社会人の生き方 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 163
レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313885

作品紹介・あらすじ

社会人とは本来、自分たちの社会をともに作り上げる人びとのことだ。だが、今の日本では、若者たちの就職難や格差の拡がり、無縁化に見られるように、社会人として生きていくのが困難になっている。社会人になるには何が必要か。社会人をどう育んでいったらよいのか。著者の内外での経験にもとづく豊富な事例を織り交ぜながら考えていく。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた。

    社会人とはどのように生きるべきなのかを書いている。ここでいう社会人は学校を卒業して職に就いている人を指しているのではなく、「社会の一員として社会をともに作り上げていく個人」と定義している。

    民主主義を継続させるには社会で行われている活動に積極的に参加していくしかない、と主張していた。その活動で意見を述べたりする際に必要となるシティズンシップの教育が現在の日本でなされていないと指摘している。
    社会の現状に合わせて法律などのルールを仲間を作って変えていく考え方ではなく、お上が作ったルールに従順に従うことをただ教えられているだけだと。

    非正規労働で突然の雇い止めにあい、訴訟を起こした人が一緒に雇い止めにあった人から協力してもらえなかったり、校区外のいい学校に我が子を入れるために待ちはするが、校区内の学校を自分たちでよくしようとはしない親など様々な問題を取り上げながら、社会人としてどう振る舞うべきかを考えさせる内容だった。

    社会の問題を人の面から全体的に取り上げている印象を受けた。ここで出てきた問題を構造的な面から分析している本もあるので、それらをつなげて理解する際にいいかもしれない。

  • 本書は、自分にとって、2012年最後の読了書となったが、それにふさわしい内容であった。引用を参照してもらいたいが、本書はまず、「社会人」について定義し、その生き方について示している。
    タイトルだけを読むと、「社会人としていかに賢く生きるか」というような、現代の若者への仕事論のように感じるかもしれない。しかし、本書は違う。
    社会人というのは、この人間社会で主体的に生きようとする人々のことを指し、そのような人になるために社会はどのようなものであるべきかについて述べた本である。
    このような内容であると、行き着く結論は、やはり教育である。日本の教育(=社会全体,すなわち現代の日本人は日本の教育を受けているから)は、まだまだ閉鎖的で、それが社会制度にも現れていると指摘している。

    それに対して、イギリスのシティズンシップ教育を例に挙げ、その実践を紹介している。こうした取り組みを本書から知り、今一度、子どもの心に寄り添い、自己肯定感を育むことの重要性に思い至るのである。

    教育関係者は必読です。合わせて、同著者の、「豊かさとは何か」「豊かさの条件」もオススメします。

  • 社会を構成する人という意味での広義の社会人について、様々な視点からまとめられている。
    就職難について自己責任論に囚われる若者の解放は、社会の重要な課題であると感じた。
    しかし、本書の個々の指摘の中には、地域を特定した問題への拘りが余りにも強すぎて、逆に大局的な論点が薄まってしまったように感じられた部分もあった。

  • 「社会人」と言われると、会社に入るに当たりどうこころがまえるかという内容かと思いきや、身近な社会とどうかかわるべきかを中心に考えさせられる部分が多かった。弱者の立場に立たれての企業や政府に対してのご意見もたくさん書かれていたが、そこのところはなかなかむつかしい問題。そこいらには全面的に賛成とは思えなかった。よって☆3

  • 現実がハッピーで仕方が無い人にオススメしたい一冊。

  • 古本屋にて、タイトルに惹かれて買った本です。社会人として働いている今、社会人について考えてみることが有益だと思ったからです。結果、見込み違いでした。

    読み進めて行くのが思いの外、大変でした。というのは、「社会人」に係る筆者の定義「社会の一員として社会をともに作り上げていく個人」と、実際の社会人の一般的イメージ(学校を卒業して働いている人といったところでしょうか?)がどうしても自分の中で符合しなかったからです。そのような中で、例えば原子力発電への反対や官製ワーキングプアへの批判について記述している意味がつかめなかったということもあります。

  • 昔は社会に無理にでも属さなければ生きていけなかった。でもいまは生産性が向上し、個人としても生きていけるようになったが故に、社会とのつながりに無関心な人が多い。

    筆者の主張は確かにそうだと思うけど、肝心な「ではどうしたらいいか」が曖昧。

    大雑把に言うと、利益追求の考えに走るのではなく、想像力を持って社会の一員として生きよ。

    主張は確かにそうだが、現代でより想像力を持ってみんなが生きていくためにはどうすれば良いかを具体的に言って欲しかった。

  • 読了。

  • この人の本はいつも、論旨明解だ。
    歯切れがいい。
    意志がある。

    なので、というか、
    しかし、と言うべきか、
    私には、
    長時間、この人の言葉を
    浴び続けていることがむずかしい。

    長く続けて読むことができず、
    漫々と、
    置いては読み、
    読んではまたやめて、
    いつも積ん読になってしまいます。

    生き方 人生の眺め方
    価値の付け方

    人生を長く生きてきた人の
    言葉の重みなのかな。と思います。

    そしてこの本もまた積ん読。漫々と読みます。

  • 日本社会はこのままで良いのかと警鐘する著者の思いが詰まった一冊です。
    教育学者の本田由紀、フリーター・ニート問題に詳しい玄田有史を足して二で割った感じでしょうか。「日本社会」といった漠然とした分野を扱っていますので、上2名の著書を併せて読むと、更に理解が深まると思います。また、西條剛央『人を助けるすんごい仕組み』が実践的でタイムリーなので、本書に共感された方には強くオススメします。

    読んでいると暗い気持ちになりますが、何とかしなくてはと思います。最後は社会人の力を希望にして締め括っているので、読後感はちょっと希望的観測で満たされます。

    大概、人生において完全に自己責任と言えるようなものは少なく、それを『お前が悪いからだ!』と責められても、『いや、ただ生まれてくる時代が悪かった』と言われれば一言もありません。この例は極端ですが、自己の能力ではどうしようもないことだって沢山あるわけで、それを全部他人のせいにするのは良くないですが、少しくらい斟酌したって良いじゃないかと思うんです。
    利己に走らず、利他的にもなりすぎず、均衡を保っていけば、もっと良く生活できると思います。

    社会全体に余裕がなくなってきていて、他人に構ってあげられる余力も小さくなっている時代。ジリ貧は目に見えているのに、目先の問題ばかりに焦点を向ける昨今の政治には閉口します。もう数十年まえから少子高齢化社会は予見されていたのに、全く改善される兆しはありません。どうせジリ貧なのは分かりきっているので、無理矢理余裕をもった行動なり施策を行わなければなりません。
    いっそのこと、『一日一善法案』みたいなものを作った方が良いかもしれません……他人に対して一善を行う、みたいな(笑)。
    他人とのつながりはもちろん大切なのですが、同時に考えなければならないのは、『絆(きずな)=絆(ほだ)し』という事です。情に絆される、という慣用句にあるように、束縛するという側面もあります。
    それに嫌気が差して、日本の伝統的な文化(親戚付き合い、お中元・お歳暮、年賀状等、集団における個人の役割等)を放擲して、自由を求める(プライベートを充実させたり干渉を無くしたり、お節介が行き過ぎた行為に捉える等)、そして東日本大震災によって「絆」が再び注目されるようになっています。
    この変遷を抜きにして社会は語れないと思います。
    この議論は、山岸俊男『安心社会から信頼社会へ』で有意義な見解が述べられているので、興味のある人は是非とも読んでほしいです。

    本書では、社会人と民主主義を結び付けていますが、所謂政治力が高ければ民主主義は高まらないし、大衆は政治に関心を持たなくなるでしょう(良い意味で)。僕はそれが理想だと思います。つまり、民意を反映していなかったり、横暴な振る舞いがあるからこそ民主主義や討論が活発になるわけで、大衆が『政治?そんなの、政治家に任せておけば大丈夫だよ』と他意無く言えるようになるといいなと思うんです。まぁ、現状の日本は政治が腐り過ぎて大衆も政治に関心が無くなるという悪循環に陥っていますが。

    最近は話題にならなくなっていますが、豊かさと引き換えに失ったものを、もう一度考え直さないといけないと思います。そのための一冊としては最適なものに仕上がっていると感じました。
    僕の評価はA-にします。

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