近代発明家列伝――世界をつないだ九つの技術 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314288

作品紹介・あらすじ

大航海時代から産業革命を経て、交通と通信の革命が到来する。世界を制するとは、時間と空間を制することだった。世界時間が定まり、エンジンを搭載した輸送機械が作られ、電話と無線が地球全体をつなぎ、現代世界が生まれた。ワット、エジソン、ベル、ライト兄弟ら、鍵となった九つの技術をめぐる発明家の苦闘と意外な結末を描く。

感想・レビュー・書評

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  • ●ハリソン…世界時刻の計測
    温度の影響により振り子の長さが変わるのを防ぐ技術。
    ●ワット…産業革命の原動力、蒸気機関
    平均的な馬が1分間に22,000フード・ポンドの仕事をこなすことができる。ワットは、その1.5倍の能力を「一馬力」として定義した。。
    ●ブルネル…大英帝国の技術ビジョン
    産業革命期のイギリスで、鉄道建設や蒸気船の建造に活躍した。
    ●エジソン…電話発明の副産物として蓄音機を発明、電気照明の事業化。電磁気学の基礎を学んでいないエジソンにとって、交流の長所を理解することは困難だった。
    ●ベル…電信から電話
    ●でフォレスト…無線通信とラジオ放送。無線の発明家マルコーニに対して、ラジオの父と呼ばれる人物。
    ●ベンツ…ガソリンエンジン搭載の自動車
    ワットの蒸気機関は高圧式にすることで軽量化した。しかし普通の道路を走行するには重すぎた。
    ●ライト兄弟…飛行機は世界を一変させた。ほんの100年前の出来事。
    ●フォン・ブラウン…宇宙ロケットとミサイル。ナチスドイツのV2ミサイルの生みの親、冷戦下のアメリカでアポロ計画のサターンロケット開発の中心となった人物。

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  • ワット、エジソン、ライト兄弟、フォン・ブラウンなど歴史に名を残した有名な発明家・実業家の事績を簡潔に記した文庫本である。一人ひとりの事績を追うならもっと詳しい本はたくさんあるし、むしろそっちを読んだ本がいいのだが、これを手に取った理由は、珍しくイサンバード・ブルネルが載っていたからだ。

    ブルネルはイギリスの技術者で、鉄道建設や蒸気船事業などに取り組んだ人物である。イギリスでは知らない人はいない人物で、アメリカの大学でも、尊敬する偉人ランキングなどで上位に入っているようだ。恥ずかしながら、そのニュースを読むまで自分は知らなかった。

    ブルネルは父も有名な技術者であり、出自も裕福である。父の事業を継いだこともあって、エジソンなどから比べるとやはりストーリー性には乏しいように感じる。日本で有名にならないのも無理は無いように感じた。

    しかし、技術が急速に発展していった時代に抜け目無く鉄道や蒸気船といったインフラ事業に乗り出していった点は素晴らしいと思う。特に鉄道建設などは黎明期で今のような技術やノウハウが確立されておらず、困難を極めたようだ。

    また、彼はイギリス以外にもイタリアやインドなど、他地域の鉄道敷設にも尽力している。交通が不便だった時代において、フロンティアである鉄道事業は本当に魅力的な事業だったのだろうと思う。

    また、彼の作った蒸気船はイギリスと大西洋をつなぐ海底電信ケーブル敷設に用いられたそうだ。海底ケーブルは後に日本とも繋がったというが、こちらの方が縁がありそうである。

  • ワット、エジソン、ベル、ベンツなど9名の稀代の発明家のエピソードを散りばめた一冊。一部読みにくい部分もあるものの、興味深い苦労話が多く、参考になった。

  • ハリソン:時計
    ワット:蒸気機関
    ブルネル:蒸気船
    エジソン:いっぱい
    ベル:電信
    ■デフォレスト:三極管、ラジオ
    ベンツ:ガソリンエンジン自動車
    ライト兄弟:飛行機
    フォン・ブラウン:ロケット

    デフォレストは、知らなかった。三極管=信号増幅=発振というアイデアがどうやって生まれたのかは、非常に興味深い。
    また明治維新のころには大西洋横断通信線が敷設されようとしていたことは驚きである。

  • 面白かったです。

  • 地元の図書館で読む。

  • 橋下毅彦『近代発明家列伝 世界をつないだ九つの技術』岩波新書、読了。本書は現代世界の基盤となる9つのイノベーションと発明家を取りあげ、経緯や背景を辿る中で世界の変化を解説。ハリソン、ワット、ブルネル、エジソン、ベル、デフォレスト、ライト兄弟、フォン・ブラウンが本書の主人公だ。

    ハリソン、ワット、ブルネルは地球規模で一体化する基礎を、エジソン、ベル、デフォレストはメディア技術の基礎を、ベンツ、ライト兄弟、フォン・ブラウンは交通技術を飛躍的に拡大する基礎となった。エピソードも豊富で現代世界誕生の経緯がよく分かる。

    ハリソンの時計は今も正確な時間を刻み、ベルは晩年特許裁判に明け暮れた。ベンツやエジソンが協業で事業化に成功させる話は、独創的職人の時代は終わり、専門家集団による協同研究への推移を予期させるものである……等々。

    「各章の最後の1ページで、『ワット=蒸気機関』『エジソン=電球や蓄音機』『ライト兄弟=飛行機』という結びつきがいかに歴史を単純化しているかがよくわかります」(編集者)。 

    http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-431428-8 

    読み物としても面白い一冊

  • 「伝説の天才」として描かれておらず、
    特許紛争、資金繰りの苦労、事業化の模索、など、
    リアルな感じがよかった。

    歴史に名を残す発明でも、決して単発ではない。
    それ以前の無数の誰かの「発明」と、
    同世代の関連技術の誰かの「発明」と、
    それ以降の改良や発展につながる誰かの「発明」がある。
    人間ってすごいな、と思う。

  • ちょっとしたアイデア企画ですね。
    巧みの時代ほどでなくても、少年の発明心をくすぐるかもしれない。
    目新しい内容ではないので、若いヒト向けなのでしょう。
    それにしても、この200年近くの人間の歩みというのはものすごいものですね。
    もちろん、現在はその10倍近い速度で進歩しているのでしょうが・・・・。

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科教授。科学史家。

「2010年 『〈科学の発想〉をたずねて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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