新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)

著者 : 南川高志
  • 岩波書店 (2013年5月22日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314264

作品紹介

地中海の帝国と言われるローマ帝国は、実は「大河と森」の帝国だった?衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は存在しなかった?あの巨大な帝国は、わずか三〇年で崩壊した?-歴史学の最新の知見から"二一世紀の衰亡史"を語り、栄えた国が衰えるとはどういうことか、国家とはそもそも何なのかを考えさせる、刺激的な一書。

新・ローマ帝国衰亡史 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 歴史に疎い私でも丁寧に読んでいけば理解できる。
    ローマ帝国の衰亡の原因を「ローマ人らしさ」の消失に求めている点は、組織のあり方、特に組織文化や組織アイデンティティーの観点ともつながる課題となりうる。
    改めて、歴史を解釈していくことのおもしろさを認識させてくれる好著である。

  • 南川さんは、日本で信頼できる古代ローマ史家のひとりだと思います。現在の我々の「民族」という言葉の意味が、古代ローマの歴史に接する際に、邪魔をします。19世紀以降の民族としての「ゲルマン人」という人たちは存在しないということをあらためて認識しました。(途中)

  • 西ローマの自壊過程が面白い

  • 西暦300年代以降から、ローマ帝国が衰亡した原因を描く。

    自己と他者をどう区別するか、意識の変遷が大きいとしている。その意識の違いが軍事、政治に反映された結果、衰亡を促進した、とのこと。我ら、の意識を持っていた地理的範囲が狭まり、旧来の層の自意識が先鋭化したのが問題とするが、いくつかあった原因の一つなのだろうか。とするなら、衰亡より解体の方が近い気がする。

  • ローマ帝国はなぜ滅びたのか。世界史の教科書的には、分割統治によって弱体化した西ローマ帝国にゲルマン民族が侵入し、暴れまくった結果、なんとなく帝国は消滅したという説明だろう。たぶん。そんなスッキリしない説をはっきりさせようじゃないかと、最新の研究による新発見ネタも盛り込んで著されたのが本書。

    ややこしい人名が乱発する内容なので、ローマ史をそれほど知らない人にとって、とっつきにくい本だ。そんな人はなぜローマは滅んだのか、その一点だけを理解しようという心構えで読むべきだ。個人的には、反キリスト教の懐古主義者、ユリアヌス帝の短い生涯が印象に残った。

    で、ローマ滅亡の要因の一つ、「ゲルマン民族大移動」のこと。この言葉から、武装難民が次から次へローマ領土を荒らしまわり、なんとなく「北斗の拳」の世界をイメージするが、実際はそこまで無法ではなかったそうだ。温厚な民族や数10名の少数民族もいて、平和的にローマに「引越」するものも多く、武力による侵入はほとんどなかったようだ。

    しかし、それはローマにとって、ローマ愛を持たず、帝国の危機にも非協力的な市民が増えることだ。ローマを愛するローマ人がいなくなり、帝国はなんとなく消滅した。・・・読み終えて、どうも腑に落ちない結論。

  • ローマ人の繁栄は異民族を排除するのではなく取り込むことにあり、衰退はその寛容さを無くしたこと。
    国の盛衰を考える上で軸がぶれるといけないのかな?
    日本はギネスで一番長く存在している国だが、日本の軸は何であるのか。
    これを考えさせられた。

  • 読了。

  • ローマ帝国の五賢帝以降のキリスト教を取り入れてから滅ぶまでの描いた一冊。

    ローマ帝国の知識がないと難しい箇所も多々あったが、現代にも置き換えることのできる歴史の攻防はとても勉強になった。

  • 著者なりの解釈のローマ帝国衰亡史。

    まず全盛期のローマ帝国がいかにしてあのような巨大な領土を成せていたのかを説明する。
    そして、コンスタンティヌス帝以降の通史を追って、それがいかに崩壊していったかを説く。

    曰く、全盛期の帝国には明確なフロンティアはなく、帝国を帝国たらしめていたのは「ローマ人である」というアイデンティティであったという。
    そして、その基盤が揺るぎ始めるのがコンスタンティヌス大帝の治世であり、最後はわずか30年の間に一気に瓦解したことを描く。

    政治史と社会史に重きをおいた論調。
    ローマ帝国の紐帯の基盤を、人々の「意識」に求め、その「意識」を育んだ政治システムがいかに変容したかを説くことで、衰退の理由を捉えようとする。
    全盛期の帝国の政治システムが、「ローマ人である」というアイデンティティの形成を促進し、その意識が帝国の「統合」するように機能していたという主張は大変説得力を感じた。
    しかし、ローマ帝国末期にそれを支えていた政治システムが変容していったことは分かったが、それが理由で他民族に対しなぜ「排他的」な意識に変わっていったかは読んでいてあまり得心できなかった。

    どうしてもこういう切り口からの分析は立証するのが困難なように感じてしまうが、そもそもローマ帝国の衰亡ともなれば様々な要素が複雑に絡み合った結果なので、明確に描き出すことは難しい。
    こういう努力の積み重ねが、今までに散々説かれてきた衰亡の理由に、さらに新たな側面を付け加え、また一歩その全体像に近づけているのかもしれない。

    歴史研究もその時代背景の影響を色濃く受ける、という主張が繰り返し登場するのも興味深かった。

  • ローマ帝国の衰亡の原因を、寛容さの喪失であるとして論じている。
    ローマ帝国というとゲルマン人によって滅ぼされたという印象をもつが、実際は魅力的な「ローマ人である」というアイデンティティーでもっていわゆるゲルマン民族などの外部部族をその内に受け入れ、帝国がまとまっていた。
    それが、国家の危機に際して「排他的ローマ主義」が台頭してきたことが、急速に国家の魅力を失わせ、ローマ帝国が「尊敬できない国家」へと成り下がったとしている。
    国家としての魅力を失ったときに国は滅びる。ある意味非常にわかりやすい話だが、その経緯はとても複雑だった。如何にして国家は滅びるのかについて考えさせられた。

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