イギリス史10講 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314646

作品紹介・あらすじ

グローバル化は今に始まったのではない。ストーンヘンジの時代から、サッチャー後の今日まで、複合社会イギリスをダイナミックに描く。さまざまな文化の衝突と融合、歴史をいろどる男と女、王位問題と教会・議会、日本史との交錯など、最新の研究成果を反映した、タネもシカケもある全10講。

感想・レビュー・書評

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  • イギリス史はカオスであることを痛感。ステイツマンという言葉に日本の政治家にはない矜恃のようなものを感じた。日本との関係よりも世界史の中でのイギリスの役割を学んでみたくなった。サッチャーの仕事も。

    ・SIRは平民の最上位。貴族を意味するLORDではない。イギリス近世の政治社会を支えたのは、ジェントルマン。
    ・産業革命は、年来の貿易赤字の解決であり、科学革命、啓蒙、消費社会の所産、すなわち舶来品に代替する模倣商品の勝利。社会哲学の議題への政治経済的な解答。
    ・すでに同性愛は1861年に死罪ではなくなっていた。

  • イギリス史の大家による新書。イギリス史の始まりから現代までを非常にコンパクトに、興味深くまとめられている。コンパクトではあるが、全体を貫く緊張感は知的な心地よさを感じる名著である。

    10講とあるので、教科書的な叙述を想起させるのだが、内容はまったく教科書的ではなく、むしろ逆に教科書で書かれているような内容を最新の歴史学、イギリス史研究の成果をもって覆しつつ、それでいて小難しくないところが良い。

    たとえば、中世末。「長い16世紀」を迎える直前の、第1次百年戦争の叙述。本当の争点は、クラレット、「すなわち鮮明な赤ワインこそ、百年戦争の第三の、いや本当の争点だったかもしれない。」(63ページ)。そして、「一七八六年、英仏は通商条約を結び、これによりイギリスは赤ワイン(クラレット)を安価に入手し、工業製品の販路をフランス国内に確保した。[中略]英仏の経済は、一つの条約だけで運命を分けたわけではないが、八〇年代に両国は決定的に分岐する。」(184ページ)。ほかの箇所でも、赤ワインについて繰りかえし叙述されているが「それだけ重要だからである」(あとがき)。

    「グローバル化」も全体を貫くライトモチーフである。最初のグローバル化は「長い16世紀」の時代。そして革命の17世紀を経て、「産業革命」の18世紀が第2のグローバル化。現代の我々が迎えているのが第3のグローバル化であり、いずれにおいてもイギリスは最重要なアクターであり、結節点であった。1688年の「名誉革命」も、「ホウィグ史観が礼讃した輝かしい「無血革命」とはイングランド国内だけの話で、ブリテン諸島でもヨーロッパでも、これは有血革命であり、戦争であった。」(145ページ)

    第6講「財政軍事国家と啓蒙」・第7講「産業革命と近代世界」は経済史的な長期変動、思想史的な「啓蒙、商業社会、モラル[社会]哲学」の展開が重要なテーマであり、かつそれとの関係で第2のグローバル化と日本との関係も語られる(193〜197ページ)。

    そのほかにも本書の読みどころは多々あるが、近現代に入ると同時代を舞台に作られた映画や文学作品の引用が多くなる。イギリス史の俯瞰図をもって、そうした諸作品を見返したりすることも楽しそうだ。「小冊であるが、手間ヒマかけて制作した」(303ページ)と述べられるだけのことはある。

  • 著者が近世史の専門家ということもあってか、清教徒革命・名誉革命あたりの話がとくに面白くて、学校の歴史の授業で受けたイメージとは全然違う。
    清教徒革命は宗教戦争だったというのはまあ分かるが、名誉革命の実態はオランダによるイギリス征服で、議会派のやったことはほとんど外患誘致に近い。

    時の王権の正統性を、血統、賢人集団の推挙、神/教会の加護という3つの要件でチェックするのも面白い。
    EUとかCKとかの歴史ゲームだと、要件の一つでも欠けると、ライバル国がCBを獲得したり、内乱が起きるよなあ、とニヤリとした。

    氷河期からブレア政権までのイギリス史を新書1冊に詰め込んでいるだけあって、素人には付いて行くのがやっとの濃さではあるが、ところどころで、
    「(ケンブリッジ大学から)ケム川をさかのぼってグランチェスタ村の茶店「オーチャド」まで逝けば、気難しげなB・ラッセル先生とウィトゲンシュタインが、数学か哲学か言語かを論じながら、裸で水遊びした場に立つことができる。」(p258)
    といった洒脱な一節があったりして、ちょっとした息抜きにはなる。

    やっぱり濃すぎる。マイナス1。
    唐突に学者の名前がポンポンでてくるのは、先行研究を幅広く提示するという意味では歴史書として誠実なのだろうけれども、素人にはむやみにハードルが上がる。マイナス1。
    星3つ。でも、いい本だと思います。
    シリーズ(?)の、フランス史10講とドイツ史10講も読まなきゃ。

  • セクハラ・ヘンリー8世の合理主義、錬金術ニュートン先生の科学革命、雪だるまヴィクトリア女王の君臨すれど統治せず、秀才ケインズの同性愛と異性愛、就活に失敗したサッチャー首相の婚活成功・・・。徳川家康も夏目漱石も「80日間世界一周」も、盛りだくさんで、歯ごたえあるイギリス史(世界史)。知的な刺激にみちた読書に自分が向いているかどうかをためす試金石みたいな本。

  • 紀元前から現在までを10章に分けて著述。時代順の各章には年表がつき、王室系図、地図などもはいっている。

    イギリス史で覚えているのは中学で覚えた歴史暗記のみといってもいいくらいのレベル。それも1066年オレンジ公ウィリアム、マグナカルタ、名誉革命、東インド会社、エリザベス女王、産業革命とこれくらいの情けないレベル。去年イギリスのバースに旅行してローマが侵攻したと初めて認識した次第。これくらいのレベルなので特に1章の地形の形成、石器時代、2章のローマ侵攻から1066のノルマン征服までで、3回くらい読み返してしまった。特におもしろかったのは民族の移動と侵攻。バイキング、ノルマン人ってすごい勢い。それと現在のスカンジナビア半島のおとなしさ(と映ってしまう)とが結びつかない。あと英語の形成の部分も興味深かった。

    還暦すぎて知りたいことがたくさん出てきている。山川出版の一般向け世界史教科書も積読なので、こちらも読み進めたい。

  • 薄い本ですが中身はずっしり。それもそのはず、近藤和彦氏が企画会合から16年後にようやく仕上げた本なのです。「要辞書」で、さらにあちこちに「他の頁への指示」があるので、とても時間がかかりました。今調べたら『フランス史10講』も苦労して読んでいたのですね…。

    でも映画など紹介しながら、面白く書いてくださっています。
    『英国王のスピーチ』録ってあるから、早く見たい!
    『タイタニック』もずっと前から見たかったのに延ばしてきた。でもこちらは改めて先延ばしに…、今は辛いです。

    かんじんの歴史についてですが、今まで考えなかったさまざまな分析や解釈が面白かったです。たとえば『第二次百年戦争』。引用します。

    「名誉革命すなわち反ルイ14世戦線の成立のあと、イギリスとフランスのあいだで、王位継承、海外領土、通商、そしてアメリカ独立、フランス革命、ナポレオン帝国をめぐる戦争が間歇的に続いた。中世の百年戦争にならって『第二次百年戦争』(1689~1815)とよぶ。
    これがイギリス政治の第二の規定要因なのだが、その戦場は中世の百年戦争と違って、ヨーロッパ大陸や地中海からアメリカ、大西洋、南アジアに広がり、その余波は日本の長崎にまで及ぶ。地球上の要所で競い戦う英仏によって、世界近代史が画されることになる。」

    最近フランスイギリスの歴史の本を数冊読んだけど『第二次百年戦争』という言葉は初耳。私は高校の世界史落ちこぼれだけど、習ったのかしら?と思い、本屋で高校世界史の厚め参考書の索引を調べてみました。

    やはりほとんど無く、ただ一冊、学研の
    「なぜ?」がわかる世界史 前近代(古代~宗教改革)
    にありました。

    この本は大阪の府立高校で教鞭をとる浅野典夫先生がご自身の授業をHPに書いてきたものを、学研が書籍化したものだそうです。スゴイですね。面白そうです。

    私はレベル的に大学教授より高校教師の書いたものを読んだほうがいいみたいだから、浅野先生の本を読んでみたいと思いました。

    話がそれました。

  • 少しでも英国史の知識(世界史で勉強した程度でも)あれば、通説とは違う解釈で書かれていたりして面白いと思う。時々、関係する映画も言及されるので2度楽しい

  • 読むのに3日ほど掛かった。1613年、英国国王ジェイムズの親書は徳川家康を「君主、エンペラ」(p.106)と呼んだそうだが、家康は将軍に過ぎず語義揺れて錯誤に近い。図書館本。 127

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7177

  • 読了。

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