- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004314349
作品紹介・あらすじ
「先生!」-この言葉から喚起されるエピソードは何ですか?池上彰さんの呼びかけに、現場で実際教えている人のほか、作家、医師、職人、タレントなど各界で活躍の二七名が答えた。いじめや暴力問題にゆれ、教育制度改革が繰り返されているけれど、子どもと先生との関係は、かくも多様でおもしろい!希望のヒント満載のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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色々な人の、「先生!」の後に続く、短編集。
学校の先生だったり,お医者さんの先生色々な先生から学ぶストーリー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジャーナリスト・池上彰が呼びかけ人となり、「先生!」のひと言で思い出すエピソードを各界の著名人27人が語ったもの。
教員だけではなく、漫画家・外科医・町工場のおやじさん・作家・モデル・アーティスト・柔道家・映画監督などなど、多様な経歴を持つ人が集まっている。
まずはこの人選がおもしろい。
多彩な人々を集めたことで、通り一遍ではない、さまざまな角度から「先生」と呼ばれる職業にライトが当たるエッセイ群になっている。
縛りは文中に「先生!」という呼びかけの言葉を入れることのみ。
1編1編は短いので、空き時間にも読める。
そして自分にとって「先生」というのはどういう存在だったかな・・・と考えるきっかけにもなる。
個人的に印象に残ったのは、町工場の岡野雅行、一水会の鈴木邦男、詩人・作家の寮美千子の三氏のエピソードだろうか。特に寮氏の『空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫版もあり)はちょっと心に留めておきたいと思う。
1編は漫画、25編はエッセイだが、最後の太田光(爆笑問題)のみ池上彰がインタビューする形になっている。太田さんという人は、何を語っても太田さんだなぁ・・・。非常に好きであるとか共鳴するとかいうわけではないが、このブレない個性はなかなかすごいと思う。 -
27人のお話の中で印象に残ったのは2つ。
立ち読みで良いので、是非読んで欲しい。
田中茂樹さんの「大切な『症状』」
症例検討会で問題を解決してきたことを報告書すると、先輩カウンセラーから、「田中先生は少し早く治しすぎですね。すぐに症状をとってしまわれる。症状はその人にとって大切なものです。簡単にとってしまっていいはずがないのです」と言われてしまう。
大切なのは、「症状」のような表面に見えているものにとらわれてはならないということ。
もう一つは、最後の太田光さんと池上さんの対談。
「先生にはそもそも期待していなかった」と話すのは太田さんらしい。ただ、「いま、やけに学校に対して期待が大きすぎると思う」というのは、確かにそうだなと。
生徒からしたら、学校の他にも学ぶ場所はたくさんある。
そう考えると少し肩の力が抜けて、生徒と接していけそう。
そして、「学問を武器にして生徒とわかりあう」ということに本気で取り組んでいこう、と思える。 -
〈本から〉
想像力は無限だ
岡野雅行
(「痛くない注射針」等を開発)
大切な「症状」
「症状はその人にとって大切なものです。
簡単にとってしまっていいはずはないのです」
田中茂樹
「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない」ロジェ・ルメール 元フランス代表サッカー監督 山口香
中学・高校生に願うこと
一番大切なことは、好きなことを見つける
(略)、そして、好きなことを見つけるために必要なのは、「自由」であることです。
(略)生徒の自由を保障するもう一つの重要な要素は、多様性です 柳沢幸雄
「抗うこと」
カンボジアには虐殺の歴史の爪痕、貧困、子どもたちを取り巻く理不尽な環境など、多くの不条理がある。参加した高校生たちはこの状況に「憤り」、大きな影響を受けている。今の教育現場の多くは、何かに従うことはいつも教えてくれる。そしてほとんど教えてくれないのは、何かに「抗う」ということだ。(略)安田菜津紀
詩が開いた心の扉
振り返りまた振り返る遠花火
夏祭り胸の高まり懐かしむ
くも
空が青いから白を選んだのです
寮美千子
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「先生!」の「!」には実に様々な意味が込められていることを改めて実感し、それらを感じとる感性を磨き続けていかねばと背筋が伸びる思いがしました。社会の構造が変化する中で、教育の本質とは何かと問い続け、試行錯誤を続けていきたいと思います。
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面白かった。
家庭教育、学校教育、生涯学習という3つの教育の中で最も(?)大きな位置を占める学校教育がメイン。
先生の役職は役割であって上下関係でなく、先生同士が「先生」と呼び合うことで、対等であったり(これは場所によるだろうけれど)、年齢や経験がバラバラの通信過程の生徒でも「先生と生徒」の関係であることで生徒同士は対等であったり、とても興味深い内容だった。
一対全、という図式は良くも悪くも染み込んでいるのだろうなあ。
学校の先生、私塾の先生、医師、刑務所の教官、私個人だが学校の授業で「先生」と呼ばれたことがある方、小説の登場人物など、色々な先生が登場する。
保育士の先生はチラリと登場したけれど、学童の先生はなかったなあ。
2013の本なので、読んだ時点(2021)で8年前の本だけれど、池上さんの表現の一部(他の方もチラホラ)が少し引っかかった。当時はこれでよかったんだろうか。また今は違うのかな。どうだろう。
教育現場で働いている(先生ではない)けれどモヤモヤする〜!という方がいて、こういう本はどうかな、と思って手に取ったけれど、私のほうがふんふんと読んでしまった。本書はわずかにアレな所もあるけれど、教育=コミュニケーションだなあと実感させてくれる。 -
昨年授業の課題本として読み、最近もう一度読んだ。
多くの著名人のエッセイ集でそれぞれの人が出会った「先生」についての本。
先生に恵まれた人、恵まれなかった人、現役教師、元教師など様々な人の話があり、面白かった。
先生を目指してない人でも読んで損はないと思う。
書いている人達の環境が違いすぎてあまり具体的なイメージができなかったのが惜しい、、全く違う世界な話が多かった気がする。
でも先生であることだけは共通であり、助けてくれたり、応援してくれたり、叱ってくれたりと先生のおかげで今の自分がいるっと書いている人が多く、やっぱり先生の存在は大事だということが改めて感じることができた。
ちょろい私はこのような本を読むだけで先生になりたい気持ちが倍増する。がんばろっと。
将来に不安になったら読むと決めた1冊。是非。
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「自信を得た私は、カオス状態の何かが統合され、ベクトルを持つようになった」
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https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000072912
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【いちぶん】
今の教育の現場の多くは、何かに従うことはいつも教えてくれる。そしてほとんど教えてくれないのは、何かに「抗う」ということだ。理不尽なものに対して怒り、「なぜ?」と問うこと。それでも納得できない場合は、「NO」と言うこと。
(p.108)