おとなが育つ条件――発達心理学から考える (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314363

作品紹介・あらすじ

激しい社会変動に対応できず、途方に暮れて立ち往生している-。そんな日本の「おとな」の特徴は、社会が急速に変化しているにもかかわらず旧態依然たる「あるべき」姿に縛られたところにある。いかにそこから脱するか。史上類をみない高齢化社会のなかで、自分らしく生き抜くためのヒントになる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • おとなも発達する、というか能力に偏りがでてくるという主張。日本でのおとなの発達課題をアイデンティティやジェンダーというキーワードから紐解く。夫は幸せ妻は不満という典型的な家庭が熟年離婚となるには、コミュニケーションの方法やコミュニティの広げ方に問題があった。今後は「働く母」とか「イクメン」とか言ってないで男女子供ともに自分のケア、そして他人のケアが出来るようになることが大事とのこと。p169「ああはなりたくない」は、動物のようにモデルをそのまま模倣せず、モデルから逆の「なりたい」自分を考える、人間ならではのこと。能動的に学ぶ姿勢と力です。という言葉が良かった。図や表があまりにきれいにまとまってたのでほんまかいな?と思うとこはあったが、数値を根拠に論が進むので感情論でなくよく分かった。

  • 発達するのは子どもだけではない。
    人が発達するとはどういうことかを、一文一文、根拠を元に納得して味わえる一冊。
    子どもでも大人でも、遅くても早くても、思った時が、発達の主体として社会化・文化化を超えられる。
    過去の発達環境に原因を求めるのではなく。これからの発達環境は選べる。
    非常に勇気を与えられる一冊。

    何に関心を持ち、どんな頭の使い方が得意で、その知力が発揮されるのはどの分野なのか。
    それに眼を向けて活かすこと。

    人の能力は条件によって変化する。能力が発揮され育つ条件が人によって違う。

    ケアされる体験は、客観的正義や公正で物事判断できるが、ケアする体験は、相手の事情や感情を無視できないから、他者への配慮ができる。

    上手に生きるとは、あれもこれもではなく自分が大事と思うものを選ぶこと。

    2017.7.

  • 面白かった。
    男女の働き方の話もちょっと。

  • 高齢化社会のいま、自分らしく生き抜くためのヒントになる一冊。 現代の日本人が、これから真剣に考えていくべきテーマである大人の発達や大人になってからの生き方について、考えさせられる内容です。

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50100289&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • おとなの発達障害というのが話題になっていて、ふと手にとってみた本。学力よりも実務能力が「賢さ」の指標。

    大人の未発達の原因を、基本的に家族における性役割に求めている。すなわちジェンダー論からの指摘のため、家事分担や育児に関わらない夫は妻の重荷になる「大きいだけの子ども」「退職後のネットワークがないため孤独」という、いささか既婚男性に厳しい論評が繰り返されている。女性も女性で未婚であるために幼稚な人や、既婚でも精神的に大人じゃない人も多いにいるわけだが、それについてはほとんど論じられない。

    発達心理学からというよりも、ジェンダー、フェミニズムから考えた本。

    超長命社会化で、男も女も、仕事一筋ではない家庭を軸にした生き方を考えるべきという主張は納得できるが。未婚で仕事ひと筋の人だって必ずしも子どもっぽいとは限らないと思うけど。とくに結婚による幸福感に「夫は満足、妻は不満」という研究結果がそれを語っている。だからこそ妻の不満を和らげるために、男は努力しなさいよ、という啓蒙書なのだろうな。

    経済的に自立するのみならず、幼弱衰病老者に寄り添いケアする心こそが、おとなの要件である、には大いに同意。

  • 寿命が延びたことで、様々な問題があらわれてきた。
    男性はリタイア後のアイデンティティの形成(再構築)の問題に、女性も育児を終えた後の、母として世話をするわけではなく個人として生きる長い長い時間に向き合うことになった。そして親子関係にも変化が現れてきた。従来の、育児期は親から子へ、そして老年期には子から親へ資源が流れるような「循環型」の親子関係ではうまくいかなくなってきた。時間やエネルギー等の有限の資源をどう使うかをめぐる葛藤は、育児不安にもつながるし、介護の問題にも現れる。

  • 「結びに代えて」の一節に「ジェンダーというと、とかく女性の問題だとか攻撃的な言説などと敬遠される向きがありますが、それは誤解であり、認識不足です。」とある。

    この新書には、なるほど、と感じるところもそれなりにあるし、途中までは納得いく部分もあった。

    しかし。
    議論が乱暴なところが気になり、最終的には受け付けることが出来なかった。

    どこが乱暴かというと、例えば「日本の特産である育児不安を招来している要因が、母親の無職であること、父親の育児不在であることにつきることをみてきました。」というようなところ。
    「つきる」という以上、せめてもう少し他の要因もまともに検討して欲しかった。
    一言でいうと、自分の感覚だけに基づく決めつけがひどい。

    「攻撃的な言説などと敬遠される」というのは、多分そんな決めつけがうんざりされているのだと、私は思う。

    よい分析もあるだけに残念。

  • この本は,タイトルに期待される内容が書かれていない.マクロに捉えた,日本の家族像に対する著者のコメント集のようなものである.文献等のデータを引用しているが,それらから総論なりを抽出できていない.新書という位置づけで良心的にみれば,近年日本の社会状況レビューといったところか.とても「発達心理学」に関連する内容とは思えない.日本の場合,夫は仕事第一・妻は専業主婦の形が多く,この構図がよくないというのが最も言わんとすることのようだが,その解決への提案は具体的に示されない.おしなべて論じる焦点(読者としてはタイトルに対する見解を期待しているわけだが)が散漫で,何が言いたいのかわからない.加えて,文章も上手くない.

  • タイトルからはもう少し科学的な内容で、人間という生物の成り立ち方、育ち方、かと思ったが
    あにはからんや。日本社会の持つ歴史や文化を、古き悪しきものと考えて引っ張られすぎているかなあ、という印象を強く持った。いわゆる濡れ落ち葉的退職後のオッサンの話やら、家族を顧みない過労死の話やら。これは、「日本のジェンダー論」とでもしたほうがいいのかなあ、と思った。おとなが育たない要因は、そういう昔ながらの夫婦の依存関係の歪みよりも、「マイルドヤンキー」のような内向的社会分断のほうが今後は問題になるんじゃないかなーと想像。

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プロフィール

1960年,東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。教育学博士。現在,東京女子大学名誉教授。
主要著作:『子どもという価値―少子化時代の女性の心理』(中央公論新社,2001年),『家族心理学―社会変動・発達・ジェンダーの視点』(東京大学出版会,2003年),『日本の男性の心理学―もう1つのジェンダー問題』(共編,有斐閣,2008年),『家族を生きる―違いを乗り越えるコミュニケーション』(共編,東京大学出版会,2012年),『おとなが育つ条件―発達心理学から考える』(岩波書店,2013年)

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