百年の手紙――日本人が遺したことば (岩波新書)

著者 : 梯久美子
  • 岩波書店 (2013年1月23日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314080

作品紹介

田中正造、寺田寅彦、宮柊二、端野いせ、吉田茂、中島敦、横光利一、山田五十鈴、室生犀星、管野すが…。恋人、妻・夫、子どもへの愛、戦地からの伝言、権力に抗った理由、「遺書」、そして友人への弔辞…。激動の時代を生きぬいた有名無名の人びとの、素朴で熱い想いが凝縮された百通の手紙をめぐる、珠玉のエッセイ。

百年の手紙――日本人が遺したことば (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 読んでよかった。
    実は本屋で探しても見つからなかったので、図書館で借りた本です。
    でも読み終えて、これは手元に置いておくべき本だと思いました。

    20世紀の100年の、著名人から一般の人まで、いろんな人のいろんな状況での手紙を紹介。
    でも、その手紙を書いてからまもなく亡くなった人のが多かったかな……。
    足尾銅山鉱毒事件の田中正造や、芥川賞が欲しかった太宰治、他にも特攻で亡くなった人のや、サハラ砂漠で亡くなった人、いじめを苦に自殺した中学生の遺書など、ホントに様々な手紙をこの一冊で見ることができます。

    でも、21世紀が終わって、誰かが梯さんと同じように「百年の手紙」という本を作ろうとしても、もう無理なんじゃないかって気がする。
    だってもうメールの世の中で、手紙を書く人って激減したと思うから。
    メールだって残るけど、機種変したら見れなくなって、充電器とかもどんどん変わってくから、誰かが不意に「遺されてたのを見つけた」って状況には、もうならないんじゃないかと……。
    寂しいなあ。

  • 同じ著者による「世紀のラブレター」というご本が
    大変感動的だったので、このご本も手に取りたく、読みました。
    率直な心のこもった手紙は、なんと美しいのでしょう。
    このアンソロジーを読んで感動したなら、
    出典の方も是非読みたいところです。

    この本の良い点は、出典の手紙を執筆した人物の背景を
    有名無名に関わらず同じように精密に調べ、
    簡潔にまとめた上で、情を尽くし寄り添うように書いている点。

    描写に人によっての軽重が無いので、誠実なのと
    どんな人の人生にもドラマがあって、
    真情は人の心を動かすことを伝えている点。

    だからこそ、ここを入り口に、いろんな人生の扉を開けて
    もっと深く知ることで、私たちも豊かになる気がするのです。

    書簡集は、大人になって読むと、真に滋味深い記録であり
    文学作品だと思います。

  • 尾崎秀実の言い回しを借りると、
    戦争は人としてどうしても必要なのかもしれませんが、人をけっして幸福にはしない。
    愛は人を幸福にはしないかもしれませんが、人としてどうしても必要です。
    ・・というようなことを感じた。

  • 先月だったか。谷潤こと、作家・谷崎潤一郎の未公開書簡
    288通が見つかったとのニュースがあった。妻・松子夫人
    やその妹と交わした書簡だと言う。

    作家の全集にはほぼ1巻、書簡集がある。購入すると真っ先に
    手にするのがこの書簡集だ。日記と共に、手紙はその人の
    生活を覗き見する楽しみがある。

    20世紀の日本人が遺した100通の手紙を元にして綴られた
    エッセイが本書だ。

    手紙の内容とそれが書かれた時代背景、人物等について、それ
    ぞれ2~4ページでまとめられている。

    これは時代の証言としての資料ではないだろうか。先の大戦で
    戦地から家族へ送られた手紙は勿論だが、政治家が妻になる
    女性へ送った熱烈なラブレターもある。

    本書で一番の衝撃だったのは大逆事件で収監された管野すがが、
    幸徳秋水の為に弁護士を探して欲しいと新聞記者へ依頼した
    手紙だ。

    出獄する女囚に頼んで投函したのだろうと著者が推測する
    手紙に文字はない。しかし、光にかざすと紙面には小さな
    穴が開いている。秋水を助けたい。その激しい思いが、
    ひとつひとつの穴に込められている、哀しい手紙だ。

    田中正造の明治天皇への直訴状、昭和天皇と香淳皇后から
    疎開中だった今上天皇への手紙、いじめによって自殺する
    しかなかった大河内清輝くんの遺書。

    有名・無名を問わずに掲載された手紙は、それぞれに心を
    打つものがある。

    インターネットが発達し、手紙よりもメールのやりとりが
    多くなった。それでも、数少ない親しい友達には年に数回、
    近況報告の手紙を出す。

    本書には収録されていないが、野口英世の母・シカさんの
    手紙など、手書きで書かれた文章はメールとは違った人間味
    を感じる。

  • 歴史好きの後輩からオススメされた本。

    現代までの100年の間にかかれた手紙を有名無名問わず集めたアンソロジー。
    田中正造から、原敬の妻から、特攻隊員から太宰治などなど時代も職業も全く違う人たちの本物の言葉。

    勿論作者が抜粋、編成したのであって、多少の思惑や誘導はあるとは思う。戦時中の検閲から逃れるために、書きたいことが書けない状態にあるものもある。
    それでもやっぱり心揺さぶられるのは、手紙という、自分の気持ちを伝えたい相手に正直に伝えられる道具で、大切な人たちに思いを伝えているから。
    面と向かって会ったりすると、中々ここまで正直には言いづらいですもんね。


    人というのは時代が代わっても、同じ間違いを繰り返すこと愚かな生き物だなぁと思うのと同時に、思いは変わらないんだなぁと改めて気づかせてくれる、そんね素敵な本だと思います。

  • 宮本賢治が妻百合子に書いた情熱的な短歌には驚き、2首紹介。「道の辺の草深百合の花咲に咲まししからに妻と云うべしや」「筑波嶺のさ百合の花のゆ床にも愛しけ妹ぞ昼もかなしけ」仲みどり(原爆症第1号の女優)が終戦の年6月に広島から母へ書いた手紙も新発見。「広島に着きました。こちらは静で映画も芝居も満員」。米軍は広島の空襲をずっと行っていなかったのだ。終戦の15日後に香淳皇后が平成天皇に書いた『日本が滅びずによかった』という生の声、その他歴史の裏幕を感じさせる手紙が実に楽しい。それらは歴史の裏幕の証言であり、愛する者への隠すことのない愛情表現である。究極の人間の姿がそこに示されている。1975年にサハラ砂漠で亡くなった上温湯〓という22歳の青年の支援者への手紙の言葉はその後の「自己責任」という用語の氾濫を予見している。「もし万一、不幸にして小生の身に最悪の事態が起こったとしても・・・、あまりガタガタ騒ぐと日本人はここぞとばかり非難をするだけです。」また死刑囚・島秋人(実名千葉覚)の「この澄めるこころ在るとは識らず来て刑死の明日に迫る夜温し」という辞世の歌と、「私は短歌を知って人生を暖かく生きることを得、確定後五年間の生かされてきた生命を感謝し安らかに明日に迫った処刑をお受けしたい心です」との文章が心にしみる。

  • ちょうど吉野せい『洟をたらした神』を読んでいるときにこの本の存在を知った。吉野せいが生後まもなく亡くした娘に宛てた手紙を読んでみたかった。
    100通の手紙それぞれに、まつわる人々の思いがあふれていて、期待以上の一冊だった。

  • 戦時中のものが多いので、どうしても切ないものが多く、特に前途を断たれた若者たちの手紙は、胸に迫る。こんなことは二度とイヤだ!としみじみ思う。

    個人個人の手紙も、こうして集積すると時代を表す

    。最も印象的だったのは、原敬夫人・浅から長男・貢への電報だ。
    「父昨夜、東京駅にて暗殺さる。帰るにおよばず、まっすぐ英国へ行って勉強なさい。浅」。
    この毅然、この覚悟。

  • これまでいったい何通の手紙が書かれたことだろう。
    この百年だけでも1億人が3世代。日本人ひとりが一生の間に書く手紙を平均50通として、150億通。
    それらをぜんぶ紡いでいったとき、そこに現れる歴史というのは、教科書で習うような上っ面だけの歴史とはまったく別のものであるに違いない。

    http://daily-roku.hatenablog.com/entry/2013/05/12/015351

  • 想いが強い手紙

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