教師が育つ条件 (岩波新書 新赤版1395)

  • 岩波書店 (2012年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004313953

みんなの感想まとめ

教師の資質と能力に関する深い洞察が印象的で、具体的な実践知と普遍的な成長意欲の両方が重要であることが説かれています。学校現場での課題解決力や教科指導に関する実践的な知識は、すぐに役立つものであり、一方...

感想・レビュー・書評

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  • 1.2年前に買って置いていた本。
    ふと本棚にあった本書を手に取り冒頭を読むと、「これは良書だ」と直感し、すぐ読破。

    本書の内容の中で、特に心に残ったのは資質と能力の違いについてである。

    資質…生まれつきの性質であり、あまり変化することのない個人の特性
    能力…教育によって成長して変化する知識・技術

    この定義をもとに、筆者は「研修や大学院での学習で向上を期待できるのは、能力の部分である。資質については、現場の経験あってこそ変容する。」といったことを述べている。
    これについては同感で、いくら座学に励んだとしても、子どもと関わるスキルやその場での適切な対応は実体験をもとに研ぎ澄まされていくものだと思う。

    私は現場での経験値が圧倒的に足りないと思うので、やはり、現場で問題意識を持って子どもと関わる経験を積みたいと思う。

    また、現場→学ぶ→現場といったように、間で学ぶ機会を設けることで、意味ある学びになるという考えも激しく同意である。

    ただ現場を離れる機会というのは、誰もが与えられるわけではないので、今に意味を見出し、有意義な時間にしたい。

  •  皆さんは教師の「質」とはどのようなものだと思いますか?これまで出会った学校の先生の中でこの人は教師としての「質」が高いな、と思うのはどのような先生でしょうか?
     普段何気なく耳にし、使ってしまう言葉ですし、教育学を学ぶ人にとってはその意味などを改めて考える機会を十分持てないままに使ってしまえる、ある種便利な言葉でもあります。しかし、教師の専門性、能力、資質、良い先生、とは何かを研究的にとらえようとする際には、必ず教師の「質」とは何かを十分に検討する必要があるでしょう。
     その際に大きな一助になるのが本書です。政策上でも多用されながらも十分に整理されない教師の「資質・能力」を六層構成としてとらえ、各層を有機的に関連付けてとらえることの必要性がわかりやすく論じられています。また、こうした「質」のとらえ方を枠組みとして、教師の育ちや学び、そのための教師を取り巻く環境のあり方についてそのほかの章で詳しく検討されています。
     著者は教師教育について様々な文献を執筆している著名な方でもありますが、新書ということもあってか比較的易しく丁寧に論じられているので、入門書としてもおすすめです。教育学を志す人もそうでない人も、教師とはどんな存在なのか?を考える契機としてぜひ目を通してみてはいかがでしょうか。
    (ラーニング・アドバイザー/教育 SONE)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/1916500 

  • 教師にとっての資質と能力についての記述が印象に残りました。

    学校現場における問題解決や課題達成の力、教科指導や生徒指導についての知識・技術など、具体的にすぐに役に立つような個別的かつ実践的なものが能力。

    授業観・教育観や教師としての向上心や探究心といった、普遍的で教師の成長に不可欠だが抽象的かつ評価しにくいものが資質。

    どちらも相互に必要とされるものである。

  • 大学における教員養成ばかりが重視され、教員の自発的な校内研修や自治体が執り行う教員向けの研修に対する認知度の低さが指摘されていた。
    これはLIFE SHIFT2で指摘されていた3ステージ構成の人生のあり方からの転換と、それに伴う生涯学習の拡充の必要性とリンクしていると感じた。
    また、より長期的、相互的な意味合いをもつ「評価」と、短期的、一方的な「査定」との違いに触れており、世間の言う評価は後者の意味合いで扱われてしまっている、という指摘も面白かった。
    本来の意味の「評価」に戻る上でも、学校は隠蔽ではなく現状を明らかにしていく姿勢が、地域や保護者はその現状を踏まえて、学校と共に子どもを育てていく姿勢が必要だと思った。

  • 〇目次
    第1章:いま、教師は
    第2章:教師の質とは何か
    第3章:教師をどう育てるか
    第4章:教師が育つ環境
    第5章:「評価の時代」にどう向き合うか

    筆者は教員のコンピテンシーは「資質」と「能力」に分け、二つをいかに育てていくかが大事だと考えている。しかし、政府や世論は教員の資質向上に関する問題が挙がる時は必ず「能力」重視の制度改革にばかり走ってしまう。
    教員養成の仕組みを「教師が育つ道筋」と「教師を育てる制度」の二つに分け、「挙酔が育つ道筋」をいかに作っていけるかが大事なのである。

    本当に教員を育てるにはいかにして「資質」を育てて、「能力」を挙げていくかが大事である。筆者は学校現場という職場での「協業」をキーワードに掲げ、学校内で取り組まれてきた研修(初任研、十年経験者研、指導改善研、研究授業)などの「教師が育つ道筋」をもっと充実し活用することを提言する。

    また、学校現場での同僚教員との「協業」、児童生徒との「出会い」の中から「資質」・「能力」というコンピテンシーを伸ばすことができるのであり、教職大学院などでもこうした生きた経験が積めるようにカリキュラムを組めば、実のあるものとなるだろうとしている。

    自分自身、学校現場は研修に関しては充実しており、正直大学の教職課程よりも現場で学ぶことの方が大変多い。協業も近年では「組織として」「チームとして」「連携」という形でかなり全国の教育現場にも浸透している。

    今後筆者が言っている「教師が育つ道筋」の充実でバーンアウトする若い教員が出ないようにしていかなければならないだろう。

  • 【請求記号】
    374.3||643

    【蔵書検索リンク】
    http://nieropac.nier.go.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB16228155&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 資質の足りない教員にいかに対処するかが鍵のようだ.本書ではごく一部の資質の足りない教員が問題になっているように書いているが,近年「その一部」が増大していたりしないかが気にかかる.

  • 「信頼」とは、対人関係で相手の考えや感じ方、行動のすべてを知っているわけではないのに、知り得た一部の情報から相手が今後に示すはずの行動を肯定的に見通す可能性のことである。なるほど、信頼を得るべく日々精進しなければならない。さて、本書は新聞広告で見て「はじめに」を立ち読みして即購入した。学級崩壊にあったクラスが、新しい担任のもと立ち直っていく様子が描かれていた。私の子どものクラスでも似たようなことがあった。先生の取り組み一つで大きく変わることがある。一方で、先生の力以上に生徒たちの潜在能力で大きく成長していくこともある。何らかのきっかけがあればよい。本書に紹介されているのは私立女子高でのケータイに関する取り組み。生徒たちが教科の勉強と関係ないところで、ハンドブックを作成していく。頼りない親のもとで子どもが自立するということもあるが、教室でもそういうことがあり得るかもしれない。指導力不足の教員をどう育てていくのか。そんなことに税金を使わずに辞めてもらったらいいのでは、という思いも確かにある。しかし、教育の場で育つのは子どもだけではない。教師自身も保護者も育っていく。そうならば、本人が続けて行きたいという強い意志を持っているのであれば、まわりの協力があっても良いようにも思う。評価と報酬の話の中で、「外的報酬」と「内的報酬」という区別があった。私にとっては圧倒的に「内的報酬」の方に強いインセンティブがはたらく。そう「喜んでもらえる」ということが一番なのだ。なのに、会社というところは、「外的報酬」を与えておけばよいと思っているふしがある。それはなければないでつらいけれど、そのためにだけ働いているわけではない。

  • ゼミの新入生発表で教育について取り扱うことになったので、その参考として。
    今まで教育についてぼんやり興味は持っていたものの、親書を読んだり調べたりしたことはなかったので、本書から得た教師についての情報はどれも新鮮だった。
    教師教育の充実も、教育の充実には不可欠なものだと感じた。
    メンタルヘルスの改善も課題である。
    やはり、多忙すぎることに問題があるとするならば、本書のようにサポートする団体に任せる、という体制を確立することも求められてくるのではないか。

  • 本書は、一般的な学校教育に関する情報と、実際に各学校現場で見聞きすることとの間にかなりの隔たりが存在していることを痛感した筆者が、各地域の学校や全国の教育センターなどを訪問し、多くの教師の声を聴いて「学校臨床社会学」として体系化を試みたものです。教える側の教師の立場から見た学校の詳細な実態を知らしめ、「教師が育つ条件」を発達社会学的に検討した本作から、教職について多角的に考えて戴きたいと思います。

    教育学部 M.T


    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000888536

  • 教員育成について、教育現場に長いこと携わった方が書いた本。教員のおかれる労働環境は年々悪化しており、日々の雑務に追われ、本来教師に求められる能力開発の時間が取れないという悲鳴は新聞等でもよく述べられていることであり、著者がどのような視点で捉えているかが興味の的だった。教員、教育のサイドではなく、全く別の視点でこの問題への解決提案ができそうであるが、そんな得体の知れないものを保護者は受け入れるはずもない。小さい範囲から少しずつ拡げていくしかないのかもしれないな。

  • 退職校長のインタビューに基づいて構成されているようだ。
    教員養成段階に注目されがちだが,教師教育は教職全体を通して行われるものであることを強調する。養成者研究者が教師教育に携わること,日本型教室を反映した教師集団としての研修機能,などを専門職業人としての教師を育つ条件の1つとしている。

  • 「評価」についての定義が子どもの教育にかぎらず参考になる。

  • 若い教員が増え、保護者の要求が高くなり、忙しくなった学校現場で、どのように教員を育てるかが課題である。初任者研修や10年経験者研修などの現職研修と、身近な事例をもとに行う校内研修の両方で育てることが大事である。特に、校内研修が充実するための教師が育つ環境を整備することが必要である。

  • ここまで具体的な解説書はなかった。
    協同の理念がすべての学校に根付くと大変よいのだが。

  • 教職の条例や教師の実態がわかる本であった。

    実際の教員による生の声や、著者が研究を行ってきたうえでの、教育に関する問題点が提示されていたが、自身の意見というものは乏しかったように思える。

    後学のために、再読もありだが、優先度は低い。

  • A:勤務校での問題解決と、課題達成の技能 B:教科指導・生徒指導の知識・技術 C:学級・学校マネジメントの知識・技術 D:子ども・保護者・同僚との対人関係力 E:授業感・子ども感・教育感の練磨 F:教職自己成長に向けた探究心 資質と脳力での評価 能力A→F 外からの観察・評価 A→F 個別的(A)・普遍的(F) 「個業」として教職を捉えると、今日の教職生活は難しい

  • 本屋で気になったので購入。

    現代の教育における問題点や、教師教育に対する問題点など、
    関係者でなくてもわかりやすく書かれている。
    個人的には教育センターの役割に興味があったので、ふむふむと思いながら読んだ。確かに、教育委員会と同じくらいの扱いを受けてもいい機関なのに目立たない。教員の指導は主にここなのに。

    最近、いじめや体罰で学校がクローズアップされることが多い。
    そこで出てくるのは、学校や教育委員会の生ぬるさ。「生徒の命・時間・成長を預かっている」という教員の意識が低いこと。
    もっと生徒のほう向きなよ。って改めて思った。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:374.3//I46

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著者プロフィール

星槎大学大学院特任教授、名古屋大学名誉教授

「2025年 『現代「語り部」の継承』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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