デスマスク (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 74
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313410

作品紹介・あらすじ

私のものでありながら決して自分では見られない「死顔」を、形に留めるデスマスク。人はいったい何を表現すべくそれを作ってきたのか。古代ローマの蝋人形から王と教皇の中世を経て、近代の天才崇拝、「名もなきセーヌの娘」まで。生と死、現実と虚構、聖なるものと呪われたもののあわいに漂う摩訶不思議な世界をたどる。図版多数。

感想・レビュー・書評

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  • 「サケル」の意味の両義性(聖なるものと呪われたものの二重性)について、繰り返しが多いのが玉に瑕だけれど、なかなかに卓越した議論を展開している。デスマスク論というのもあまり見かけないのでそれだけでも独創的。古代ローマにおける蝋人形(イマギネス)から中世における王の葬儀の儀礼(王の二つの身体)、ポール・ロワイヤル(ジャンセニスト)、マリー・タッソー、近代における英雄・天才神話など、時系列にそってデスマスクの意味の変遷をたどった小著。革命期の重要人物たちが王権を否定しながらも、権威の正当化として王の儀礼を模倣せざるをえなかったという逆説的な事実が面白いと思った。
     ちなみに日本でデスマスクといったことが行われたのは明治に入ってから、大鳥圭介によるものが初めてらしい。

  • 新書文庫

  • 配架場所 : 新書
    請求記号 : SHIN@385@O100@1
    Book ID : 80100438741

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:304//O38

  • 【自分のための読書メモ】
     タイトル『デスマスク』と作者の名「岡田温司」の名にひかれ、ジャケ買い。前作『グランドツアー』が面白かったので期待大。
     内容はといえば、古代ローマから近代にいたるまで、各時代において「デスマスク」が「宗教的、社会的、政治的、文化的、芸術的、あるいは人類学的に、それはいかなる役割を担ってきたのか」(pⅱ)を丁寧に追ってある。
     面白かったのは、第7章。18C末から19Cはじめの観相学、骨相学が「デスマスク」と結びつく。
     ラファーターの観相学から、チェーザレ・ロンブローゾの犯罪人類学。科学的な言説を装う決定的で差別的な言説。これがナチスドイツのホロコーストにつながる流れは、僕の大好きな高山宏の本に書いてあった。その中に、デスマスクが「格好の餌食」として取り込まれていくという指摘。これが一番の収穫。

  • 評価は分かれそうですが、私にとっては西洋思想への興味を持つきっかけになった1冊です。

  • デスマスクという興味深いが、多分にイロモノ的な一ジャンルに限ってのややマニアックな評論——かと思いきや、「裏」西洋美術史とも言うべき、非常に刺激的な快著であった。

    西洋美術と聞かされると、ミロのヴィーナス、モナ=リザ、ダヴィデ像、絢爛華麗な宗教画や、豪奢で権威的な王侯貴族の肖像画などがまず思い浮かぶ。それらのとりすました美しさこそが西洋美術だという私の貧しい固定観念は、本書によってみごとに転覆させられた。
    為政者、富豪、革命家、天才、罪人、自殺者たちの生と死の軌跡を、くっきりと浮かび上がらせた石膏像。あの「お高くとまった」西洋美術に、かくもなまなましく、鮮烈な表現があったとは…これまで敬遠してきたジャンルに親近感が湧いた。
    終章の「名もなきセーヌの娘」など、特に私好み。彼女のことは寡聞にして知らなかったのだが、俄然興味をかきたてられた。

    2012/6/7読了

  • 岩波新書:新赤版 304/O38
    資料ID 2011103395

  • ルネサンスの芸術作品の背景にデスマスクの伝統、習慣があったことを知った。うりふたつ・・というのは、究極にはやはりデスマスクありきだったのはうなづける。
    それにしても、ギロチンで落ちた首を逐一、石膏で固め・・・とした職人にも驚いた。だから後世に残るロウ人形は間違いなく当人の表情なのだ。

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プロフィール

1954年生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は西洋美術史・思想史。著書に『もうひとつのルネサンス』(1994)、『ルネサンスの美人論』(1997)、『モランディとその時代』(以上、人文書院、2003/吉田秀和賞)、『ミメーシスを超えて』(勁草書房、2000)、『マグダラのマリア』(中公新書、2005)、『芸術(アルス)と生政治(ビオス)』(2006)、『フロイトのイタリア』(以上、平凡社、2008/読売文学賞)、『半透明の美学』(2010)『映画は絵画のように』(以上、岩波書店、2016)、『映画とキリスト』(みすず書房、2017)など。編著に『カラヴァッジョ鑑』(人文書院、2001)、『ジョルジョ・モランディの手紙』(みすず書房、2011)など。訳書に、ロンギ『芸術論叢』(全2巻、監訳、中央公論美術出版、1998/1999)、アガンベン『中味のない人間』(共訳、人文書院、2002)『スタンツェ』(ありな書房、2008)『イタリア的カテゴリー』(共訳、みすず書房、2010)『開かれ』(共訳、平凡社/平凡社ライブラリー、2011)など。

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