トラウマ (岩波新書)

著者 : 宮地尚子
  • 岩波書店 (2013年1月23日発売)
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  • 本棚登録 :170
  • レビュー :25
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314042

作品紹介・あらすじ

様々な要因と複雑に絡み合い、長期に影響を及ぼす「心の傷」。その実際は?接し方は?そして社会や文化へのかかわりは?研究者として、また臨床医として、数多くのケースをみてきた第一人者による待望の入門書。

トラウマ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • トラウマとはどのような状態のことを示すのか、誘発される病気は何か、どのように向き合うべきか、などを知りたかった。今現在トラウマのようなものにとらわれているが、それに関して一般的な知見を得たり言語化したりすることで回復の糸口がつかめればいいなと思った。

    世間には自分よりもっと過酷な状況、深刻な症状の人がいて、それに比べれば私は軽いほうなんだ、と感じた。これぐらいの症状で精神病だなんて言っていて、本当に苦しんでいる人に対しておこがましかったかも。

    p44の環状島の説明、わかりやすかった。

    自分にとってなんでもない言葉が相手にとってそうであるとは限らない。自分が加害者の側に無意識のうちにならないように注意しないといけないと思った。

    また、悩みを抱えた人に対する接し方についても記述があり参考になった。

  • トラウマという言葉は、「PTSD」で有名になったが、逆にこのことで「医学化」されてしまい、問題が矮小化されすぎてしまっているきらいがある。何か大きな問題が起こると、すぐに「こころのケア」が叫ばれるが、いつも微かな疑問を感じてしまう。この著者の本を読むと、いつも何故かホッとする。いろいろな意味で幅広い臨床経験と、幅広い視野から「トラウマ」をとらえておられるからだろう。依存症の問題、ジェンダーの問題、マイノリティの問題、など勉強になった。沖縄の問題では蟻塚先生の記述も見られ、更に親近感を持った。

  • 著者:宮地尚子

    通し番号:新赤版 1404
    刊行日:2013/01/22
    9784004314042
    新書 並製 カバー 282ページ

    様々な要因と複雑に絡み合い,本人や周囲にも長期に影響を及ぼす「心の傷」.その実際は? 向き合い方は? そして社会や文化へのかかわりは? 研究者として,また臨床医として,数多くのケースをみてきた第一人者による待望の入門書.著者は究極の心のケアとはとまどいながらもそばに居続けることといいます.きっとそのヒントを得られる一冊です.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b226191.html


    【目次】
    はじめに [i-xi]
    本書の構成/「心のケア」について
    目次 [xiii-xv]

    第1章 トラウマとは何か 001
    1 トラウマという概念 003
      心の傷と三要素
      ‎トラウマ体験
      ‎トラウマ体験の分類
      ‎事件の最中と直後の反応
    2 トラウマ反応とPTSD 013
      PTSD
      ‎PTSDの四症状群
      ‎回復の障害
      ‎PTSD以外の反応や症状
      ‎解離
      ‎喪失・悲嘆
    3 何がトラウマで、何がトラウマでないか 029
      線引き問題
      ‎トラウマのメカニズムの解明と「心のモデル」の問い直し 
    4 なぜトラウマか 033
      拷問
      ‎いじめ

    第2章 傷を抱えて生きる 039
    1 埋もれていくトラウマ 041
      〈環状島〉というモデル
      ‎震災とトラウマ
      ‎孤独に抗う
      ‎語られにくいトラウマ
      ‎秘密にするということ
      ‎語られないトラウマはどうなるか
    2 子どものトラウマ 061
      子どもへの虐待
      ‎アタッチメントの問題
      ‎虐待の長期的影響
    3 恥と罪の意識 068
      依存症
      ‎自傷
      ‎サバイバーギルト

    第3章 傷ついた人のそばにたたずむ 077
    1 そばにいるということ 079
      自分自身の傷つき
      ‎代理外傷や燃え尽き
      ‎当事者との関係の変化や葛藤
      ‎ただそばにいることの難しさ
      ‎傍観者
    2 トラウマ治療の実際 088
      トラウマ臨床と専門家の役割
      ‎精神医療におけるトラウマの位置
      ‎効果的な治療?
      ‎医療現場におけるトラウマ
      ‎緩和ケアや緩和医療
      ‎治療共同体や自助グループ
      ‎どんなことが行なわれているか
    3 トラウマを負った人にどう接するか 107
      「語られないこと」を聞くことはできるか
      ‎聞く力

    第4章 ジェンダーやセクシュアリティの視点 111
    1 ドメスティック・バイオレンス(DV) 113
      DVの実態
      ‎支配―被支配の構造
      ‎なぜ問題にされずにきたのか
      ‎加害者の「病理」
      ‎DVの子どもへの影響
      ‎デートDV
    2 性暴力 130
      一番遅れている対策
      ‎性暴力のPTSD発症率はなぜ高いのか
      ‎性暴力被害はなぜ理解されにくいのか
      ‎身体的暴力が伴わない場合
      ‎法の問題点
      ‎加害者が知人である場合
      ‎疑似恐怖
      ‎疑似恐怖と二次被害
      ‎恋愛の中の性的傷つき
      ‎男性、男児の性被害
      ‎子どもへの面接システムの確立
      ‎ワンストップセンター
    3 ジェンダー視点の可能性 150
      ジェンダーとトラウマ
      ‎PTSDの性差の研究
      ‎トラウマ反応の性差の生物学的な研究
      ‎社会文化的な性差
      ‎ジェンダー・センシティブに
      ‎ジェンダーの可塑性

    第5章 社会に傷を開く 165
    1 マイノリティとトラウマ 167
      マイノリティであるということ
      ‎自己の尊厳を奪われて
      ‎二重の差別
      ‎マイノリティと狭義のトラウマ体験
      ‎トラウマに「慣れる」ことはない
    2 「加害」を可能にするものと「正しさ」について 179
      意図しない場合
      ‎暴力や支配を容易にするもの
      ‎正当化の理由
      ‎命令と実行の分離
      ‎正しさのもつ危険性
      ‎開き直りの正当化
    3 グローバル社会の中で 198
      グローバル・メンタルヘルスとトラウマ
      ‎紛争と難民
      ‎トラウマやPTSDへの文化的・社会的批判
      ‎生活文化の中の治療的要素
      ‎精神医療の底上げ
      ‎グローバル文化の変容とトラウマ
      ‎そして日本は?
      ‎沖縄戦とトラウマ
      ‎トラウマと集団との関係
      ‎不在のものを見る

    第6章 トラウマを耕す 221
    1 トラウマから学べること 223
      耕すということ
      ‎人間の弱さと不完全さ
      ‎創造力の源泉
      ‎アートは何ができるのか?
      ‎修復的アート
      ‎現代史の生き証人
    2 トラウマを昇華させる 234
      解離とアート
      ‎アートと社会的メッセージ
      ‎秘密のアート
      ‎詩の言葉
      ‎文学の力
      ‎映画で追体験
      ‎フォトジャーナリズム
      ‎マンガの創造性
      ‎闇を見つめる
      ‎プロセスの重要性

    あとがき(二〇一二年一二月 宮地尚子) [253-256]
    主要引用・参考文献 [1-8]

  • すごく理解りやすく、是非トラウマ患者を見守っている支援者にも読んで欲しい一冊。

  • 「精神科の臨床現場でのミクロな現象から、グローバル社会や文化というマクロレベルまで見通しながら、トラウマについて」記した「入門書」(p.254)。「トラウマ」とひとくちに言っても、案外に融通無碍なものでその定義は難しいようだ。ただ、「昨日のことがトラウマでさ~」とかいうような、軽いレベルの話でないことは間違いない。「トラウマとは、話題が少しでもそのことに近づくと、その場からすっと離れたり、「その話はしないでくれ」と激しく拒絶してしまうようなもの」(p.3)である。

    僕がこの本を読み進めて、気になっていた点はひとつ。それは「トラウマという語りがいったいいつからなされるようになったのか」ということである。それに対応する「心のケア」も同様だが。こういう問いの立て方は、歴史を研究している人間としては、ほとんど習慣のようになっているのだが・・・。

    その点についても、この本は示唆的なところがあってそこはとても勉強になった。ジョゼ・ブルンナーという歴史学者を紹介し、「トラウマをめぐる医学や心理学の言説」が「明らかに西側諸国における政治的関心の変遷に従っている」ということを述べている。本書が単なる事例と言説の羅列にとどまらず、そういうことに意を割いているのは、目配りが聞いていて素晴らしいと思った。

  • 読了。

  • トラウマについての理解を深められる一冊。

    トラウマとは一体何か、心、身体、社会の3つの視点から、述べられています。

    個人的には、ジェンダー、DV、マイノリティ、性被害、正当化の危険性についての部分が興味深かったです。

  • 日常的に空想傾向にあるとトラウマに直面した時、その内容が後に複雑化していくのかもしれない。

  • 自分自身がトラウマを抱え、臨床心理士のカウンセリングを受けていたので理解を深めるために読んだ。今、自分が欲しい知識や情報、周囲に知って欲しい事柄が詰まっていて、すごく良い本に出逢えたと感謝の気持ち。読みながら苦しくなるくらいに...涙が溢れて止まらないくらいに、頷きながら読むことができた。

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