構造災――科学技術社会に潜む危機 (岩波新書)

著者 : 松本三和夫
  • 岩波書店 (2012年9月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313861

作品紹介・あらすじ

「人災」とされる福島原発事故。「人災」対「天災」という分類は、未曽有の大災害の真実を尽くしきれているだろうか。本書は、戦前から連綿と続く、日本社会に根をおろした「構造」にあえて目を向ける。その「構造」から、科学技術と社会のあいだの危機のメカニズムを解明する。そして、問題克服の道筋をさぐる。

構造災――科学技術社会に潜む危機 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 読了。

  • 構造災の要素
    ①先例が間違っているときに先例を踏襲して問題を温存させてしまう。
    ②系の複雑性と相互作用性が問題を増幅する。
    ③小集団の非公式の規範が公式の規範を長期にわたって空洞化する。
    ④問題への対応においてその場限りの想定による対症治療法が増殖する。
    ⑤責任の所在を不明瞭にする秘密主義がセクターを問わず連鎖する。

    ファシリテータ、インタープリターなどの「つなぎ目」の提案


    構造災はこのような対症治療法の対症治療法の対症治療法・・・といった、つぎつぎに対症治療法が増殖し、本来解決すべき問題が帰って視界から遠のいてしまう状態を含む。
    そして対症治療法はそのように増殖する傾向を元来もちやすい。なぜなら、問題の対策を考える際に頻用されている費用ー便益分析の流儀に従うと、便益が一定の場合、対症治療の費用のほうが構造差異の解決に必要な構造改革の費用よりつねに桁違いに安いことは想像にかたくないないからである。

    秘密主義も連鎖


    うーん。たしかにそうなんだけど、どれも変えるのがとても難しい問題ばかりなのと批判の仕方がちょっと神話めいたものもはいっていてあんまり好きじゃない。
    費用便益の評価の偏りについて要調査。
    先日テレビで片山さつきがB/Cの問題点について討論していたが、今はB/C以外の評価軸の開発と多元的な評価を目指しているらしい。またライフサイクルコストや住民意向の観点なども徐々に取り入れてはきている。対症治療法の無限循環、手段の目的化の無限循環的なところ、生物学的に行けば順機能なのでそれをいかに大前提の目標達成のルートにのせられるかというデザインが必要なのかも知れない。
    そもそもその大目的みたいなものも他のなにかの手段であったりするわけで、何が目的かっていうところは決定不能なんだよな。。。それが一見自明そうな人間の命を守る、幸福にするということであってさえもその自明性は揺らいでいる。その目標さえも複雑化縮減のためのモデルであったりするわけだし。
    どこまでの内部観測地点で全体を「俯瞰している」といえるか、ということを考えだすと人工知能の難問フレーム問題にも通じる途方もなさを感じる。

  • 卒論でそのまま利用するのは難しいかもしれないが、風力発電は日本ではできないという神話、戦前と戦後の科学技術の連続性、構造災公文書館の設立などの記載は、震災をテーマに社会学関連の論文を書くために、なんらかの役に立つと思われる。






















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  • 東日本大震災による津波によって発生した福島第一原発の事故から、科学技術と社会とが交差するところで生じうる問題について解説している。この問題は、科学的な欠陥があって生じたものであるが、それを除去するプロセスがない(or機能しない)ことによって生じうる。
    構造災については本書で「簡単に言うと、科学と技術と社会のあいだの界面(インターフェイス)で起こる災害」と解説されている。科学/技術と社会とが交差する場合には、技術的な欠陥を補完する機能が社会には求められるが、その逆に欠陥を見過ごす(技術的な問題をクリアしたとみなされる)機能となっていることが問題であろう。技術者としてはよく考えなければならない問題である。

  • 2階岩波新書コーナー : 504/MAT : 3410154879

  • 筆者が「構造災」と呼ぶのは、福島第一原発の事故や放射性廃棄物の処理の問題など、科学、技術、社会の間で起こる災害のことである。

    過去の歴史的経緯、専門的で複雑な技術体系、助成や補償といった社会制度などが、それぞれに絡み合い、責任の所在があいまいなまま、先例の踏襲を続けていくうちに後戻りできないところまで事象が進んでいくことが多いという。

    筆者の論点のうち重要であると感じたのが、責任の所在があいまいというのが、単に当事者意識の欠如といったレベルで片づけられる問題ではないということだ。

    構造災に伴う責任は、時間、因果関係の面などで無限責任となる場合が多く、どこかのセクターに責任を取らせれば片が付くというものではない。このことを、放射性廃棄物の処理の問題で、説明している。

    筆者は、構造災が起こることを避けるためには、「無限責任を有限化するしくみづくり」が大切だという。わたし自身も、「放射性廃棄物の地層処理が果たして責任ある対応なのだろうか?超将来のことが不確実なのであれば、地上で厳重に管理しながら次世代に継いでいくことも選択肢の一つなのでは?」とふと思ったこともあり、筆者の論点に共鳴できるところがあった。

    ただ、そのような社会制度を設計するために必要な社会的意思決定の在り方は、非常に難しいものになるだろう。不確実性に伴う責任の有限化は、先送りと紙一重であり、現時点の判断だけではなく将来の進め方につてもある程度制度的に担保していく必要があると思われる。

    そのようなことができるようになるまで社会的な議論が成熟するには、非常に時間がかかると感じた。

    もちろん、時間がかかるからといって取り組まなくてよいということではなく、筆者がその一端を提言している、構造災を防いでいく社会の在り方について、議論を深めていく必要があると思う。

  • 構造災。聞き慣れない概念だ。
    福島第一原発事故は、人災なのか天災なのか、科学技術の敗北なのか。それは構造災なのだと筆者はいう。
    原発という科学技術の世界と、それを取り巻く社会との間で起こる災害。過去の例として、太平洋戦争開戦前夜の日本海軍で起きた艦船の欠陥事故問題などを取り上げていて、ああ日本って国は今も昔もなんだなと思った。いや日本って国に限った話ではないのかもしれないが。チェルノブイリだってスリーマイルだってオスプレイだってみんなそんなもんだ。
    だからどうせよという部分が正直よくわからなかった。

  • 岩波新書 504/Ma81
    資料ID 2012102700

  • 配架場所 : 新書
    請求記号 : SHIN@504@M100@1
    Book ID : 80100449719

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