新自由主義の帰結 なぜ世界経済は停滞するのか (岩波新書)

  • 岩波書店 (2013年5月23日発売)
3.52
  • (4)
  • (19)
  • (14)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 226
感想 : 20
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004314257

作品紹介・あらすじ

二〇〇八年のリーマン・ショック以後、世界経済はいまだ立ち直っていない。新自由主義に基づく制度と政策は、どのように金融危機を拡大させ、深刻化させたのか。また、今日の各国の財政危機とどう関係しているのか。新自由主義を支える理論を根本的に批判し、それらがもたらした帰結とその責任を、厳しく問う。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

新自由主義の経済政策がもたらした影響を鋭く批判し、特にアメリカの金融政策に対する厳しい指摘がなされている本書は、現代の経済問題を理解するための重要な一冊です。著者は、リーマン・ショック以降の経済停滞や...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687504

  • (個人用の大雑把なメモのため誤りがあります。)
    ケインジアンによる、リーマンショックの犯人としてのFRB当局(バーナンキ、グリーンスパン)およびその理論的支柱となった新自由主義への批判。

    新自由主義による金融政策第一主義が、1%のスーパーリッチの富を拡大(所得の逆分配)し、リーマンショックを惹起した(貧者の生活を破壊)。リーマンショック直前の「繁栄」は住宅バブルにすぎず、政府の金融政策がバブルを更に加速させた(カジノ資本主義の形成)。この住宅バブルは、無価値の債権に利子の価値が次々と上乗せされていっているだけの、実態のないものである。労働により新たな財が生産されたのであれば社会は豊かになるが、株価・住宅価格が上昇しても新たな富が生み出されるわけではない。→株式・住宅はスーパーリッチが保有していたため所得の逆分配となった。
    政府は、数々のバブル危機の直前に、金融機関を救済しつつ事なきをえていたが、救済した金融機関の経営政策を改めさせることがなかった(救済のもととなった国税を生かして、経営者には莫大な退職金を支払う)。このため、金融機関は救済後さらにバブルに加担した(危機が起きてもどうせ救われるため)。
    (※リーマンショックの構図の説明は、先日読んだ池上彰氏の経済ニュースと同様の説明だった。)
    なかには貧者を騙す性質のローンもあった。バブル時は、逼迫した債務者がローンを別のローンで返せたため事なきを得ていたため、バブルを煽る金融政策が更に正当化された。サブプライムローン(ハイリスク債権を分割しローリスク債権とセット販売)は「金融工学の発達の成果」として、社会全体としてはリスクがないものと考えられていた。しかし、分割されたハイリスク債権そのものは消えて無くなったわけではなく、米国のあらゆる機関から機関へ転売されて社会に残留しており、更にそこに不渡り時の保険が掛けられるなどして複雑に相互連動・接続され、1つが破綻するとドミノ崩壊する構図となっていた。
    筆者は世界恐慌とリーマンショックを重ね合わせ、ケインズ回帰を主張する。金持ち減税は経済効果が薄く財政が悪化する(スーパーリッチが不況時に贅沢したところで、結局は所持する富のごく一部しか消費しない=「トリクルダウン」が実現しなかったということ)。財政緊縮(ex公務員を派遣化し賃金抑制)が経済悪化を招く。一定の説得力あり。ミクマクを勉強しなおして再読する必要あり。
    冒頭ではレーガンやブッシュjrへの批判もあり興味深い。彼らが行ったことは新自由主義ではなく軍事ケインズ主義で、軍拡により軍事民間企業へ支出した(縁故資本主義)。

  • 社会福祉に携わる者として、この分野にも強いかどうかで、社会福祉の分野における底力も変わってくると思う。
    本書を読むに、バーナンキとグリーンスパンがアメリカ新自由主義において大きな役割(悪い意味で)を果たしているらしい。サブプライムローンを中心に、経済の目測を大きく誤ってしまったこと、自らの展望に驚くほど楽観的だったことに驚く。新自由主義は、スーパーリッチに富をより集中させること。これは確かに間違いなさそう。
    経済学の初心者としては難しい本だと思うけれど、こういった本に書かれている中身を知らなければ、世界は語れないように思う。

  • 今の日本経済停滞、労働者と使用者の格差、税金の在り方など理不尽な政策が行われた成り立ちがわかった

    富は分配するのではなく、富を創出する一部のスーパーリッチに集中させその富が下に下り潤うというトリクルダウンの失敗に気付きながらも一度外した枷を富裕層、企業側つけられない政府

    規制緩和を安易にする事への危険性を国民は認識しないといけない
    政府のプロパガンダに騙されてはいけない

    小泉元首相と竹中平蔵の罪はとても深い
    が、信じた国民にも罪がある

    私たちは知らないといけない
    わかるところからでも行動していかないといけない
    主権国家の主権者として

  • アメリカやヨーロッパ経済全体 無難に分析という感じです リーマン危機の分析も

  • 新自由主義経済への理論的、実証的批判。結論として得たのは、格差時代を克服するのは決して難しい経済理論が必要なのではない。所得の再分配(富裕層から貧困層へ)をきちんと行う政策の立案と実行にあるということだ。新自由主義はその真逆を行く形だった。

    「ハイ・ロード」と「ローロード」の概念を知って、経済史的な変化の本質がやっと腑に落ちた感があった。(競争戦略にはハイロードとローロードに大別される。ハイロードとは戦後資本主義が歩んだ道で、技術革新によって高い品質の製品を低価格で生産することで競争に勝とうとするが、ローロードとは新自由主義レジームが追及するもので、低賃金により競争に勝とうとすることである。戦後の日本が歩んできた道はハイロード戦略である。)

    ・日本の経済悪化の原因は、輸出減少であって、金融機関の破綻によるものではない
    ・1層:住宅市場、2層:住宅金融市場、3層:住宅ローンの証券化市場、4層:CDS(債務不履行に対する保険)
    ・物価は数ある経済変数のうちの一つでしかない。物価が安定化すれば、経済も安定化するという考え方の方が単純すぎた。
    ・毎年経常収支で黒字を蓄えることは問題ないようだが、財やサービスを外国に売るということは、購入する国が存在するということだ。
    ・ラッファー曲線の欺瞞。減税を行っても税収は減少し、財政は悪化する。納税している富裕層にのみ恩恵。
    ・地方政府が財政出動する意味は中央政府に比べて限界がある、というか無意味。
    ・アメリカの議会予算局の試算:政府消費・政府投資1ドルに対して、GDPは1.0~2.5ドル増加。インフラ投資のために州政府に補助金を支出する場合も同じ効果。他方、低所得層、中産階級への2年間の減税1ドルに対するGDP増加は0.6~1.5ドル。金持ち減税1ドルに対して、GDP増加は0.2~0.6ドル。

  • 新自由主義に対して痛烈な批判をおこなっている。
    もっともその対案を示せていないのが難点だが。

  •  ポスト・ケインズ経済学派からの新自由主義全面批判の書。1980年代以降のアメリカの経済政策を俎上にのせ、具体的かつ簡明に新自由主義の失敗を論証している。特にFRBの無能と犯罪的政策への批判は舌鋒鋭い。ただし、一般向けにわかりやすくするため、あえて問題を単純化しているので、より詳細な著作を併読する必要があろう。

  • 2013年5月に刊行された新しい本。
    2012年末にアメリカが苦しんだ「財政の崖」問題や、2012年12月に政権を取った安倍首相の政策についても説明されている。

    主にアメリカの新自由主義政策の失敗について、あとは世界的な住宅バブルによるグローバル・インバランスの拡大、歴代FRB議長のグリーンスパンやバーナンキの主張など、新しいトピックが多くて面白かった。
    ただ国際金融をしっかり勉強しなかったせいで、グローバル・インバランスの議論が理解しにくかった。

  • 米国の政治状況を「コーポラティズム」(政府と利益集団のパートナーシップに基づく政治)と説明するなど示唆を得られる点もありましたが、グリーンスパン議長に対する個人攻撃や揶揄が度を越しているように感じられました。よって☆一つ減。
    批判されるべきは新古典派経済学ではなくて、政府と「上位1%」の癒着による法制度の歪みであり、市場機能そのものではないと思うのですが、「新自由主義」というレッテル貼りをしてしまうと議論はそこで終わりです。
    政府は市場介入すべきじゃない、というのは依然として正しいような気もしますし、社会主義的政策が持続している印象も有りますので、はたして中曽根政権~小泉政権が「新自由主義」なのかも疑問です。

  • 地元の図書館で読む。

  • 新自由主義などという言葉を与えると、それが救世主的な響きを持ってしまいがちであるが、一連の経済問題を引き起こしている元凶には違いない。この本では新自由主義を支える理論の解説、問題点を指摘しつつ、現在の各国の財政危機との関連を解説する。貨幣というものは価値を測るためのひとつのモノサシでしかないはずなのだが、便利すぎるが故にそれに依存しすぎた結果のように思う。人類が文明を発達させてより使われ続けている「貨幣」という概念を一度捨てて考え直す時期なのかもしれない。

  • 期待して読んだ。が、大したことなかった。新自由主義を批判するだけの本だ。
    新自由主義の欠陥は皆が知っている。それを知りながらなぜ抜け出せないのか、を聞きたかったのに。
    1%のスーパーリッチに富が集中しているのは事実だろうが、彼らも単に強欲なだけではないでしょうに。合成の誤謬を抜け出すのが如何に難しいことか。
    例えば、金融を批判するのは容易いが、取引税とかで縛ったら資金は速やかに海外に逃げ出す。賃金を上げたら、景気がよくなる前に会社が潰れる。
    今回の安倍政権のように、産業界を巻き込んで賃上げをさせるには深謀遠慮が要るのだ。

  • 確かにおっしゃる通り。
    でも、小泉時代の郵政民営化はどうだったんだろう。
    ブッシュ(子)と仲良くしてた映像はありましたが、新自由主義というより、あのお役所的職員のふてぶてしさは、旧国鉄、電電公社、社保庁と国民としては辟易としていた時代。
    だから、劇場的政治をやってくれた小泉さんを国民はめっちゃ指示したはず。
    それをいまさら・・・、新自由主義だから格差ができたんだとか・・・、国民にしてみれば、意見が少数だろうがどうだろうが、聞こえてこない意見なら、無いに等しいんですからね。
    経済学者はいつも「あとから、あとから言います」から著者も同じ穴のむじなですよね。

  • 服部茂幸『新自由主義の帰結 なぜ世界経済は停滞するのか』岩波新書、読了。新自由主義に基づく制度と政策は、どのように金融危機を拡大させ、各国の財政危機と連動したのか。本書は、レーガン以降の米国の金融政策を取りあげ、その帰結と責任を厳しく問う。新書ながら新自由主義理論の根本批判の書。

    本書は、新自由主義の理論と歴史、政策当局者の判断を順を追って説明し読みやすい。新自由主義は、市場メカニズムによる効率的な資源配分を信頼し、規制緩和と行政改革を掲げ、名目成長をその成果と喧伝したが、経済恐慌を脱し人々は豊かになったのか。


    オーウェル風に帰結すれば「成長とは99%の国民の賃金・所得が停滞することである」、「パイの増加とは1%の富裕層にパイを集中させることである」、「供給サイドの改善とは、家計に返済できないカネを貸して、支出させることである」がその内実であった。

    本書は金融自由化(しかし中身は新自由主義の批判する以前の状態よりも官民の癒着構造)の「帰結」と親和する行政官僚に手厳しい。著者の立場はポスト・ケインズ派に近いという。しかし、その批判の筆致には理論的立場からの雰囲気は感じられない。

    「貧困大国、格差大国アメリカのまねをして、アメリカと同じ病が日本に広がるのは、全く不思議なことではない。……アメリカで失敗した政策をまねて、アメリカのような失敗が生じるのは当然の結果と言えよう」。弱者しばきと自己責任論に血眼になる前に紐解きたい。

  • 332.06||Ha

全16件中 1 - 16件を表示

服部茂幸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×