かつお節と日本人 (岩波新書)

  • 岩波書店
3.40
  • (2)
  • (8)
  • (13)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 151
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314509

作品紹介・あらすじ

日本の食文化の名脇役、かつお節。かつては北海道から沖縄、植民地支配下の台湾、ミクロネシア、そして、オランダ領だったインドネシアでも生産されていた。この三〇〇年に、かつお節の生産はどう変わったのか。生産にたずさわった人びとの生活はどう変わったのか。現地調査で証言を集め、"かつお節ネットワーク"のダイナミズムを描く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  味噌汁やお吸い物のダシには勿論、おひたしやお好み焼きなど様々な食事に使われているかつお節。その起源は江戸時代以前にまで遡ります。しかし、第二次大戦後まで、かつお節は庶民の間で身近な食材ではなく、高級食材と見られていました。それでも明治以降からその需要は高く、現代に至ってさえ増加傾向にあると言われています。
     本書は日本から南洋諸島にかけて調査し、かつお節に携わってきた人々の証言を元に、 かつお節の生産形態や歴史、そして、それに携わる彼らの生活の変遷などを解析し、今なお人気のかつお節の真相を追っています。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:583889 請求記号:664.63||Miy

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687494

  • かつお節は戦前戦後にインドネシアで栄えたらしい

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99551278

  • かつお節に漠然と抱いていたイメージを改めさせてくれた好著。伝統食品と言われつつも、庶民の食卓にはいってきたのは割と最近で(こういうのは他にもいろいろあるかも。昔の食はきわめて質素である)、パック入り削り節や風味調味料の登場もあって今日に至るまで消費量は右肩上がりに伸びている。また日本の南洋進出とかつお節の歴史も知らないものだった。

    ・三枚におろした半身から作ったのが亀節。大きめのカツオはそれをさらに背と腹の4枚に切り分けて、そこから作ったのを本節とよぶ。

    ・カビ付けも整形もしていないのが荒節。パック入り削り節た風調の原料に。

    ・現在と同じようなかつお節が作られだしたのは17世紀終わりごろの土佐と考えられている(原始的なスタイルのものはもっと昔から全国にあったよう)。そこから紀州など日本各地に製法が広まっていった。まずは上方、ついで江戸が大消費地として確立したので、いわば輸出産業であった。明治になるまで、教師を招いてかつお節製法を学ぶ産業振興が各地で盛んであった。

    ・焼津は江戸時代からかつお節産地ではあったがマイナーな存在だった。明治になって村松善八(のちに柳屋本店をおこす)が魚商組合を取りまとめて一大産地になった。

    ・中西部太平洋海域では一年中カツオの群れが回遊している。そこから一部が四月下旬ごろ黒潮に乗って日本近海へ北上してきて、秋になると逆コースで戻っていく(戻り鰹)。南洋のカツオの方が脂が乗っていないので、花カツオに向く(ホワホワして見栄えがよい)。

    ・明治の終わりごろに沖縄、台湾。WW?後に南洋がかつお節生産地に加わってくる。沖縄漁民は、安い人件費のほかに、餌漁もこなす器用さ(本土のカツオ漁民は分業制のためよくやらん)が重宝され、南洋でのカツオ漁、かつお節生産の主力となった。景気がよかったので南洋自体には戦争を除けば良い思い出がある人が多いよう。

    ・南洋のかつお節製造業者は、戦争中は糧食としてかつお節を作った。

    ・「皇道産業焼津践団」の悲劇。戦争で漁船を供出してしまったので、南洋まで進出してのかつお節製造を狙った。1942年から44年にかけて約620名に登る団員をフィリピン、ボルネオ等に送り出した。約半数が再び日本の土を踏むことはなかった。

    ・生産技術の革新、業界全体で取り組んだ焼津で起こる。
     1960年、整形に使う削り機械(グラインダー)。熟練の職工が不要になり効率4倍に。
     1966年、頭切り機。

    ・売り方の革新、にんべんによる「フレッシュパック」発売。1969年。

    ・高知、宮城などは衰えていき、枕崎・山川(鹿児島)、焼津が三大生産地となった。

    ・ブライン凍結による南洋カツオの原料使用。外国船がつけて入札にかけたり。タイが缶詰生産国なので競合関係。

    ・長い試行錯誤を経てインドネシアなどでの現地生産へ。

    ・にんべんは業界では別格みたい。品質にこだわる卸。

  • タイトル通り鰹節の歴史の本になります。まさか鰹節の歴史をメインテーマに一冊本が出ていると誰が想像できたでしょうか。今では和食に欠かせない鰹節が昔は庶民の間では高級品だったとか、戦時中の鰹節の扱いとか、鰹節のグローバル化とか様々な鰹節知識を得ることができます。余談ですがこの本、ネットに意外とブックレビューがあるので併せて読むと大変面白いのでオススメです。
    (情報工学科 B4)

  • <目次>
    プロローグ
    第1章  かつお節は日本の伝統か~たどってきた道
    第2章  南陽に向かった沖縄漁民~明治から敗戦まで
    第3章  大衆化するかつお節~変わる産地と生産方法
    第4章  赤道直下の一大産地~インドネシア・ビトゥンの80年
    終章   つながりあうかつお節ネットワークと私たち

    <内容>
    かつお節が我々の口に入るまでをその歴史を紐解いたもの。沖縄という言えば「ソーキそば」。その出汁はかつお節なのだが、沖縄のかつお節の歴史は意外と短く、現在はほとんど生産してない。また「花かつお」も近年の産物とか、意外な話が多かった。

    学校図書館

  • 資料ID:C0035202
    配架場所:本館2F新書書架

  • かつお節と聞くと、訪れたことのある枕崎を思い浮かべてしまうのだが、東南アジアおよびミクロネシアにまで戦前からその生産ネットワークが広がっていたとは。
    @アンマン

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。北海道大学大学院文学研究院教授。
著書:『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』(岩波書店、2017年)
   『かつお節と日本人』(共著、岩波書店、2013年)
   『なぜ環境保全はうまくいかないのか』(編著、新泉社、2013年)
   『開発と生活戦略の民族誌』(新曜社、2011年)

「2023年 『小さな民からの発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮内泰介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×