女帝の古代日本 (岩波新書)

著者 : 吉村武彦
  • 岩波書店 (2012年11月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313960

作品紹介

「天皇」という称号がつくられた飛鳥・奈良時代、六人・八代もの女帝が続けて誕生した。なぜこの時期に集中しているのか。「女系天皇」に開かれていた可能性は?-女王卑弥呼から推古、そして持統へ。古代人の視点に寄り添い、即位の背景を徹底的に読み込むところから、「女帝の世紀」の謎をとく。今後の議論の基本となる必読の一書。

女帝の古代日本 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 古代の女帝にどうしても惹かれてしまう私です。。

    本書では古代に即位した6人(重祚含め8代)の女性天皇について、その即位に至る経緯と背景を探っています。
    女帝は、皇統の母を持つ皇子がいないなどの資質に問題がある場合や、いても若い皇子(30歳以下)しかいないときの王統の中継ぎ的存在で、古代はまだ天皇の権力と地位が安定していなかったために存在した、(よって国情が安定した後は幼帝が即位できるようになり、女帝が現れなくなった)また、天武・持統系の皇統を守るためにも女帝は不可欠だった(だから天智系の光仁に皇統が替わってからは女帝は現れない)というようなことが書かれていました。

    印象に残ったことは、前半の女帝はすべて皇后出身者でありまた、すべての人物が立太子し譲位をしているという事実。中継ぎも大切な役割でした。
    それから、いつも出てくる「不改常典の法」、改るましじき常の典。
    親子相続の正当性を主張するものですが、天武系の皇統を維持するためにずいぶん多用されていたんですね、知りませんでした。
    知らなかったと言えば、孝謙が重祚したことを示す具体的資料が、実はない、とのこと!これにはかなりびっくりしました。淳仁廃帝、皇太子を擁立しなかった=重祚、と解釈するんですって。

    最後に。。
    (主題でないとはいえ)厩戸の存在を100%肯定して話が進んでいくところにホッとしました。
    最近は教科書までその存在を疑問視する風潮ですからね。私は彼が好きなので、実在説を信じてるのです。 。

  • 飛鳥・奈良時代の天皇の親族関係が複雑すぎて、ついていけなかった。
    そこを理解しないと、読み解けないというのに。

    女性天皇は、天皇となる政治的資質や年齢がふさわしい皇子がいない場合に誕生し、
    その後、持統天皇以降は天武・持統系の皇統を維持するために即位した、
    ということらしい。

    そして、ヤマト王朝の天皇が兄弟継承だったということは、指摘されて今回初めて気がついた。

  • 皇位継承が、ヤマトの安泰の要だった時代の解説。6〜8世紀、天皇はオサ、実力者、長老的の役割が強いから、10代以下の幼少天皇がいないのが新鮮だった。

  • かなり深く学説等を紹介し、各章・各節ごとに最後にきちんとまとめの文章を置いてくれるので、知識を吸収しやすかった。
    巻末の資料もわかりやすい。

    史上初めての女帝は推古天皇だが、初めての譲位・初めての重祚は乙巳の変を行った中大兄皇子(天智天皇)の母である皇極(重祚後は斉明)で、やはり蘇我本宗家を倒したクーデターが日本の天皇史の大きな転換点であったように思う。

    この時代を考える資料で正史である『日本書紀』は、乙巳の変を実行した天智天皇の娘(元明天皇)と中臣鎌足の息子(藤原不比等)がトップであった時代に完成したものであり、かなり勝者の理論が適用されていることを考えて読むべきものであることもわかった。

    皇統の変更など政権者にとって大きな政治的危機が訪れると女帝が誕生する傾向にあることなどを考えると、女帝は多分に政治的技法の1つとして利用されてきたのだろう。

    奈良平城京が7人8代の天皇中3人4代が女帝であり、およそ3分の1が女帝の時代だったこともヤマト王権の確立を考えるととても面白く感じられた。

  • 読了。

  • 「女帝」にスポットを当てた日本古代通史。古代には6人8代の女帝がいたが、それ以前の卑弥呼、壱与、神功皇后、飯豊皇女などの「女王」も取り上げ、それぞれの成り立ちや周辺を考察。持統天皇が転換点。持統天皇より前は、政治的資質や年齢がふさわしい皇子がおらず、群臣が王権の安定化を企図したため。持統天皇以降は、天武・持統系の皇統を維持するため。よって、天武系から天智系に皇統が替わって以降、女帝は出ていない。古墳中期以降女性首長の地位が低下していくことや、「大后」→「皇后」の称のことなど、文献史学はもちろん考古学の成果もいかして、興味深い点を明らかにしている。しかしいかんせん「女帝」の例そのものが少ないか。どうしようもないことだけど。

  •  女帝が大きく取り上げられたのは現在の皇嗣問題や女性宮家の問題がクローズアップされているからだろうが、本書は純粋に過去の女性天皇の歴史的性格を記した本である。
     女性が天皇になった理由は古代においても非常時、緊急避難的な事態への対処であった。王権の安定化のための応急処置や、すぐに即位できる男子の皇位継承者がいなかったり、血統が変わることを防ぐために、自らの孫が即位するまでの時間稼ぎをするという目的であったようだ。持統天皇はその典型例であり、まさにみずからの寿命をかけた皇統の維持のための即位であったのだ。
     その後、女帝が現れなくなったのは、幼帝の即位が容認されるようになったことや、譲位が一般的になったことが大きいという。
     つまり、女性が天皇になるということには古代の例からは積極的な意味を見出せないということだ。本書が引くように魏志倭人伝の中に見える卑弥呼が国情の安定のために即位したというような積極的な女性即位の理由がなかなか見出せないのである。
     現代の天皇制についても長く女帝容認の声があった。しかし、親王の誕生によってその声も自然消滅してしまったようだ。象徴天皇制にあって、天皇の意味をもう一度考えさせられる一書であった。

  • 勉強になりました。

  • 古事記の示す「古事」の意味もわかる。
    女帝はあったけれども、あくまでも「傍」としての存在。中継ぎ的・・・・。
    であれば、昨今の女帝論、改憲論もまた慎重にならなければならない。
    昔に女帝があったから、現代も女帝にしてもいい・・・という短絡的な発想をしてはならない、ということだろう。
    安易な皇室典範改正に賛成してはならないということなのかなぁ。

  • 次の男性天皇の中継ぎとしか思ってなかったのですが…(まぁそれもあるけど。。。)
    それぞれの理由があるのだな

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