- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004314028
作品紹介・あらすじ
政治への不信感が高まる今こそ、政治をどうとらえ、いかにそれとかかわるかが問われている。決定・代表・討議・権力・自由・社会・限界・距離という八つのテーマにそくして、政治という営みの困難と可能性とを根本から考えていく。私たちの常識的な見方や考え方を揺さぶり、政治への向き合い方を問う全八章。
感想・レビュー・書評
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十人十色の考え方や意見の相違を調整するのが政治の営みである。ゆえに誰もが政治から逃れることはできない。政治の問題は、すべて自分自身の問題に帰するのである。
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杉田敦『政治的思考』岩波新書 読了。八つのキーワードを元に政治的に考えることについて議論していく。多様な価値観を前提に物事を調整していくこと。絶対的な正否や善悪などなく、多面的で相対的であること。「私たち」が泥臭く考え抜き、手探りで行動することが、今をよりよくする道筋なのだろう。
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政治の向き合い方へのスタンスって学校で習えないけど重要なことだと思った。社会で生きていくために大事なことはほとんど学校で教えてくれないことだけどね基本。化粧の仕方とか人との付き合い方とかもそうだけど。政治っていうのは社会の最大公約数の妥協点を探ることで個人の理想を追求するものではないという事が書いてあった。政治というものにはある種の押し付けがましさ不愉快さが付きまとうもの。過度の期待は政治への絶望に繋がり、政治そのものへの興味を失うから気をつけた方がいいらしい。
杉田 敦(すぎた あつし、1959年4月30日 - )は日本の政治学者。 法政大学教授。 専攻は、政治理論、政治思想史。 群馬県伊勢崎市生まれ、東京育ち。 みんなで決めよう「原発」国民投票の代表を務める。 [略歴] 筑波大学附属駒場中学校・高等学校卒業 1982年 東京大学法学部卒業 1982年 東京大学法学部助手 1986年 新潟大学法学部助教授 1993年 法政大学法学部政治学科助教授 1996年 法政大学法学部政治学科教授 2003年 - 2007年 放送大学教養学部客員教授 [関係者] 制度的な指導教官は福田歓一。 1期上の兄弟子に川崎修がいる。
まして政治は、みなのことについて決める営みです。複数の人びとの間の集合的な決 定にかかわるわけで、そのために、政治は個人的な決定とは別の水準の理不尽さをもた らすものとして、私たちに意識されることが多い。複数による決定ですから、自分の意 のままにはいかないことも少なくないのです。全体を称する多数派の都合のために、 分が損をすることだってある。だからといっていつも従わなければ、決定すること自体 が無意味になってしまいます。この世に自分一人だけで暮らしているわけではないです から、集合的な決定は避けられるものではありません。納得はいかないけれども受け容 れないわけにもいかない。このあたりから、政治というものにはある種の不愉快さ、押 しつけがましさがつきまとうことにもなるわけです。
一般的にいって、政治に過度に期待することはあまりいいことで はありません。過度な期待は絶望と紙一重です。期待が裏切られる と、政治そのものへの絶望につながります。そして、政治などなく てもいいのではないかという話になってしまう。 ただし、政治との問に距離をとるべきだといっても、それは、政 治をなくせばいいという話とは違います。逆説的ですが、政治を活 かすためにこそ、政治に距離をとるべきなのです。政治に距離をと ることで、政治は活きるのです。政治的思考にとって大切なことを 以下にまとめてみましょう。 第一に、政治はさまざまな価値観にかかわるものであり、多様な 価値観の間の調整こそが政治だということを理解する必要がありま す。
よくいわれることですが、ユーモアとは自分に対して距離を置く ことができるような態度と関係しています。深刻な問題であって も、少し距離を置いてみれば、たかだかこの程度の問題だというこ とで、気持ちが少し軽くなる。それがユーモアでしょう。そう考え てみると、実は政治や外交にはユーモアが必要なのかもしれませ ん
政治は、利害関係を異にする生身の人間たちの対立を前提とし て、調整する作業をしなくてはならない。これは簡単な話ではあり ません。自然を相手にしているわけではないですから、すっきりし た結論が出ないのも当然です。政治は複雑な活動です。 -
今の政治システムは完全なものではない。全員の意見を汲み取ることは不可能だし、構造上の欠陥があるのは事実である。だからといって、闇雲に制度を批判したり、政治参画を放棄しても良いわけではない。そもそも政治から逃れることは不可能で、どのように向き合っていくか、問題に対してどのようにアプローチをするのか、深く考えることができた。
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政治哲学の本。
10年くらい前に刊行されているが、今読んでも古びていない。
誰が、いつ、政治的な決断をするのか。
誰かが誰かを代表するとはどういうことか、可能なのか。
権力の源泉は。そして自由とは権力をなくすことか。
アトランダムに書き出したが、こんな原理的な問題が検討されていく。
いま、ここにある問題を外部化するのは危険なことだという話が印象的だ。
政治家のせい、官僚のせい、外国のせいとすれば、気持ちは楽になるが、問題は解決しない。
自分(たち)の中の、変化を嫌う何かを見極めなければならない、というのだ。
その通り、とも思うが、難しいだろうな、とも思う。 -
前半おもろい。
後半は難しくておもんなかった。
政治をどう理解すればいいか、
政治へどう接したらいいか書かれた本。
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平易な文章で書かれており、大学で政治学を学ぶ前、政治とは何だろうと考える際に一読するのが良いのかもしれない。柔らかい文体ではあるが、ところどころ思い切り突き刺してくる。
読みおわってなるほどなと思った後に、あとがきを読んで思わず笑ってしまった。 -
政治とはなにか? という入門の第一歩的内容。
「政治」とは関わりたくないなぁと思って生きてきたけれど、社会で生きていく以上大なり小なり政治と関わらなくてはならないので、これからはちゃんと向き合っていこうと思います。 -
政治を論じる上での現代的論点を分かりやすく整理した一冊.
政治学は「市民の学」であるわけで,ぜひ多くの「市民」の皆さんに手に取ってもらいたい. -
分かり易く、読みやすかった。極論に走らず現実的な意見を述べていて好感が持てる。
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【読書その82】杉田敦氏による、政治に関する考え方を決定や代表、討議などのテーマに沿って論じた本。非常にわかりやすかった。
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明治期における運用の時代に構築されていった政治制度。読んでいてもピンとこないのは政治について疎いからではと思い手にとった。
本書は政治というより政治に対しての姿勢を論じている。政治は万人にとっての正しさを追究するものでなく、少しでも納得いく形で何かの決定をするためのインフラ。価値観の多様化や決定が及ぼす領域の拡大により、決定することがより難しくなっている。その難しさを外部のせいとしている単純化した風潮が見られるが、まずは自分を含めた内部に目を向けるべきではという主張。
平易な言葉で現代政治に対する問題意識を絡めながら論が展開されているのは良かったが、政治制度の歴史的成り立ちをもう少し記載してくれればより勉強になっだと思う。 -
政治を考える基礎力を与えてくれる。
政治VS官僚、自由VS権力、国家VS市場VS社会、など、二項対立でどちらが一方的に良い悪いと単純な答えにとびつかずに、また自分も当事者であることを認識して政治に積極的に関わっていきましょう、という内容。
さらっと読めますが、本質的な事柄が盛りだくさん。 -
醒めた文章。派手さはないがしっかり意味が届いていくる。
いつか読み返すだろう一冊。 -
「なるほど!」とおもわず口に出したくなる素晴らしさ。
政治とは何かについてとても分かりやすくまとめてい、読んだ後に政治に興味が湧いてくる。
マスメディアの政治批判に流される前に、一度は読んでおきたい一冊 -
腐敗や堕落といった言葉がいつしか似合う言葉となってしまった『政治』のそもそもを考えるのに好適な1冊。代議制や民主主義などの根本的なところから優しく解説されている。著者の述べるように「政治からは逃げられない」のであるから、どう対峙するかという自分の軸をしっかり持たねばならないと改めて気づかされた。
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本書は政治哲学を考える上での基本書として思考をフラットにしてくれます。その意味で学生向けの良書といった感じです。政治の複雑性というものを知らしめられました。ただ、平易な表記ですので、読みやすいです。
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新書として良書。
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面白そうなのは討議・権力・自由あたり。逆に最初の決定と最後の方の議論は現実への応対という点でどうも応用倫理学の無力さを印象付けてしまっている気がする。国境の非合理性や意思決定の複雑さというところを再起させたところで、現代の人間がそこから何かを見出すとも思えない。現代人の一件無知な単純行動は、複雑すぎる現実へのフリーズと衝動的逃避のような気がするが、それに対して北風を浴びせることは解決策なのか。ちょっと私には判断がつかない。
杉田先生の本を買うのは実は初めて?遅筆で現代デモクラシー論の執筆が大いに遅れたという話を学部時代の某先生の講義で聞いたことがあったが、今回もどうやら相当前の執筆依頼を放置した挙句に口述筆記の形式を採って漸くモノになったらしい。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:311//Su46
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講和ということもあるのでしょう。まるでルソーを読むよう・・・。
静かな語り口で、わかりやすく、あきることなく読める。
読後は、たぶん血となり肉となる知識なのですが、さて・・・、何が書かれてあったのかと思うことはある。
時間があれば、何度か読み直してみるのがいいのかも。 -
権力と自由とを対立的に見る発想は憲法学にもある。憲法学では権利や自由と権力とを対立させる間gな得方が一般的。権力は人々の権利や自由を妨害したり侵害したりするので、人々の権利や自由を守るために権力を制限しなければならない。これこそが憲法の役割。
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今の政治家を批判している方々すべてに読んで欲しい。もちろん,今の政治家にも悪いところはあると思うけれど,では自分はどうか?ということに気付かされる。良書。
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311||Su