小林一茶 (岩波新書 新赤版1446)

  • 岩波書店 (2013年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784004314462

みんなの感想まとめ

江戸後期の俳諧師の生涯を通じて、彼の作品がどのように時代背景を映し出しているかを探る内容が魅力的です。多くの句の中には、農民や下層民への深い共感が込められ、彼の日常の中で感じたことが詩に変わっていく様...

感想・レビュー・書評

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  • 「小林一茶」青木美智男著、岩波新書、2013.09.20
    194p ¥735 C90221 (2023.11.18読了)(2023.11.16借入)
    副題「時代を詠んだ俳諧師」
    一茶というと以下のような俳句を詠んだ人という事しか知りません。
     やせ蛙まけるな一茶これにあり
     やれ打つな蠅が手をすり足をする
     名月をとってくれろと泣く子かな
     我と来て遊べや親のない雀
     雀の子そこのけそこのけ御馬が通る
    ずいぶんわかりやすく、ユーモアにあふれた俳句を詠んだ人ですね。
    「一茶」藤沢周平著を読んで、はじめて一茶がどのような人生を送った人なのかを知りました。とはいえ、小説なので、フィクションが入り込んでいますので、史実はどうなのかが気になって、この本を図書館で借りてきました。
    「はじめに」によると
    江戸後期の俳諧師小林一茶は、いま風に言えばメモ魔であった。毎日の出来事を簡略に記録し、それを整理して書き留めてきた稀有な俳諧師だった。そのため俳諧師として活動しはじめた頃(三十代の初め)からの日記がほぼ残されている。(ⅰ頁)
    生涯に詠んだ句数
     小林一茶 2万1200句
     松尾芭蕉 976句
     与謝蕪村 2918句

    【目次】
    はじめに
    1 時代を詠んだ俳諧師
    2 学びの時代
    3 江戸の場末の裏長屋
    4 四国・九州・中国・上方へ
    5 国学の隆盛と世直し願望
    6 北方への関心、差別への眼差し
    7 老いの生と性
    おわりに
    参考文献
    年表
    一茶発句索引

    ●本書の特色(176頁)
    一茶は生涯を通して、農民への畏敬、都市に暮らす裏長屋などの下層民への共感、政治や経済への強い関心を変わることなく持ち続けた社会性豊かな稀有な俳諧師であった。その俳諧師が自ら生きた文化文政期という時代をどのように見ていたのか。それを一茶の句を使って描いてみたのが本書である。
    ●一茶の句からわかること(178頁)
    一茶の句からは、当時の識字教育の様子や、書籍や情報のやり取り、庶民の対外認識や大名など上層民への思い、さらには俳諧を中心とした地方文化の隆盛などさまざまなことを知ることができる。

    ☆関連図書(既読)
    「一茶」藤沢周平著、文春文庫、1981.12.25
    「おくのほそ道」松尾芭蕉著・板坂元訳、講談社文庫、1975.08.15
    「芭蕉という修羅」嵐山光三郎著、新潮社、2017.04.25
    「大系日本の歴史(11) 近代の予兆」青木美智男著、小学館ライブラリー、1993.06.20
    (「BOOK」データベースより)amazon
    夏の暑さに豊作を願い、打ちこわし騒動に心を寄せ、大黒屋光太夫の帰国に反応し、「君が代」や「神国」日本を詠む。市井の営みをつぶさに見つめた一茶の句からは、外国船の出現に動揺し、国学に沸く激動の文化文政年間を生きる人びとの姿が浮かび上がる。「幕末維新を準備した」と言われるその時代を、近世史家が読み解く。

  • 何十年ぶりかで、卒論のテーマであった小林一茶に触れた。
    ある意味、世俗にまみれて、悟ることのなかった俳人だと思った。
    人としては特別ではないが、二万の句作の中から光る珠玉のものがある。そんなことを再確認した。

  •  几帳面で、メモ魔で、日記を沢山残した一茶。故郷信州への限りない愛着、農民思い、反骨思想、世直し願望・・・。晩婚の一茶、子どもが次々と夭折する人間的苦悩。生涯に作った句の数、芭蕉976句、蕪村2918句、一茶2万1200句近く。青木美智男「小林一茶 時代を詠んだ俳諧師」、2013.9発行。 椋鳥も毎年来ると江戸雀

  •  この本は江戸後期の俳諧師、小林一茶の65年の生涯の中で書いた俳句を紹介している。
    主な代表作として
    『雪とけて村一ぱいの子ども哉』
    『痩蛙まけるな一茶是に有』
    なども載っている。そして、一つ一つの俳句を説明しており、まったく持って素人の私たちでもわかりやすく書かれている。

     また、一茶の生涯を通して書かれた俳句には時代の背景も見える。
    たとえば、『もたいなや昼寝して聞田うへ唄 道とふも延慮がましき田植哉』という俳句があるが、これは一茶が寛政7年(1753)33歳の初夏、西国の旅の最中で、長門国宇部の周辺を逍遥していた。ちょうど田植えの時期だった。一茶はその光景を見ながら昼飯でも食べようかと土手に上がったが、疲れが出て昼寝をしたくなってしまった。その時、田んぼから田植えする女性の歌う田植え唄が聞こえてきた。それは耕作もせず俳諧など詠んで暮らしている男には、なんともったいない子守唄に聞こえた。そこで一茶の頭にこの句が浮かび、懐中日記の余白に書き留めた【p13】。
     田植えは常に低姿勢を保ちながら稲を植えていく作業でとても腰に負担がかかり重労働となる。そのため、少しでも楽しみながら痛みを和らげるために、女性は唄を口ずさみながら作業をしていることがわかる。

     このように、一茶は普段通りの生活の中でもどんなに小さいことでも瞬時にメモすることで約22,000もの句を書き留めてきた。またそのほとんどの視点が農民に向けられているものが多い。だから、その時代の民衆たちの生活がどのようなものなのかが一茶の俳句から読み取れるところが感動した。(kenkou 20150105)

  •  「一茶は生涯を通して、農民への畏敬、都市に暮らす裏長屋などの下層民への共感、政治や経済への強い関心を変わることなく持ち続けた社会性豊かな稀有な俳諧師であった。その俳諧師が自ら生きた文化文政期という時代をどのように見ていたのか。それを一茶の句を使って描いてみたのが本書である」(p.176)と、著者急逝のため瀬戸口龍一が代筆した「おわりに」で端的に述べられているように、一茶の文学的な研究ではなく、一茶を媒介とした18世紀後半~19世紀前半の江戸社会史である。一茶の遺した大量の句集や日記・書簡などを通して、「先進工業地帯」であった故郷信州の経済構造の変化、年季奉公による江戸と農村の間の人びとの移動、対外危機によるナショナリズムの萌芽、「世直し」志向の台頭といった時代の様相が浮かび上がる。

  • 昨年…2013年・夏…一茶生誕250年ということで…
    その故郷である長野県信濃町を旅した。
    旅から戻り、立ち寄った書店で見つけたのが本書だ。
    好好爺のイメージとは異なる、一茶像が描かれている。

    残された句…芭蕉は976、蕪村は2918に対し、
    一茶は21000と桁違いに多い。それは、句にするテーマの
    広さを伺わせる…江戸に出て俳句を学び、全国を歩き、
    膨大な数の読書をし、時代の趨勢にも眼をやっていた。

    それに、相当なメモ魔で…50過ぎてもらった20代の奥さんと…
    「夜五交」…などと書き残していてビックリ…(@_@。
    本書は、これまであまり取り上げられることのなかった、
    一茶の句を紹介している…名句一歩手前の句?…

     今しがた此世に出てし蝉の鳴

     国土安穏とのん気かがし哉

     梅がゝやどなたが来ても欠茶碗

     涼風の曲がりくねって来りけり

     花の世や出家士(さむらひ)諸あき(商)人

    それから、本書で仕入れた小ネタをひとつ…
    「尾張名古屋はシロでもつ」と云ったのは、
    蕪村なのだそうだが、ここで云う「シロ」とは、
    「井上士郎」…当時の中部俳壇の重鎮だったそう…

    残念ながら本書の完成を見ることなく、著者は
    逝去された…とのこと。俳句を専門としない著者の
    視点は新鮮に感じられ、興味深く読んだのだけれど…
    おそらくや、最終段階まで手を入れるつもりだったろう…合掌。

  • 子どもや動物たちを歌う「優しい一茶」とは別の、江戸後期の時代を写しとる「リアリズムな一茶」に感心しました。また、著者が、一茶の歌う君が代(世)は、徳川幕府下の治世のことを言っているということ、神国については、「神国日本を支配している松平氏=徳川幕府を指し、そんな神々の権威・・・」
    と指摘しているのは、得心したところです。「君が世やかかる木陰もばくち小屋」「神国の松をいとなめおろしや船」

  • 著者は近世史家だという。だから俳句の専門家でない視点での選句となって、かえって新鮮に読めた。米作りに関わらないで言葉で食べていくことを、地元の人だけでなく、一茶自身も「浮いた存在」ととらえていたようだ。その思いが、力なきもの貧しきものへの共感につながったのだろう。
    発行を待たずに亡くなった著者の思いを弟子が引き継いで完成させた1冊。

  • ある意味、小林一茶=ネトウヨみたいな斬新な認識に目ウロコ。

  • 俳諧師でない著者なので、とても身近に感じて読むことができた。
    つまり、小林一茶の俳句評論ではなくて、人間「一茶」をしっかり認識できた。
    必ずしも順風満帆でもなく、むしろ悲惨とさえ思える人生。
    60歳を過ぎてからできた子供がかろうじて次世代に・・・。
    弱きものに向けたやさしいまなざしはどうして生まれてきたのか、結局はわかりませんでしたが・・・・。

  • 13/09/27。

  • うーーん、小林一茶って、とっても感性豊な人だとは思ってましたが、それだけじゃないみたい。。。

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    「夏の暑さに豊作を願い、打ちこわし騒動に心を寄せ、大黒屋光太夫の帰国に反応し、「君が代」や「神国」日本を詠む。市井の営みを見つめた一茶の句からは、外国船の出現に動揺し、国学に沸く激動の文化・文政年間を生きる人びとの姿が浮かび上がる。「幕末維新を準備した」と言われるその時代を、一茶の句から近世史家が読み解く。 」

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著者プロフィール

1936年 福島県生まれ 東北大学大学院文学研究科修士課程修了 元専修大学文学部教授 現在,専修大学130年史編集主幹[専門]歴史学,日本近世文化史[学会・社会活動]歴史学研究会,愛知県史編さん専門委員近世部会長。
[著書]『一茶の時代』校倉書房,1988。『深読み浮世風呂』小学館,2003。『近世非領国地域の民衆運動と郡中議定』ゆまに書房,2004。

「2009年 『人は何を旅してきたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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