宇宙から学ぶ――ユニバソロジのすすめ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313465

作品紹介・あらすじ

地球のこと、生命のこと、そして人類のこと。宇宙は私にさまざまなことを教えてくれた。二度の宇宙飛行を通して育んだ、著者独自の新しいものの見方・考え方。それが、ユニバソロジである。激変する地球環境の下、四〇億年におよぶ「生命のつながり」を絶やさぬために、地球生命として生きる道について語る。

感想・レビュー・書評

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  • 「宇宙」など、経験出来ない世界は、積極的に本から学ぶ、それをしていかなかったら、もったいない。「宇宙」の読みたい本がまだまたあって、返却に焦る 苦笑。

    〈本から〉
    物事をできるだけ多面的に見て、全体を全体のまま理解するというのが、ユニバソロジの基本

    ふだんの等身大のスケールを抜け出て、「ズームアウト」と「ズームイン」の視点に立つことが、ユニバソロジの基本になります。

    ユニバソロジでは「つながり」が重要なキーワード

    「地球はあるようにある。すべてを含んで、あるがままにある」
    「二つの普遍性」
    「宇宙の普遍性」と「生命の普遍性」

    『宇宙からの贈りもの』

    挑戦とはつねに「個の挑戦」なのです。そうした「個の挑戦」のほとんどは失敗に終わり、多くの「個」が消えていくことになるでしょう。けれども、なかには適応に成功する「個」が、ほんのひと握り出てきます。そうして辛うじて適応に成功した「個」が、徐々に生存の基盤を築き、子孫を残していくようになります。そこで初めて、その生命に「持続性」という性質が加わるようになります。
    ここでその生命は、つながりの次の段階、「多様性」に移っていきます。

    「挑戦→多様化→繁栄」

    「挑戦」という行為の裏側には「喜び」があるのではないか

    数年考えた末にわかったことは、「人間は自分のことだけではなく、自分以外の人のことでも喜びを共有することができる」とう単純なことでした。別な言い方をすると、人類は持続的に生き延びるために、「喜び」という知恵を獲得したのではないかということです。そして、その「喜び」というものが人間に挑戦を促し、地球生命のひとつとして「生命のつながり」を紡ぐ原動力になっているのではないかと、私は考えるようになりました。

    人間には「感情」という独自の内的なものがあり、それを他の個体に伝える対外的な伝達能力があります。私の目には、人間という生物は「種の存続にとって有利になること」を「喜び」という感情表現で他の個体に伝え共有する生物、のように映るのです。人間という生物は、そうした伝達活動を通して、各個体が互いにつながりを深め、存続してきたのではないかと思います。

    私は宇宙開発の最終目的は、私たちの住む地球をよりよく知るためではないか、と思っています。

    (1)個人を維持するつながり
    (2)人間の文化的なつながり
    (3)生命の普遍的な流れにもとづくつながり
    の三つ

    人間はこれから「三つのつながり」のうち(3)のつながり、すなわち「生命の普遍的な流れにもとづくつながり」を意識化し、「人類」という視点をも超えて、「地球生命体」として生きる道へ進む必要があると考えるからです。その時に求められる知恵を、私は「未来智」と呼びたいと考えています。未来智を獲得することによって、人類を含む地球生命体の全体は、「生命のつながり」を途絶えさせることなく、生き延びていけるのではないかと思うのです。
    ユニバソロジは、「生き延びる」という、生命としての基本的な命題を前提にした、ものの見方・考え方です。言い換えれば、地球上の生命全体が生き延びていくために
    必要な、ものの見方・考え方です。そのユニバソロジの見方・考え方によって、総合智は未来智へと高められる。私はそう考えています。

  • 生きてることの素晴らしさに気づけた。
    人類は四十億年もの歳月をかけて今に至った。

    人間は生命の繋がりに喜びを感じる。個人の違いをそれぞれ生かすことで、生命の繋がりに貢献でき生きる意味をみいだせる。

    戦争とかしたい人は宇宙に行けばいいのにと思った。行くことで国々という枠を超えて人類という枠で命の尊さを知り、お互いに助け合うことができるような平和な世界になるのではないかと考えた。

  • 「生き延びる」や「生命をつなぐ」をキーワードに、著者がユニバソロジと名づけた世界観について語る。宇宙から帰ってくると人生観が変わる、という系列に属する本だろうか。ただ、「ユニバソロジ」からは、すごく新奇だとか突拍子もないなんて所はない、ある意味オーソドックスな印象を受けた。全体的に何とも言いがたい。

    <blockquote>手に手を携えて、みんなで一緒に挑戦をするということはありません。挑戦とはつねに、「個の挑戦」なのです。</blockquote>
    <blockquote>アポロ計画や国際宇宙ステーションをはじめ、アメリカやヨーロッパの宇宙開発計画では、その最終目的として、「地球を離れて宇宙に人類が進出すること」が謳われています。はたしてそうなのでしょうか。私は宇宙開発の最終目的は、私たちの住む地球をよりよく知るためではないか、と思っています。</blockquote>

  • 宇宙にいったら人生観変わるってよく言うけど、著者もその例に漏れない人。まあ、普通、変わるよなあ。
    一昔前は外国にいったら人生観変わったと思うんだよね。でも今は海外なんて当たり前になっちゃってて、それほどのインパクトはなくなっちゃってる。
    宇宙もいずれ同じような代物になるのかなあ、なんて思ったりする。

    で、本書。
    まあ「すべてがつながっている」というユニバソロジの考え方は、日本人にはなじみやすいんじゃないかな。
    科学の枠内で、宗教に似た概念を提示する試みはなかなかスリリングで面白い。

    「アポロ」の最大の功績は「人類」という意識を芽生えさせたこと、なんていう指摘も、なるほど、と膝を打てる。

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  • ユニバソロジとは、毛利衛さんが二度の宇宙飛行を通して得た宇宙と生命にたいする考え方で、ユニバース、宇宙、普遍、森羅万象と学を意味するロジを組み合わせた造語。ユニバソロジで大切なのは、物事を多面的にみると同時に少し離れたところからみること。(p99 ズームインの視点とズームアウトという二つの視点が基本。そして、もうひとつ、つながりの視点がある。)

    宇宙飛行士の訓練は死と背中合わせで、生き残ることを叩きこむ訓練だそう。そうして宇宙に行って、無重力で上も下もないなかったり、地球一周90分だったり、綺麗な地球を外から見ると、本当に価値観が変わるのだろうなと思った。

    p47  生きるということには、他者と空間的につながることと、後の世代と時間的につながること、という二つの意味がある。

    p81 危機に対処する際のポイントは、感情をはさまないこと。感情に左右されず、淡々と粛々と手を打っていくことが最善の結果につながる。また何が重要かの優先順位をはっきり決めておくと、いざという場面で頭を悩ませる必要もなくなる。

    p101 個の挑戦→適応→多様化と各段階を進んでいくと、その生命は生存の基盤を確立し、繁栄していくことになる。

    p114 生命をつなぐことのポイントは、変わることにある。変わるというマインドをもてる人が、生命をつなぐ人。柔軟性

    p151 宇宙飛行士になれたのは、人と少し違うということを自分の能力のひとつと信じて、それを最大限生かすべく懸命に努力した結果

    p161 米や欧州の宇宙開発計画では、その最終目標として、地球を離れて宇宙に人類にが進出することが謳われているが、毛利さんは地球をよりよく知るため

    時間をギリシア人と同じ円環で捉えている
    シンク・アヘッド  プラトン ソクラテス 挑戦 喜び

  • 個が挑戦しなくなった静物は死に至る。
    多様化で生き残りをかける。
    自分が変われるという、意識をもっている社員が
    一杯いる会社は伸びる

  • dommuneのジェフ・ミルズと毛利衛対談で著者自ら紹介された本。

  • 宇宙飛行士、毛利衛さんの提唱する、これからの人類の持つべき智について。
    個人的なつながり、文化的なつながりに加えて、生き物としてのつながりを喜びの結節点にし、未来までをつなぐ叡智をこれからの人類は意識していく必要がある…さすがに分かりやすく、また実際に宇宙から地球をみたという無二の経験からの話なので、素直に読むことができました。が、論点自体はそこまで目新しいものでもない(のは、そういうある種の包括的なテーマに、漫画・小説という形で触れなれているせいかなーとも思う)ので、辛めですが☆3つ…
    今更ですが、このレビューは私が「読んでいて振り回されるくらい楽しいかどうか」が☆の基準なので…

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