だけなら、沿海の防衛しか意味しない。けれども当時は、海軍そのものの組織、それに必要な兵器・艦船、あるいは物資の購入・製造に加え、鉱山の採掘、鉄道・海運・電信などの通信交通手段の導入、さらには士官の訓練・技官の養成など、軍事的なインフラストラクチャーの構築事業も含んでいた。
    ●属国自主(140頁)
    朝鮮は清朝の属国であり、内政外交は朝鮮の自主である

    ☆関連図書(既読)
    「坂の上の雲(一)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
    「日清戦争-東アジア近代史の転換点-」藤村道生著、岩波新書、1973.12.20
    「日清・日露戦争」原田敬一著、岩波新書、2007.02.20
    「中国の歴史(12) 清朝二百余年」陳舜臣著、平凡社、1982.12.15
    「中国の歴史(13) 斜陽と黎明」陳舜臣著、平凡社、1983.03.07
    「中国の歴史(14) 中華の躍進」陳舜臣著、平凡社、
    「世界の歴史(9) 最後の東洋的社会」田村実造著、中公文庫、1975.03.10
    (2017年9月13日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    近代世界に入る清朝の困難な舵取りをした政治家・李鴻章(一八二三‐一九〇一)。旧式のエリート官僚だった彼は、内乱の平定に貢献して官界最高の実力者に登りつめた。二十年間、「洋務」「海防」を主導して外国列強と渡り合うも、日清戦争で敗北を強いられる。その生涯を一九世紀・清朝末期という動乱の時代とともに描き出す比類なき評伝。

  •  太平軍は清朝軍を圧倒し進撃した。動乱のなか各地の土豪たちは武装し団練を組織し対抗した。団連をリクルートした李鴻章はイギリス汽船で長江を下って上海に入り、作戦装備を洋式の最新鋭に改善して蘇州を奪還し、財界人の財務帳簿を入手して財源を掌握し、外国勢力の長所を会得し譲歩はせず、朝廷の援助は受けず、武装集団を政権になびかせ治安回復を図った。

    『この論争(海防塞防論争──引用者)はミクロなレベルでいえば、地方大官のリーダーたる李鴻章と左宗棠との権力争い、軍事力と財源の争奪にほかならない。しかしより大きな文脈でいえば、清朝は以後いかなる政権・国家であるべきか、それを問う論争でもあった。そしてその答えは、中華人民共和国になったいま現在も、なお出ていない、といっても過言ではない。』133頁

  • 読了。

  • 明治初期の東アジア情勢を説明するとき、常に朝鮮半島や琉球をバッファーゾーンとすべく立ち振る舞う日本の観点から見ることが多い。その一方で本書は朝鮮半島や琉球を清から奪う日本という形で、李鴻章から見た東アジアの姿を描く。
    そこには日清で条約を結びながらも、一方的に琉球を編入し台湾に軍事動員をする倭寇のように脅威を伴った日本がいる。
    李鴻章から見た東アジアの近代を新しく感じてしまうのは、日本から見た近代史にあまりに慣れすぎているからだろう。

  • 近代世界に入る清朝の困難な舵取りをした政治家・李鴻章(1823-1901).旧式の科挙官僚だった彼は,太平天国の平定に貢献することで実務官僚の第一人者に登りつめ,「洋務」と「海防」を主導する.そして外国列強と渡り合うも,敗北を強いられる.清朝末期の時代と社会とともにその生涯を描き出す評伝.

  • 督撫重権は著者の造語のよう。近代にはいり巨大化、複雑化した中国を独裁的な集権で統治することはもはや不可能となり、軍権をももつ実質的な統治は各地方単位となり、それをシンボリックに結わえる北京という清の統治の状態をさす。
    垂簾聴政と督撫重権、すなわち中央と地方のバランスのなかに李鴻章の立ち位置があった。
    清末を概観する良書なれど、誤字脱字が目障り。岩波といえども校正に人員をむけられないのかしら。

  • 李鴻章を通じて清末を記した一冊。
    清朝から見た対外、対内政策が分かりやすくまとめられており、
    当時李鴻章が果たした役割の大きさに驚かされる。
    特に明治維新時の対日観、日清修好条規に込められた狙いなど
    大変興味深く、視点の高さを感じた。

  • 岡本隆司『李鴻章 --東アジアの近代』岩波新書、読了。世界史で名前は知っている人物だが、知っているのは名前だけ。清朝史を踏まえた上で、「歴史用語」に収まりきらない巨人の足跡を描き出す。緻密な研究に裏打ちされた入門的評伝ながら、はっきり言って『三国志』より面白かった。

    「よくよく考えてみれば、日本人の中国認識はかなり偏っている。史上の人物に限っていうなら、諸葛孔明は知っていても、李鴻章を知らない現代日本人は少なくあるまい。そうした偏りは専門家ですら例外ではない」(岡本隆司『李鴻章 --東アジアの近代』岩波新書、プロローグ、iv-v)

    明清交代から興隆と衰亡を、「中国化」とその限界、国内・国際経済との関係からそのダイナミックな動態をたった30頁近くでスケッチする胆力には驚かざるを得ない。遠い過去を知ることも大事だが、「昨日」を知ることで「今日」がよりよく理解できることも確か。今を知る上で必読の一書か。

    いやー、しかし、ホント、これはいいわ。よくもわるくも「中華」の総決算は「清朝」にあり。前漢が云々がバカらしいというのではなく、ここをおさえるのは大事だ。

  • 動乱の清朝末の大政治家で、日清戦争後の講和条約の全権大使をはじめ、この時期のほぼ全ての対外交渉に関わり欧米列強からは「世界稀有の一大人物」とも称されたという李鴻章について。時代背景を丹念に書き込みながらも論点がすっきり整理されており、著者の語りの巧さとともに読ませる本だけれど、どちらかというと人物そのものよりも国内外情勢を中心に描いている。列強の進出により清国が直面した近代的な国際関係と、従来の朝貢関係との折り合いの付け方を、攘夷•排外が優勢だった国内的な要請、中間集団の勢力拡大への対応などとといったこととともに詳しく説明している。

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