- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004313762
作品紹介・あらすじ
略奪か、合法的取得か-。地域や民族の歴史を端的にものがたる文化財は、近代において、ナショナリズムを高揚させ、統治の優位性を演出する格好の装置として機能した。いま、文化財の所属をめぐり、大きな変化がおきている。人類全体の遺産として位置づけなおすことは可能なのか。日本と朝鮮の場合を軸に、世界の動きも紹介しつつ考える。
感想・レビュー・書評
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(後で書きます)
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博物館の展示物はいったいだれのものか。
植民地の生成は博物館が所蔵する「宝物」の所属を無視することになり、それを生んだ地域や文化から返還請求が相次ぐことになっている。
本書は、日本が植民地統治をおこなった朝鮮を取り上げ、1910年の韓国併合前後から現在の文化財をめぐる動きが外観されている。戦後、日韓国交正常化交渉の中でネックとなった一つが文化財の所属問題であった。その後、2011年には「朝鮮王室儀軌」の「引渡し」が日韓間で実現し、植民地主義清算の方に少しずつ動いてきているという。「文化財からみた近現代史」。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:709.21//A62 -
コロニアリズム・・・植民地主義。
かつて日本が韓国を併合した時から敗戦までの間に行われた韓国での文化財の略奪や研究の名の下に行われた接収。それはそれは酷いものだったようだ。
また、当初は武力による支配だったものから文化政策へと転換したが、それとても同化政策だった。
文化財の収奪という意味においては、日本に限ったことではなく大英博物館なんて収奪の極致なわけで、植民地主義というのは根が深い。
文化財については、原産国で管理すべしというナショナリズムと原産国にこだわらず安全に管理できるところで管理すべしという国際主義があるが、どちらがいいのかというのはなかなか難しい。個人的には国際主義がいいのではないかと思うが。 -
20世紀は戦争の時代。帝国主義の時代。略奪の時代だったのでしょうか。大英帝国のコレクションはすごい・・・と思うだけでなく、なぜ全世界の遺跡がそこにあるのか・・・を問うことを忘れていました。
善意の第三者という法律用語では済まされない人道的なものがあると思う。
ブラジルのものはブラジルに。韓国のものは韓国に。全世界の国々が誠意を持って返還する努力を怠らないことだと思う。