震災と情報――あのとき何が伝わったか (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313434

作品紹介・あらすじ

届かない警報、つながらない電話、公式発表を繰り返す大手メディア…。震災発生後、私たちは二種類の情報空白に遭遇した。危機を生きるために必要な情報と知識は何か。そして有効な情報手段は何か。国内外の各種メディア・研究機関、インターネット上の情報を追跡し、二〇一一年三月一一日東日本大震災発生からの六ヶ月を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館より。

    一応東日本大震災の際の情報空白について書かれているのですが、事実のみを述べている印象でもっと筆者の意見や提言なんかを書いてほしいと思いました。

    原発のことについても書かれているのですが、情報空白の話だけでなく原発反対論を突如持ち出したり、技術的な話も結構多くてこの本のタイトルからすると、何か違うなあ、という印象を受けました。

    具体的にどんな情報が伝わらなかったのかわかりにくかったです。

  • とりあえず最後の最後で、唐突に脱原発と言いたかっただけか。唱えるのはよいが、震災と情報という書名と内容からすると唐突。

  • 期間を区切ってカテゴリーにしてなるべく状況だけを書こうとしてるけど、無理にそうするよりも個人の見解を出しても良かったと思う。
    気づけば「震災=原発事故」にしか書かれていなく、津波被害にあった人たちのその後の情報手段、経過が書かれていない。

  • 東日本大震災の福島原発の発生から時系列に書かれたものである。情報が東電と政府から隠されたり安心説明の学者がいる一方で海外やそうでない専門家のあとからの意見も出している。
     ただし多くの内容を少しずつ扱っているために、中途半端になってしまっているために、読むのはいいが、これで情報教育の学生が卒論を書こうとする場合には参考とするときに戸惑うであろう。情報ネットワークが専門ならもっと対象を絞り込んで書いてもらった方が学生も参考にできると思われる。

  • 時系列で事実を追っているばかり。あのとき何が伝わったのか、筆者の主張を知りたかったです。最終章の最後の最後で脱原発を提案しているのは、内容の究極の要約であるべきタイトルとは趣旨が異なるのでは?という感じでした。

  • 図書館でざざざっと読んだ。

    主に
    ・被災者がどのようにして情報を入手していたか
    ・メディアは震災の状況についてどのように伝えていたか
    ・原発事故の情報は誰がどのようにして伝えていたか
    についてまとめてある。
    大半が原発事故の経過と放射線の対応の経過についてのまとめだった。

    最後は筆者の「原発はもうやめよう」っていう提言で締められてる。

    んー「情報」「あのとき何が伝わったか」の部分についてもっと知りたかったなー

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99361544

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2016年度第9回図書館企画展示
    「災害を識る」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  • 震災前の情報手段、震災から1時間、24時間、1週間、1ヶ月、6ヶ月における情報空白状況の検証。やはり「大手メディアが一種類の公式発表のみを大量に伝えることによって生じる情報空白である」が一番問題だと思う。

  • 震災直後から1時間・1日・1週間・1ヶ月・半年のスパンでどんな内容が伝えられたかを検証。
    二種類の情報空白のうち、大手メディアが単一情報を垂れ流す空白は、第二次世界大戦から変わっていないということなんだろう。

  • 災害が発生した直後(執筆期間を考えて)に出版されたので、現象を追うので精いっぱいだったのではないか、と感ぜられる内容であった。災害情報から分析できたことを知りたいと思うのであれば物足りないかもしれないが、「3.11あの時どのような情報が流れていったのか」ということに関して知るには内容・分量共にちょうどいいのではないかと思う。

  • SNSが活躍。
    良い悪い情報が千差万別だが、ネットが一番情報が多い。
    それをフィルタできる能力が重要になるんだろうな。

  • 今回の東日本大震災の発災とそれに対応するために流通した情報を通して、日本における課題が浮き彫りにされたという視点から、発災とそれへの対応を通して筆者はそれを整理する。筆者は、はじめに、「東日本大震災が引き起した危機は、すべての人々に対して、それまでの考えに厳しい再検討を迫るものであった。」といい、次のようなものであるという。「まず、日本全国の地震・津波対策が根本的な見直しを迫られている。」「また、原子力の専門家は自然災害による原子力の専門家は自然災害による原子力発電所の重大事故など事実上おこりえないとしてきたが、今回の震災は、このような専門家の意見をそのまま信用すると悲惨か結果が起こることを私たち突きつけた。」
    このような日本の現実をどのように考えるかというところで、筆者は次のようにいう。「災害への対応は情報である。」「適切な情報があれば、迫ってくる危険の可能性を知り、一人一人がその場で対応を行なうことが可能となる。」
    東日本大震災発災当初を通して、日本において流通する情報の何が問題があったのかを筆者は、情報に空白があったという。「東日本大震災では、必要な情報が得られなくなる「情報空白」が発生している。情報空白が発生すると、一人一人が対応する機会を奪われてしまう。」
    「今回の大震災では二種類の情報空白が発生している。一つは、地震と津波で被災した東北、関東地方で、通信システムの破壊、停電、交負荷、接続規制などにより、人々が相互連絡や警報受信を行なうことが難しくなった情報空白である。」「もう一つはこれとは性質が異なり、大手メディアが一つの公表のみを大量に伝えることによって生じる情報空白である。」と指摘する。
    インターネットメディアでは、SNSを通して、情報を流通・共有することが盛んにおこなわれている。筆者は、インターネットメディアで個人が情報の流通の担い手になることで、この危機に対応することに、有効に働いたという。このような見解は既知の者も多いと思う。しかし、筆者の情報に空白があったという視点から、東日本大震災の出来事の中、1時間、24時間、1週間、1ヶ月、6ヶ月という単位でコンパクトに整理している。このコンパクトにまとめられたこの著書の利点は、この間に何が変わったのかという視点で容易に過去を振り返ることも出来ることだろう。この利点のコンパクトにまとめられていることから、物足りなさを感じることもあるだろう。むしろ、情報化時代の本質はネット時代になる以前から変わらないものがあり、日本的な課題が露呈したと読み替えることも可能ではないかと思う。こういった視点から情報とマスメディアとネットメディアを個人がメディアの担い手になることの容易な環境が整った現在のSNSから考えることも出来よう。

  • タイトルから想像した内容とはちと違った。東日本大震災からその関連情報をメディアがどのように流したか、時系列で淡々と説明している。ほんと淡々と。わずかながらにそれらの評価も。「おわりに」に評価の源があった。「日本では原子力発電は終わらせよう」。

  • ●:引用 →:感想
    ●フランスでは9月7日、放射線医学者に対する裁判で、パリ控訴院が、有罪無罪の判断を一切行わずに訴訟を打ち切る免訴の決定を下している。この裁判は、コルシカ島の甲状腺がんの患者が、フランス国内における放射性雲の影響についての当時の判断に対して訴えを起こしたものである。コルシカ島では、チェルノブイリ原子力発電所事故以来、数年間で甲状腺がんなどの患者が激増したという。1986年4月から5月にかけてチェルノブイリ事故時、フランス当局がコルシカ島と南東フランスの放射線レベルを故意に小さく発表して隠蔽し、甲状腺がんの患者を多数発生させたとして、当時の被爆対策責任者で、放射線防護中央局長だった大学教授のピエール・ペルラン氏が訴えられたのある。ペルラン氏は「放射性雲はフランス国境で止まる」「フランス内の放射線汚染は非常に少ない」などと繰り返しテレビで発言していた。
    →自分は東日本大震災発生直後より、原発事故に関する政府、東電、原子力保安院の報道をそのまま信じていた。大震災関連の本を2冊続けて読んでみて、なぜ今回はただ一つの報道のみを信じてしまったのか、不思議に思う。通常はある出来事について、一元的な見かたをせず、多角的に見ることを心がけているつもりだったが。あまりの大きな出来事を前にして思考停止に陥っていたのか、それとの他人事と思っていたのか。現在の震災報道に対する自分の接し方を思うと後者であると思う。

  • SNS、スマートフォンはほんとに便利なのだなと思った。
    Ustreamの力もすごいのだなと思った。
    災害時に情報はほんとに重要である。
    しかし、まだまだ日本では完全ではなく、誤った情報や情報の隠蔽も行われている。
    海外の方がよっぽど正確な場合も少なくない。
    きちんと自分で取捨選択して情報を得ていきたいものだ。

  • 資料番号:011444601
    請求記号:369.3/ト

  • 東日本大震災の発生から、来月で1年となる。本書は震災の発生直前
    から、「最初の1時間」「最初の24時間」「最初の1週間」「最初の1ヵ月」
    「最初の6ヶ月」との区切りを設けて、メディアがどんな情報を流したのか
    を追っている。

    一切の批判・批評なし。その時、その時で、どんな情報が伝えられて来た
    のかを時系列で並べている。

    東京電力の情報隠蔽は今更言うまでもないが、東京電力と政府の発表
    のみを垂れ流す国内メディアと、早くから放射能の拡散情報を公開して
    いた海外メディア・研究機関の対比は興味深い。

    そして、被災地で健康被害についての講演・講習会を行った専門家の
    言うことがいかにいい加減であったのかもデータと就き合わせることで
    あばいている。御用学者って本当にどうしようもないな。

    震災発生時、職場で仕事中だった。家族に連絡を取ろうにも携帯電話は
    繋がらず、公衆電話には長蛇の列。不安を抱えて帰宅し、翌日からは
    電車の運休もあり公休と併せて思わぬ4連休になった。

    テレビはどこも同じような内容を繰り返すばかり。情報源として役に立った
    のはtwitterだった。

    南相馬市の市長が、物資の窮乏を動画投稿サイトで訴えたのは有名な
    話だが、今回の震災ではインターネットでの情報発信が大きな力を
    発揮したのは確かだ。

    加えて、大手メディア・通信社の記者が原発事故を機に福島から離れた
    のと裏腹に、多くのフリーライターが現地の状況を伝えた。

    情報の発信と入手方法は明らかに変化している。今後、大規模な事前災害
    が起こった時、東日本大震災の時の教訓が活かされればいい。

    そうして、この国の政府とメディアは情報と言うものを見直しさなくては
    いけないのではないか。

    「この種類の放射性物質は重いので原子力発電所から遠くへは飛びません。
    日本に今あるのは昔の海外核実験で飛んできたものです。」

    本書のある章の扉に書かれてたテレビ解説者のパラドックスである。
    もうねぇ…突っ込む気も起きないんだが…。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:369.31//To35

  • あの時のことからが頭の中でよく整理ができた。
    ベクレル、シーベルトなど、いきなり使用された一年。ようやく納得がいく説明が聞けた。
    原発用ロボットが2006年、たった5人の検討委員会メンバーによって、廃棄処分されていたなんて・・・・。
    根本的に、電力会社、関係機関の体質が問われなければならないだろう。腹が立って仕方がない。ロボットは日本のお家芸だとばかり思っていたのに、実際は外国から借りてきたものでしたからがっかりでした。

  • 徳田雄洋『震災と情報』を読んで、原発をやめると、断言しない方がよかったと思う。


    震災と情報――あのとき何が伝わったか (岩波新書)
    (2011/12/21)
    徳田 雄洋

    商品詳細を見る


    今年二冊目。

    タイトルで職場の本屋の平積みから購入。

    丁寧に震災の情報の提供の状況を整理している。

    個人的には、本の最期に、突然、日本では原子力発電を終わらせよう、と自分の意見を理由なく述べているのは如何と思う。

    原子力発電所を新規に建設するのは無理なのはとうぜんだろう。大事なのはエネルギー状況を考え、日本の製造業が海外に逃げないようにするために、原発の依存度を下げていけるかにある。

    触れられていない大事な、触れにくい情報。

    (1)基準の1ミリシーベルトを守って除染すると、500兆円をこえ、国家財政が破綻すること。

    (2)原発事故の賠償額がそのまま電力料金にはね返り、国民の負担になること。

    (3)年間100ミリシーベルト以下では身体への影響について専門家の意見がわれていること。

    今年は福島の復興にも全力で取り組むため、原発と放射能の勉強も進めたい。

  • 震災後のメディア上の情報の交錯を六ヶ月にわたって、時間を追って記述。

    日本では原子力発電は終わらせようというのが、筆者の結語。

  • 369.31:To

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