- 岩波書店 (2013年5月23日発売)
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感想 : 54件
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784004314264
作品紹介・あらすじ
地中海の帝国と言われるローマ帝国は、実は「大河と森」の帝国だった?衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は存在しなかった?あの巨大な帝国は、わずか三〇年で崩壊した?-歴史学の最新の知見から"二一世紀の衰亡史"を語り、栄えた国が衰えるとはどういうことか、国家とはそもそも何なのかを考えさせる、刺激的な一書。
みんなの感想まとめ
衰亡の過程を通じて、帝国のアイデンティティの変化に焦点を当てた一書は、ローマ帝国の崩壊を「ローマ人である」という誇りの衰退から解明しています。歴史に不慣れな読者でも丁寧に読み進めることで、その核心を掴...
感想・レビュー・書評
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ローマ帝国の崩壊を、人々が「ローマ人である」という誇りを持ったアイデンティの衰退から説明している、と思われる。
人物名が多く、地理に馴染みがなかったので読むのに時間がかかり、理解できた自信はないが、物語の核はとても分かりやすかった。
トップの政策の失敗、汚職により体制が綻び始め、人々の生活が立ち行かなくなると「仮想敵」がいると呼びかけて団結を図ろうとする流れは、現代でも見られるだろう。
ローマ帝国の存続は、まさに人の流れに制限がほとんどなく、有能であれば徴用されて、出世ができたという文化にあり、それを自ら狭めてしまったのは生存可能性を自ら低くしてしまう行いであった。
この点は、組織論でも指摘がなされそうな箇所であり、面白かった。 -
歴史に疎い私でも丁寧に読んでいけば理解できる。
ローマ帝国の衰亡の原因を「ローマ人らしさ」の消失に求めている点は、組織のあり方、特に組織文化や組織アイデンティティーの観点ともつながる課題となりうる。
改めて、歴史を解釈していくことのおもしろさを認識させてくれる好著である。 -
南川さんは、日本で信頼できる古代ローマ史家のひとりだと思います。現在の我々の「民族」という言葉の意味が、古代ローマの歴史に接する際に、邪魔をします。19世紀以降の民族としての「ゲルマン人」という人たちは存在しないということをあらためて認識しました。(途中)
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高校時代に世界史を学んだ人や、歴史に興味がある方は、西ローマ帝国の滅亡について次のように理解していると思います。「ゲルマン人の大移動などによって国力を失った西ローマ帝国は、476年にゲルマン人傭兵オドアケルが皇帝を退位させたことで滅亡した。」
しかし、実際はそんなに単純なものではなく、もっと複雑な要因がありました。むしろ、この476年の出来事というのは、そこまで重要なものではないとこの本で筆者は述べています。西ローマ帝国の滅亡の要因とは一体何だったのか、日本におけるローマ史研究の重鎮が考える答えというものを、ぜひ読んでいただきたいです。そして、それが面白いと思ったり、または疑問を持ったりした場合には、ぜひ歴史の道を進んでもらいたいです。
初学者にも、歴史を専攻しているしている方にもおすすめできる一冊です。
【中央館2F文庫・新書コーナー081//I95//NR1426】【OPAC: https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB12490600】 -
ローマ帝国が当初、民族の捉え方がフレキシブルで融通性に富み、帝国を発展させる力の一つであったが、東西の分裂、東方民族の侵入への対処に狭小な考え方が入りはじめ、フレキシブルさを失った帝国の未来は暗澹たるものになってしまった。
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見方としては面白いが説得力は弱い
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地図や系譜図がふんだんに用いられ、年表も付けられているので慣れない人名や地名も混乱せずに読める。さらに欲を言えば、これだけよくまとまった内容なだけに、索引があるとうれしいところ。
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ちょっと余裕がなく理解しながら読めなかった
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ローマ史は大好きなテーマの一つなので、大変面白く読めました。まだまだ学問的にこの分野は進んでいきそうで今後の展開が楽しみです。
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5/191周目 速読
ローマ帝国の崩壊は、ローマ市民がアイデンティティを失ったことに始まる。
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ローマ帝国衰亡の原因を歴史的展開から眺めたら、「ローマ人としてのアイデンティティを失った」ということだそうです。新書を読むような人間にはこれぐらいの説明と結論がちょうどいい、みたいな感じですかね?
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ギボンのローマ帝国衰亡史も読んでいないし、ローマ帝国の歴史に詳しいわけでもないため、消化不良気味。
ローマ帝国がこんなに広大だったことに驚いた。また、最初は、外れの方は境界が曖昧というかゆるかった、民族という意識がなく、「ローマ人である」という意識で繋がっていた。帝国崩壊の原因はそのような意識でいたはずの「第3のローマ人」達を排外主義により帝国の中心部から排除しようという動きのせい、など。
現在の日本は大丈夫かな、とつい考えてしまった。
巻末に簡単な年表がついていて、先に気づいていれば、もう少し頭がついていけてたかもしれない、と思いました -
『ローマ帝国衰亡史』といえばギボンのものが本家本元。その向こうを張って21世紀の衰亡史を書こうというもの。歴史学はその同時代の影響を必ず受けるものだと。もっとも本家は文庫本で全10巻。手軽なところが21世紀的という訳ではなかろうが。
カエサルの時代(前1世紀)、五賢帝時代(2世紀)、軍人皇帝時代(3世紀)からまず概観して、コンスタンティヌス大帝、ウァレンティニアヌス朝、東西ローマ帝国分裂(4世紀)、西ローマ皇帝廃位(5世紀)までを扱う。ローマの歴史に詳しくないので、ざっと掴むのにはありがたい記述の分量。
・ローマ帝国の国境は出入りのルーズな「ゾーン」であった。→昔だしそんなものか。一方、ハドリアヌスの長城なんてあったが。
・複数の皇帝による分割統治は東西分裂以前、ディオクレティアヌスの治世からあった。→版図が広くなりすぎとはいえ「帝国」のイメージとなんか違う。当時の通信手段は何があったのだろう?駅伝とか狼煙とか。
・「ローマ人」の概念は版図拡大とともに広がった。ローマの外にいるローマ市民もローマの特定地区に本籍みたいなものを持っていたが次第に名目化した。生粋のローマ人が「第一のローマ人」、植民市生まれが「第二のローマ人」、蛮族出身が「第三のローマ人」。今のような「民族」概念は持っていなかったとされる。ただ服装をローマ風にすることが要求されたりした。
・蛮族出身者にとってローマ軍への入隊が帝国内の社会階層を上がる典型的なルートであった。ほかに官僚への登用なども。「第三のローマ人」の存在は時の皇帝の重用によるものであり、皇帝権力と密接に結びついていた。→100年以上たっても同化しなかったわけだし、蛮族出身のアイデンティティは保たれていたようだ。
・ゲルマン民族の大移動が、これまで言われてきたように破壊的なものであったか、それともよりマイルドなものであったかは議論がある。しかし、特定の時期にローマの城砦などが破壊されていることは発掘により明らかになっている。
・混乱期は皇帝や一族郎党がよく処刑される。北朝鮮か。
著者の主張は、ローマ人アイデンティティの崩壊=偏狭な排外主義がローマ帝国衰亡につながったと読める(あまり因果関係を明示的に主張してはいないが)。しかし因果は逆で、帝国の勢力衰退が排外主義台頭につながったと考えるほうが素直では。 -
・ローマ帝国を実体あるものとしたのは「ローマ人」であるというアイデンティティ。このアイデンティティのもと、外部からの人材を受け入れてきた。しかし、四世紀以降の経過の中で徐々に変質し、内なる他者を排除するようになった。政治もそうした思潮に押し流されて動くことによって、その行動は視野狭窄で世界大国に相応しくないものとなり、結果としてローマ国家は政治・軍隊で敗退するだけでなく、「帝国」としての魅力も威信も失っていった
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ローマ帝国の拡大路線を支えていたものは、ローマ人ではなく、ローマ市民という意識。
逆にこれが、排他的な意識となり、帝国の衰亡を招いた。 -
ローマは「ローマ人であること」の共有によって拡大し、「排他的ローマ主義」の排除によって滅びる。
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(後で書きます。年表あり)
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西ローマの自壊過程が面白い
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ローマ帝国はなぜ滅びたのか。世界史の教科書的には、分割統治によって弱体化した西ローマ帝国にゲルマン民族が侵入し、暴れまくった結果、なんとなく帝国は消滅したという説明だろう。たぶん。そんなスッキリしない説をはっきりさせようじゃないかと、最新の研究による新発見ネタも盛り込んで著されたのが本書。
ややこしい人名が乱発する内容なので、ローマ史をそれほど知らない人にとって、とっつきにくい本だ。そんな人はなぜローマは滅んだのか、その一点だけを理解しようという心構えで読むべきだ。個人的には、反キリスト教の懐古主義者、ユリアヌス帝の短い生涯が印象に残った。
で、ローマ滅亡の要因の一つ、「ゲルマン民族大移動」のこと。この言葉から、武装難民が次から次へローマ領土を荒らしまわり、なんとなく「北斗の拳」の世界をイメージするが、実際はそこまで無法ではなかったそうだ。温厚な民族や数10名の少数民族もいて、平和的にローマに「引越」するものも多く、武力による侵入はほとんどなかったようだ。
しかし、それはローマにとって、ローマ愛を持たず、帝国の危機にも非協力的な市民が増えることだ。ローマを愛するローマ人がいなくなり、帝国はなんとなく消滅した。・・・読み終えて、どうも腑に落ちない結論。
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