成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

著者 : 小野善康
  • 岩波書店 (2012年1月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313489

作品紹介・あらすじ

需要が慢性的に不足して生産力が余り、それが失業を生み続ける現在の日本経済。これまでの経済政策はどこが問題なのか。新しい危機にはいかに対応すべきなのか。新古典派経済学の欺瞞をあばき、ケインズ経済学の限界を打破する、画期的な新しい経済学のススメ。閉塞状況を乗り越え、楽しく安全で豊かな国へと変貌するための処方箋。

成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 経済学の基本理論に忠実で、出るかねと入るかねは同じということで説明している。しかし、そこでの貧困で喘いでいる人の姿が書かれていないのはなぜだろう。

  • 【版元】
    著者:小野善康
    通し番号 新赤版 1348
    ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 経済
    刊行日 2012/01/20
    ISBN 9784004313489
    Cコード 0233
    体裁 新書・並製・カバー・228頁

    需要が慢性的に不足して生産力が余り,それが失業を生み続ける現在の日本経済.これまでの経済政策はどこが問題なのか.新しい危機にはいかに対応すべきなのか.新古典派経済学の欺瞞をあばき,ケインズ経済学の限界を打破する,画期的な新しい経済学のススメ.閉塞状況を乗り越え,楽しく安全で豊かな国へと変貌するための処方箋.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b226135.html



    【長い目次】
    http://d.hatena.ne.jp/Mandarine/20150801

    【簡易目次】
    はじめに(二〇一一年一一月) [i-vii]
    目次 [ix-x]

    第1章 発展途上社会から成熟社会へ 001
    1 お金をめぐる社会の変遷 002
    2 成熟社会に足りないもの 022
    3 混乱する経済政策 040

    第2章 財政政策の常識を覆す 053
    1 乗数効果という幻想 054
    2 雇用創出と税負担 070
    3 財政支出の使い道 084

    第3章 金融政策の意義と限界 105

    第4章 成熟社会の危機にどう対応するか 123
    1 高齢化社会と少子化問題 125
    2 災害対応 140
    3 環境・エネルギー政策と市場の創出 161

    第5章 国際化する経済 169
    1 内需と為替レート 170
    2 企業の海外移転と産業保護 189

    おわりに [207-209]
    主要参考文献 [1-6]

  • レビュー省略

  • 読了。

  • 元内閣府経済社会総合研究所所長・小野善康氏が、現代の日本を「成熟社会」と銘打って、日本経済の諸問題について説く本です。難解な『不況のメカニズム』(中公新書)と異なり本書ではグラフや数式がほとんど用いられておらず、そういうものがキライな読者でも直感的に理解できるような説明になっているように思います。

    まず、なぜデフレがここまで深刻になったのかという問題。これに関してはいろんな論者がいろんなことを言っていますが、わたしには著者の説明がいちばん腑に落ちるように感じます。特に以下の文章にはいささか感情的な表現も含まれていて、著者の言わんとするところが余すところなく伝えられていると思われます。

    "結局、お金をためることしか能のない人は、どうしたら物質的にも精神的にも充実した豊かな時間を送ることができるのか、これを考えることができないのです。自分で感動する物やサービスが考えられないので、一生懸命働いて作るだけで自分では使わず、まだ物やサービスが十分には行き渡っていない近隣のアジア諸国の人たちに楽しんでもらって、彼らからお金を受け取って満足している。そういう態度こそが慢性的な需要不足を生んで、不況を長引かせているのです"(P.26)

    "不況のときこそ公共心がいるのに、また、それによって自分にもプラスになる可能性が高いのに、そのときこそ人びとに余裕がなくなり、目先だけを考えて一線も出したくないと言い出す。政治家も、税負担や政府事業の拡大など人気のない政策を掲げるより、負担の軽減や無駄の排除と言ったほうが有権者の支持を得やすい。そのため、たとえ実際の経済のメカニズムがわかっていても、必要な政策を有権者に訴えようとはしません。その結果、財政の無駄の排除という名目で行われる事業縮小と、失業拡大という本当の無駄の拡大が起こって、経済は停滞し続けるのです"(P.99)

    では、どうするか。処方箋の方はこれまでと同様、悪く言えば「具体的にどうやんの?」「そんな(既得権者に不利な)話が本当に通るの?」という感じの、増税&再分配(消費性向の高い家計へのアプローチ)が主になっています。

    "前項に述べた消費全体への波及効果は、国民の可処分所得が増えるから消費が増える、という乗数効果の論理とはまったく違います。増税してもその分は所得でもどしますから、経済全体の可処分所得は変わらず、乗数効果が考えるような経路では消費は増えません。消費が増えるのは、雇用が生まれデフレが軽減されるからで、この付加的消費増大によって経済活動が拡大し、結果として国民所得が増大するのです"(P.75)

    "政府が少しでも役に立つ公共事業をやればいいと言うと、政府にそんな判断能力はない、という反論をする人が出てきます。しかし、ここで言っているのは、投入金額を越えるだけの便益を生む事業を考えるべき、ということではなく、採算を度外視してもできるだけ多く役に立つ事業やサービスを考えるべき、ということなのです。それなら、民間に要求される基準、すなわち赤字企業を再生させるような優れた経営能力まではいりません"(P.103)

    読めば読むほど、この人が「変わった学者」だと言われている理由がよくわからなくなってきました。実現性には留保がつくとしても、マクロ経済学・有効需要管理政策の基本から極端に外れたことを言っているわけではないと思いますし、構造改革や金融緩和のことばかり強調する方々よりも、はるかにまっとうなことを言っているように思えます。

  • 目からウロコの本です。ある対談集で著者の名前を知り単著を読んでみたのですが、現在の経済に関する状況が次々と論破されていき、驚きの連続でした。

  • 不況だ不況だというネガティブなこの日本社会はなんなんだと
    もやもやしている時に出会った本。
    大企業のコスト削減による効率化の競争が結果として、自分たちの首をしめていることにつながっていることなど気にしておく必要がある。
    需要が慢性的に不足し、生産力が余っている成熟社会では、
    ・プロセスイノベーションよりもプロダクトイノベーション
    ・生産よりも消費(生産そのものを目的とせず、消費を目的とした生産)
    が重要。
    人々の意識の中に慢性的に需要があった経済成長期の成功体験が残っているため、行き詰まっている。
    しかし、僕の周りの人の中にはこの社会の未来を切り開こうとしている人たちがいる。僕もその未来を切り開く人間となりたい。

  • 現代日本のような成熟社会では、人々は既に欲しい物をほとんど手に入れているので、お金をばら撒いても銀行の金庫に積み上がるだけ、との説明はシンプルでわかりやすい。我が身を振り返ってみても、確かにどうしても欲しいものなんてほとんど無い(その割にはお金がウチの金庫にだけ積み上がらないのは何故なんだぜ?)。
     経済学を学んだことがないので、著者の言うことを完全には理解できないが、所々に出てくる「お金は増えも減りもしない」という原則が、熱力学の第一法則や質量保存の法則と同じで妙に納得できた。
    しかしながら、その処方箋については「そんなにうまく行くかな?」と言うのが正直な感想である。現物支給=期限付きのバウチャーは良いアイデアに思えるし、いくつかの提言は国全体としては効果があるのかもしれない。ただ著者が言うほど産業間の労働移動=「玉突きのようなこと」は起こりそうも無いから、結局はある特定の層に所得が集中してお金が金庫に積み上がるだけではなかろうか?
     やっぱり良く分からない。

  • 第5章 国際化する経済、ところどころ理解し難いところあり。

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