現代日本の政党デモクラシー (岩波新書)

著者 : 中北浩爾
  • 岩波書店 (2012年12月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313984

作品紹介

なぜ日本政治は混迷しているのか。一九九四年の小選挙区制の導入から、マニフェスト選挙の開始、2009年の政権交代を経て、現在にいたる政党政治の構造的変化を、「競争デモクラシー」という概念を鍵に解き明かす。長年積み重ねられてきた政治改革の問題点を検討し、岐路に立つ日本の政治のこれからを考える。

現代日本の政党デモクラシー (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 日本が過去20年あまりに、どの様なデモクラシーの在り方を採用してきたかを、政党に着目しながら学べる一冊でした。私自身の日本戦後史の教養不足でやたらと読了までに時間がかかってしまいましたが、それだけ学べる事が多く、勉強になりました。
    本書によると、イギリスのマニフェストと日本のマニフェストでは随分と異なっている、より正確に述べるならば、イギリスから日本に輸入する過程でかなり変質したらしいです。マニフェストの導入は、A.ダウンズの合理的選択論に基づく市場競争型デモクラシーに結びつき、小選挙区比例代表並立制の下で二大政党が選挙を競う要となるはずでした。しかし、民主党政権の失敗によりマニフェストの実効性は有権者に全く信じられなくなり、参議院に強力な権限がある日本の二院制の下では、二大政党制がかえって「ねじれ」を生み出して行き詰まってしまったのだと分かります。そんな中、橋下徹氏の登場により、著者の言う「政党なきエリート競争型デモクラシー」を志向する新たな選挙至上主義の形が芽生え始めているという訳ですね。
    本書は二大政党制を志向する日本の政党デモクラシーに焦点を当てているため、日本共産党などの少数派政党は殆ど取り上げられません。一方、小沢一郎など、ある理想の民主主義の形を明確に打ち出した主要な政治家や専門家については、かなりのページを割いて度々論じられています。さらに言えば、今現在のデモクラシーの在り方に至る流れで重要な分岐点であったのが、民主党の歩みと挫折にあったと言えるでしょうから、本書が民主党についてかなり密に取り上げている理由も理解できます。この文脈における自民・民主の二大政党の歩みを中立に、丁寧に追った著者の業績は大きなものだと思わされました。
    一方、政党へ注目した分、マス・メディアや官僚などがデモクラシーの在り方にどの様に関与してきたかという視点には(多少の記述はあるものの)欠けていました。本書にそれを求めるのは筋違いではありますが、記者クラブ問題などによる政党とメディアの癒着、行き過ぎた官僚制に基づく民主主義の空洞化とも言える問題についても、あるべきデモクラシーの形をかなり歪めてしまう要因ともなり得ますので、知っておきたい事柄ではあるかと個人的には思いました。更には、森友・加計問題で明らかになった事は、選挙で選ばれた政治家が不都合な情報を秘匿する事をむしろ、市民との距離が遠い官僚が個人の良心で告発するという異様な逆転現象も起こりうるということですから、日本のデモクラシーの在り方はどうなるのかますます分からなくなります。
    混沌とした現代を照らす次のデモクラシーの形は、果たして著者の求める参加型デモクラシーとなるのか、ますます疑問は深まるばかりです。

  • 配置場所:2F新書書架
    岩波新書 ; 新赤版1398
    資料ID:C0034257

  • 1994年の小選挙区導入からの、政党政治の構造変化を二大政党間の競争デモクラシーを切り口に読み解くもの。
    民意を反映させるためのシステムはどうあるべきなのか? 選挙システムから議院内閣制にまで考察を深めている。
    個人的には普通選挙制度にも踏み込んで欲しかったなぁ。

  • 読了。

  • 本書は、マニフェストにより政策を競う「市場競争型デモクラシー」による多くの問題(「ねじれ」「勝者総取り」「決められない」)に対して、「穏健な多党制」につながら「参加型デモクラシー」への転換(又は復活)が必要である、と指摘する。
    大企業が市場を席巻する状況から、今、あらためて地域密着型の多様なスモールビジネスが見直されてつつある(ように感じる)。本書の指摘は、これとどこかつながっているように感じた。多様性が強靭さにつながる。

  • 小選挙区制、マニフェストが、国民の政治参加を投票行為に閉じ込めてしまっている現状を嘆く。比例代表の割合を増やし、国民の政治参加を活性化することを提案。

  • マニフェスト導入、二大政党制の有り様を現代史を一次資料と研究成果をまとめた新書。提言が比例代表の増加&参加デモクラシーであり、違和感はあるがこの分野では野党を入れて分析した唯一の本。貴重です

  • 重要なのは、1990年代から2000年代にかけて参加に代わり競争を重視する考え方が支配的になった結果、経済以外の公的な領域においても市民モデルを導入する改革が行われた。

    小沢は自民党幹事長として冷静んの湾岸戦争に直面していたから、権力の政治的リーダーシップの欠如に危機感を持っていたから、小選挙区制を導入した。権力をめぐっての競争を活性化させることが重要だと思っていた。

    橋下は、小泉みたいなスーパーマンじゃないと政権運営はできない。大統領制は天皇制に反するので憲法を改正して首相公選制を目指すべきだと語っている。

  • 1990年代の「政治改革」以降の日本政治の変動と混迷を、「マニフェスト選挙」の形成と挫折の過程を中心に歴史的に分析。混迷の原因を「政治の市場競争化」に求めている。

  • 中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』岩波新書、読了。過去20年の日本政治の見取図を提供してくれる一冊。日本政治の停滞が続くのはなぜか。極端から極端へ移りやすい市場デモクラシーに一つの因。政治改革の歴史とは選挙制度改革の歩み。「統治機構を安定をもたらすような制度設計」も必要か。

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