中華人民共和国史 新版 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314417

作品紹介・あらすじ

二一世紀に入り、世界の眼は俄然、中国に向けられるようになった。飛翔を始めた巨大な龍。一九四九年の建国以来、この国はどんな歩みをたどってきたのか。今日に至る数多くの事件・事実をたどり、他に類を見ない、そのダイナミックな歴史の流れを描く。定評ある通史をアップデートした新版。

感想・レビュー・書評

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  • 2012年に中国では、日本政府が尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化に抗議する、1972年の日中国交正常化以来40年ぶりの最大規模とも言われる反日デモが爆発した。デモ隊が日本系の飲食店のガラス窓を壊したり、工場に乱入し、生産ラインを破壊したりする姿は、日本人の中国への嫌悪感を一層深めただろうと予想される。しかし「中国は『引っ越しのできない隣人』とよく言われるが、私はその表現は不十分だと思う。むしろ『離れたくても離れられない複雑に絡み合った隣人』と言ったほうが適切であろう。それだけに、甘いも辛いも酸いもすべてないまぜの隣人・中国とはしっかり向き合うしかない。」と著者が述べている。
    中国に対して嫌悪感や先入観を持っているより、「中国はどこから来たのか」ということを理解するべきだと著者が示唆している。そこで、中華人民共和国の60年間の歩みをまとめたものが本書である。
     本書はタイトル通り、共産党の歴史ではなく、中国建国以来の60年を描写している。中には、国内外の厳しい環境にも関わらず、共産党を率いて新中国誕生までさせた毛主席のストリー、中国の現代化を実現させようとする鄧小平の改革開放、及びその後の歴任主席の重大事件、さらに現在習近平時代までの大量の事件を淡々と描かれている。もっとも、「勝った者が歴史を書く」と言われるように、中には絶対に中国の歴史教材に出現しない内容も多々言及された。
    かつて世界に輝かしい歴史を残した中国は、衰退や経済発展遅れを脱却するために躓いたり、転んだり、試行錯誤を繰り返してきた。新中国を誕生させた時から、GDP世界第二位に至る現在までの過程は決して容易ではないと感じた。
    勿論、急速に台頭する中国を警戒している世界諸国もある。終章では、これからの中国は強国として、強硬外交ではなく、周辺各国並びに世界諸国とどう平和共存をしていくべきかについても述べられている。中国の歴史が『三国誌』しか知らない人は是非、一読しよう。

  • 中国史はあまり目にしないがやはり歴史のある国であり、うねりのある歩みを経た国と分かる。内容の割に読みやすい。

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/peoples_republic_of_china.html【書評】『中華人民共和国史』類稀なる策略家毛沢東
    https://shimirubon.jp/reviews/1679309中華人民共和国史 新版 | レビュー | 類稀なる策略家毛沢東 | シミルボン


    <目次>
    序章 中華人民共和国前史
    第一章 新中国の誕生と国造りの模索
    第二章 中国独自の社会主義建設の挑戦と挫折
    第三章 プロレタリア文化大革命
    第四章 曲折する近代化への転換
    第五章 改革開放路線と第二次天安門事件
    第六章 ポスト?小平と富強大国への挑戦
    第七章 「中華民族の偉大な復興」への邁進
    終章 中国はどこへ行く


    <読書のきっかけ>
    中国の現代史を知りたい。
    ・国共内戦(1945-1949)・・・本書は、中華人民共和国成立後の1949年以降が主で、国共内戦の過程はあまり書かれていない。
    ・大躍進政策(1958-1960)とその失敗
    ・文化大革命(1967)とその失敗
    ・米中・日中関係の改善(1972)

    <本書を読んで分かったこと>
    ・ロシア革命を経て成立したソビエト連邦と異なり、中華自民共和国は共産革命を目的としたものではなかった。
    ・しかし、中華人民共和国成立の翌年、朝鮮戦争が勃発し、アメリカに対抗するというポジショニング上、親ソ連として共産化路線を歩まざるを得なくなった。
    ・共産化路線を体言したのが、大躍進政策(1958-1960)。この頃、人民公社が整備され普及した。
    ・毛沢東というのは、国家経営は下手だったが(大躍進と文化大革命で数千万人の死者を出している)、時代の読み・戦略立案・権謀術に非常に長けていた。日中戦争を生き残り、国共内戦で勝利に導いただけでなく、大躍進政策の失敗にも関わらず君臨し続けた。


    2015.09.22 読書開始
    2015.09.24 読了

  • ●建国したばかりの中国にとって、朝鮮戦争が与えた影響は大きかった。

  • 中華人民共和国の歴史を政治面を中心に取り上げる。新書なので大まかな流れをさっと見る程度の記述だった。少なくとも90年代までの中国は、党首脳部の権力闘争と国際関係ぐらいしか語るべきこともないのかなとの印象。

  • 21世紀に入り、世界の眼は俄然、中国に向けられるようになった。
    飛翔を始めた巨大な龍。
    1949年の建国以来、この国はどんな歩みをたどってきたのか。
    今日に至るはず多くの事件・事実をたどり、他に類を見ない、そのダイナミックな歴史の流れを描く。
    定評ある通史をアップデートした新版という本の紹介である。
    現代日本人は、戦後ずっとアメリカ的価値観に影響を受け思考してしまうというところがある。
    著者は、中国通史を著すにつき、「ナショナリズム」「近代化」「伝統」「国際的インパクト」「革命」という5つのファクターを設定し、それらが、共鳴し、また、反発しあいながら事件・事実が起こったと説明している。
    国土の大きさ、人口の多さ、歴史の長さ、すべて日本を上回る中国を読み解くとき、日本人の常識では計り知れないものがある。
    5つのファクターという補助線を引くことにより、中国史の素人にとって、中国が少し、近くなったような気にさせてくれる著作でした。

  • 中華人民共和国の歴史の流れがよくわかった。中国に前向きな興味が湧いてきた。中でも、鄧小平という人物に興味を惹かれたので、鄧に関する本をよんでみたい。

  • 1949年の建国からを概観する。
    タイトルの通りで中国共産党史ではない。この65年の中国史だ。これが信じられないくらいダイナミックであることが分かる。
    毛沢東→鄧小平と続く最高指導者の凄味と権力闘争が、淡々とした記述で語られる。ようやく文化大革命を清算した中国の次なる課題は、天安門事件をどう清算するかだろう。文化大革命を清算して市場体制を導入できた。次は民主化という文脈なのだと思う。
    二度の失脚から復権した鄧小平は、改革開放の旗頭だった。では民主化と社会主義を統合できるの誰か? うーん。想像もできないや。

  • 新版がでたので購入しました。旧版は以前に読んでいたのですが,そのころとは全く状況が違っているので,全く違った感覚で読み進めています。

  • 幾たびにもわたって転換を繰り返してきた中国。ブルジョワへの敵対心が毛沢東を突き動かした。それに対して自由化を進めた鄧小平。複雑。

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著者プロフィール

早稲田大名誉教授。1947年生まれ。
早稲田大学卒業、一橋大学大学院博士課程修了。社会学博士。外務省専門調査員として北京日本大使館勤務、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授等を歴任。
専門は、中国政治、東アジア国際関係論。
著書『中華人民共和国史 新版』(岩波新書)、『中国政治の社会態制』(岩波書店)、『「中国共産党」論』(NHK出版新書)、『日中対立』(ちくま新書)ほか多数。

「2021年 『中国のロジックと欧米思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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