適正技術と代替社会――インドネシアでの実践から (岩波新書)

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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313830

作品紹介・あらすじ

地球の未来は、現在の技術文明の延長上には描けない。先進国の技術転換とともに、途上国の状況に適した"適正技術"が必要だ。それは、近代科学技術の問題を乗り越える使命をも帯びている。インドネシアにおける排水処理やバイオマスエネルギー開発の実践をふまえて、今後の望ましい技術のあり方と、それを含む代替社会の方向性を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 先進国と途上国との間に横たわる埋めがたい技術格差。今、求められているのは、先進国の技術を途上国にそのまま移転するというものではなく、近代技術の反省を十分に踏まえた途上国それぞれの条件に応じた開発。著者はインドネシアにおいて嚇々たる実績を残しており、まさに論より証拠を実践している。非西欧社会でありながら高度な科学技術を有する日本の貢献のあり方を問いかける貴重な一冊。

  • インドネシアでの実践を例に、途上国での適正技術、あるいは先進国での代替エネルギーなどを論じている。個人的には、研究や専攻の関係から、第4章が琴線に触れる部分が多かった。

    ①「適正技術を考える」(p38)

    現在世界を悩ます社会問題の多くは、先進国の達成してきた発展の仕方がもたらしてきた。そして、その発展を支えてきたのが先進国の近代科学技術である。そのため、先進国を後追いする形で途上国を引き上げようとする従来の発想でいると、途上国も同じような問題を抱えることになる。
    新たな発展の在り方として、技術やエネルギーを考えていくべきである。

    ②適正技術≒中間技術(第1章 インドネシアと日本の落差から)



    先進国の技術(1000ポンド技術)は巨額であり、伝統産業を破壊して仕事を奪う。途上国の技術(1ポンド技術)は、金は少ないが豊かになれない。そこで、求められてくるのが100ポンド技術とも言うべき「中間技術」(p30)である。先進国の技術を途上国に持ち込むのではなく、より多くの雇用を生み、貧困を緩和する技術とはどのようなものかを意識しながら、新しい技術開発に臨むべきである。

    ③先進国と途上国 共通の理想(第4章 代替社会に向けて)



    我々は便利な製品を消費することに慣れ、躊躇なくエネルギーを使う。だが、その生活がもたらした豊かさは我々をそれなしではいれないようにし、消費を拡大させる。社会問題を引き起こし、専門性は一般人からさらなる壁を作り出す。途上国に合った適正技術、代替社会を考える機会は、先進国のこれからを見直すことにつながる。これからの途上国の発展は、先進国の消費スタイルではなく、持続可能な、代替社会を目指すべきなのである。

    発展途上国の援助に先進国の技術を単に輸入するだけでなく、途上国に合った持続可能な技術を考えていく中で、先進国や地球環境の発展にもつながる。この適正技術や代替社会の話を通して、もう一度、そういったことを先進国は考えるべきであろう。

  • 2階岩波新書コーナー : 502/TAN : 3410154751

  • 【入手前のコメント】2012/10/4
    最近インドネシアに投資する人や会社が多いと話題になっている。BRICSに入っていなかったけど、さらにその後に続く発展途上国ということなのかな?この本は適正技術というのが興味深い話題。

  • 田中氏の取り組みがベースの報告で、説得力もあるし、教条主義的でない点に好感がもてると思う。
    ただなあ、それこそ80年代に適正技術が言われ出して以降、それが社会全体に取り入れられていけるのか、となると別問題だろう。

  • 先進諸国で築き上げられてきた技術体系、産業組織、規制制度などを前提としたエンジニアリングをそのまま途上国でも適用するのではなく、技術の根本に立ち返って最適な方法を模索するという考え方は、知っておくべきものだと感じた。

    決して安普請を薦めているのではなく、現地で管理運営できて現地のニーズに合った手法を考えるべきであり、その中で経済的にも従来の数分の一程度のコストで達成できるものがあるということである。

    ・自分たちでやること
    ・小規模分散型の発想
    ・技術の根源まで立ち返ると代替手法が見つかってくること

    などが、重要なポイントであると感じた。

    筆者が実際に取り組まれた排水処理プラント、バイオマスエネルギープラントの取り組みが非常に印象深い。

  • シューマッハの「スモール・イズ・ビューティフル」は学生時代にこれをメインにした講義があって、本も読んだから懐かしい。本書でもシューマッハのことが取り上げられている。
    筆者のインドネシアでの実践をもとに、適正技術とは何か、先進国と途上国とは何かといったテーマが論じられている。
    しかし幸福って何だろうなぁ。

  • 配架場所 : 新書
    請求記号 : SHIN@504@T100@1
    Book ID : 80100448763

  • 自分にとっては新しい概念「適正技術」と「代替社会」についてよくわかった。
    先進国と後進国という概念がそもそも間違った見方、見誤った将来のあり方を示唆しているともいえる。
    単純に後進国には適正技術をというのではなく、先進国といわれる国々の今後のあり方などが根本的に問われている。

  • インドネシアでは10万円で家が建つのか。
    環境問題はこれから重要になるな。インドネシアでの環境問題、これは課題だ。

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