英語で話すヒント――通訳者が教える上達法 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313502

作品紹介・あらすじ

「まず日本語で考える」「単語は全部聞き取れなくてよい」「発音よりリズム」「最寄り訳の発想で」「文法とリーディングは重要」「文学作品を楽しむべし」-。日本語を生かす通訳者の英語術には、大人の学習者に役立つヒントが満載。コミュニケーションの現場で求められる、発信型の"使える英語力"を身につけるために、必読の1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 昨年(2011)8月から本国より米国人が日本支社へ赴任していて、それ以来、会議が英語になりました。資料を要した正式の会議は前もって準備できますが、ちょっとした会話や確認のために部屋に呼び出されるときの英語は、その場での対応力が要求され、まさにこの本のタイトルにある「英語で話すヒント」が欲しいのが現状です。

    本の最初で、相手が聞きたいのは「流暢な英語」ではなく、あくまで話の内容と「日本人としてのあなたの意見」(はじめにp3)は、勇気づけられました。

    また、単語は使い方と共に覚える 3000語程度が目安のようですね。一度、昔に覚えた単語を復習してみるのも良い機会だなと感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・今求められているのは、日本のことをよく知り、社会や世界の動きなどについて自分自身の意見を持ち、それを外国の人に分かるように発言できる、そのような英語力である(p19)

    ・話し手が発した音声以外のいろんな情報を活用して、聞き取れない単語があっても類推できる、聞き取れた単語の前後関係から何を言わんとしているかを類推する態度が大切(p36)

    ・リスニングのこつは、まず単語を識別し、主語+動詞というつながりから、プロポジション(命題)の形として捉えているのが、より正確にメッセージを理解するコツ(p42)

    ・英語の速読法のテクニックの1つに、パラグラフの最初の文だけを読んで、後はどばすというのがある、本や論文の大意はわかる(p57)

    ・日本語と英語のように文章構造が大きく違い、語順が違う言語の間で分り易い同時通訳をするためには、予測が重要な役割(p63)

    ・擬態語を訳す場合には、まず擬態語ではない日本語の言い方を考えて、それから英語訳を、がコツである(p140)

    ・英語が多数の類義語を持っているのは、何世紀にもわたって他のさまざまな言語から多くの語を取り入れてきたから(p141)

    ・日本語の英語表現を知りたいときは、まず和英辞典、そこで出てきた英語を類義語辞典でもう一度見直す(p142)

    ・社会人として十分と思われる単語は、2000の使用頻度の高い単語(80%カバー)と、教養語とされる 570語(A Coxhead, Academic Word List)の合計 3000程度(p149)

    ・単語をそれだけで覚えるのではなく、名詞ならばその前にくる動詞、それにかかる形容詞、後にくる副詞などと一緒に覚える(p151)

    ・コロケーション(2つ以上の単語の慣用的な結びつき)を学ぶには、Oxford Collocations Dictionary for Students of Englishがお奨め(p156)

    ・英語の音声で大切なのは、リズム・イントネーションであり、個々の母音や子音の発音でない、個々の発音を気にするより、文章全体のリズムを気にして、大きな声で「はっきり」話すこと(p160)

    ・日本人スピーカーは、日本人であることが分かる「お国訛り」があった方が、人は耳を傾けてくれる(p164)

    2012年3月17日作成

  • 非常に納得。自分の勉強法で足りないのは読むこと。最後まで言い切ること。継続は力。簡単に英語がマスターできる教材がよく宣伝されているが、やはり、死ぬまで努力し続けることが必要というのは納得。母国語ではないのだから。日本語でよく使う言葉で実は意味がよくわかっていない言葉がある。英語に置き換えようとする努力は日本語の意味を理解することにつながる。

  • 英語力を伸ばすには背景知識が不可欠。
    まずは日本語でなんというかを考え、それを英語に変換する。何度もやっていると早くできるようになる。大人になってから英語を話せるようになるには効果的。
    語彙力はまずは3000語まで無理やりにでもとにかく覚え、そこからは多読(と気になる部分を調査)で伸ばしていくと良い。
    発音は語尾に母音をつけないようにすることとリズム。詩の音読が効果的。
    ——
    今まで漠然と疑問に思っていたことに答えが提示された気分。

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    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000072891

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  • 本当にヒントしかなかった、という印象。学び続けることと、続けるには好きになることが重要、と。パラフレージングについて具体的な例が多く、このタイトルにあっているのか、やや疑問。

  • 181201 中央図書館
    単語を闇雲に覚えるだけでなく、好きな分野の英文を楽しみつつ多数読むのが、好ましい上達法とな。また、話には「構造」がある。すなわち、introduction→body(Statement1,2,・・)→conclusion。これを意識して、話すこと。また、そういう話し方であれば、通訳者も(Situation Modelによる)予測が効き、スムーズな訳をやりやすい。

  • 250円購入2014-02-21

  • 仕事や日常生活で、ときに英語が必要とされることもあり購読。

    話すには英語力は大事、そしてバックグラウンドとなる教養・専門知識・準備も大事。
    聞くには英語力は大事、そして話し手の論理を理解することも大事。

    当たり前な気がするけど、果たして実践しているかというとしていない。そう、その大切さを改めて理解させてくれる。
    私がこの本を、ありきたり、だなんて断罪するのはあまりにも傲慢。
    私にとっては良書です。

  • 三葛館新書 837.8||KO

    この本の著者は国際会議での通訳者として活躍し、大学でも通訳を教えているそうです。
    そんな通訳のスペシャリストが、英語の上達法をわかりやすくまとめています。
    英語を話す際は日本語で考える重要性や、日本語→英語へ訳す際の留意点、意味を理解する方法などについて、長年の経験から得た英語学習のヒントをわかりやすく紹介しています。
    また、リスニングについても全ての単語がわかる必要はなく、聞き取れた単語から想像力を働かせることが最大のポイントであると説いています。
    本書を読むと改めて英語に特効薬はなく、読み・書き・考えて話す。学習を継続しておこなうことが一番大事であると実感します。
                                  (うめ)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=63352

  • おすすめ資料 第196回 (2013.7.19)
     
    通訳技術の英語学習への応用、という視点で書かれた新書です。

    自分の意見を持ち、それを英語で表現するスキルを身につけるためのヒントがたくさんあります。
    母語話者でない私達には英語らしい表現にするために意識的な努力が必要ですが、それも反復練習でだんだん時間が短くなり、ついにはあまり考えずに話せるようになる。

    同時通訳暦50年を超える著者の「粘る人になろう」というメッセージが印象に残ります。

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