イギリス史10講 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314646

作品紹介・あらすじ

グローバル化は今に始まったのではない。ストーンヘンジの時代から、サッチャー後の今日まで、複合社会イギリスをダイナミックに描く。さまざまな文化の衝突と融合、歴史をいろどる男と女、王位問題と教会・議会、日本史との交錯など、最新の研究成果を反映した、タネもシカケもある全10講。

感想・レビュー・書評

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  • 先史時代から現代までのイギリス通史。
    帯に「基本書」とあるが、ある程度の知識がないとなかなか厳しい。
    後半は政治に関する話も多く、正直一読では半分も理解できず……。
    ただ、合間に挟まる王室のエピソードや首相の生い立ちなどは読んでいて楽しい→

    個人的にヴィクトリア女王のエピソードが好き。素敵なご夫婦。お子さんはドラ息子になっちゃったけど(笑)

    昔から女王がいる国だから男女平等が根付いているのかと思ったら、最近まで女性には選挙権もないなど、意外と日本と似ているな、と思ったり。
    18世紀には自国に特産品が少なかったのも驚き→

    中国や日本の陶磁器に勝てないから、ウェッジウッドは様々な工夫を経て成功を収めていたとか。繊維でもインドに勝てなかったとか、ほぅ……と楽しく読めた。

    機会があれば他の作者のイギリス史を読んでみたい。


    以下、読書中のツイート、覚書。

    この文章が何回も出てくるんだけど、「聡明な読者」じゃない私は全然「ご承知」じゃなくて、私に岩波新書は敷居が高すぎたか、と泣いている。
    とりあえず、とりあえず通読するんだ私?ピューリタンすらさっぱりだががんばれ私!
    (イギリス史10講、読書中)

    とりあえず宗教は争いのタネになるのはわかった(宗教にこだわりがない私にはこのあたりがイマイチピンとこない)

    人口は国力なんだなぁ。人が増えるとそれだけで国は強くなる。人を増やすためには食料をどうするか考えなければならない。これが、政治力。なるほどなぁ。

    そういえば昨夜のプロジェクトヘイルメアリーでも同じような話があったなぁ。

    ちょっとまて。フランスが絡んできた。なんでイギリスの王位継承にルイ14世が絡むんだ?って亡命してるからか。まぁ元々嫁がフランスから来てるから親族なんよな。
    オランダも関係あるし、ヨーロッパの歴史ムッズ!!学生時代世界史赤点ガールだった私にはかなーり壁が高い。

    でもおっもしろーい!

    ニュートン出てきた!!知ってる人(←友達か)が出てくるとテンション上がるぅ〜!!
    てか、ニュートン、イングランドの人だったのね、天才数学教授だったんだ。あと、フランス革命の前にいたのね(歴史を知らなさすぎる人の呟きです、ご容赦くださいませ)

    ジョージ・ワシントンも出てきたわ!ヴァージニアの農場主だったのか……そりゃそうか……。
    1789年ってフランスだけじゃなくイギリスやアメリカにとっても重要な場面だったんだねぇ。
    (絶対世界史で習ってるけど、全く覚えてない。ベルばらでしか記憶できてない。オスカルー!!)

    オースティン出てきた!「傲慢と偏見」積んでるー!!ここに出てくるのかぁ。女子供の就労が規制されている時代の作家さんなわけだ。
    ディケンズもいつか読みたいんだよなぁ。英国作品、読みたい物語まだまだあるなぁ。

    声出して笑ったら息子に「え?なになに?」って近寄られた。
    本読んで爆笑する母ちゃんですまぬ。

    でもこれは笑う。
    エドワード王太子の扱いよ(笑)次のページでの晩年のヴィクトリア女王の描写もすごいな(笑)

    最後の方は政治の話で正直しんどかったけど、どうにか無事に通読できた……。

    ノートにまとめて次に行くぞ!しばらく政治の話は読みたくない……(てか、イギリスの投票率70%ってすごいな)

  • イギリス史はカオスであることを痛感。ステイツマンという言葉に日本の政治家にはない矜恃のようなものを感じた。日本との関係よりも世界史の中でのイギリスの役割を学んでみたくなった。サッチャーの仕事も。

    ・SIRは平民の最上位。貴族を意味するLORDではない。イギリス近世の政治社会を支えたのは、ジェントルマン。
    ・産業革命は、年来の貿易赤字の解決であり、科学革命、啓蒙、消費社会の所産、すなわち舶来品に代替する模倣商品の勝利。社会哲学の議題への政治経済的な解答。
    ・すでに同性愛は1861年に死罪ではなくなっていた。

  • イングランドフットボールが好きだから、という安易な動機で手に取ると、痛い目を見た。
    とにかく難し過ぎた。中身も、表現も。
    本棚に眠らせておいて、何年か後にまたチャレンジしたい。
    その時は感じ取れるものが増えていればいいな。

  • ケルト人。大きな体格。身体に彩色。司祭ドルイド。文字なし。織物。金属工芸。金属武器。戦車。BC1世紀ブリテン島に住む。

    帝政ローマ。初代オクタウィアヌスから始まり、クラウディウス(第4代皇帝)の時代に。60年。ブリタニア侵略。イングランド土着の”野蛮人”を制圧し、十一の王を帰順させた。▼イングランドでは、ケルト人イケニ族の女王ブディカがローマ軍に反撃。※ビッグベンの近くにブディカ像あり。スコットランドでは、ケルト人の族長カルガクスがローマ軍に反撃。▼帝政ローマ、イングランドを支配するため、軍事的な拠点を作った。カンタベリー、ウィンチェスター、エクセター、グロスター、チェスター、ノリッジ、リンカン、ヨーク。統治の中心としてテムズ川の北にロンドンを作る。公共浴場も置かれた(バースBath=浴場)。

    キリスト教。テオドシウス国教化(392)。西ローマ、ブリタニアから撤退(409)。5世紀に聖パトリックがアイルランドにキリスト教を伝えた。その後、教皇グレゴリウス1の命によりアウグスティヌスがゲルマン人のケント王国(イングランド南東の端)の都カンタベリーに教会を作った(597)。アウグスティヌスはカンタベリー大司教の初代。※神の国のアウグスティヌス(354-430)とは別人。

    ノルマン人による征服(1066)。ウィリアム1。検地帳を作った(Domesday Book)。領地の広さ、図面、権利関係、家畜の数。▼住民は古英語、新領主は古フランス語。家畜はox, cow, sheep, swine(古英語)で呼ばれ、領主の食卓に上がるとbeef, mutton, pork, bacon(古フランス語)で呼ばれた。農民の食事はmeal(古英語)、領主の食事はdinner(古フランス語)。▼百年戦争に負け(1453)、カレーを失って(1558)も、歴代の王は「イングランド王にしてフランス王」の称号を使い続けた。1800年に廃止。

    テューダー家メアリ1。カトリック教徒。国内のプロテスタントを虐殺。イングランド人はカトリックを敵視するようになり「自分たちはプロテスタントだ」という意識が強くなる。▼ハプスブルク家フェリペ2(1527-98)。カトリック勢力を拡大してネーデルラント支配をより確固なものにするため、ネーデルラントの隣国イングランドのテューダー家メアリ1と結婚することに。結婚式のため英にやってきたフェリペ2。メアリ1に初めて会った感想。「全然かわいくない。服装のセンスは悪い。強い近視。まるで聖女」。

    産業革命。成長率は年1%程度で、急激な変化が起きたわけではない。

    British Museumを訳すと英国博物館であり、「大」英博物館ではない。

    死者数(人口比)
    第1次大戦:仏4.3%, 独3.8, 墺3.1, 英2.2★, 露2, 米0.1, 日0
    第2次大戦:露14%, 独墺9, 日4, 仏1.4, 英0.9★, 米0.3
    英では死者数は1次大戦の方が多い。英でThe Great Warといえば、1次大戦を指す。
    remembrance poppy退役軍人への支援チャリティ。

    1960年代、進歩主義的な自国史批判。ペリー・アンダーソン(想像の共同体ベネディクトの弟)。西欧(仏)の理念型に照らして英国史に欠けている(遅れている)要素があると主張。独自の世界を持たず貴族にひざまずく英の俗物ブルジョア、利益にしか関心のない英の組合労働者。こんなことになったのは英に「本当の市民革命」が無かったからだ。イギリスの丸山眞男。p.289

    ※ブリテン島の一番高い山はベンネヴィス(スコットランド)。

  • 少しでも英国史の知識(世界史で勉強した程度でも)あれば、通説とは違う解釈で書かれていたりして面白いと思う。時々、関係する映画も言及されるので2度楽しい

  • イギリス史の大家による新書。イギリス史の始まりから現代までを非常にコンパクトに、興味深くまとめられている。コンパクトではあるが、全体を貫く緊張感は知的な心地よさを感じる名著である。

    10講とあるので、教科書的な叙述を想起させるのだが、内容はまったく教科書的ではなく、むしろ逆に教科書で書かれているような内容を最新の歴史学、イギリス史研究の成果をもって覆しつつ、それでいて小難しくないところが良い。

    たとえば、中世末。「長い16世紀」を迎える直前の、第1次百年戦争の叙述。本当の争点は、クラレット、「すなわち鮮明な赤ワインこそ、百年戦争の第三の、いや本当の争点だったかもしれない。」(63ページ)。そして、「一七八六年、英仏は通商条約を結び、これによりイギリスは赤ワイン(クラレット)を安価に入手し、工業製品の販路をフランス国内に確保した。[中略]英仏の経済は、一つの条約だけで運命を分けたわけではないが、八〇年代に両国は決定的に分岐する。」(184ページ)。ほかの箇所でも、赤ワインについて繰りかえし叙述されているが「それだけ重要だからである」(あとがき)。

    「グローバル化」も全体を貫くライトモチーフである。最初のグローバル化は「長い16世紀」の時代。そして革命の17世紀を経て、「産業革命」の18世紀が第2のグローバル化。現代の我々が迎えているのが第3のグローバル化であり、いずれにおいてもイギリスは最重要なアクターであり、結節点であった。1688年の「名誉革命」も、「ホウィグ史観が礼讃した輝かしい「無血革命」とはイングランド国内だけの話で、ブリテン諸島でもヨーロッパでも、これは有血革命であり、戦争であった。」(145ページ)

    第6講「財政軍事国家と啓蒙」・第7講「産業革命と近代世界」は経済史的な長期変動、思想史的な「啓蒙、商業社会、モラル[社会]哲学」の展開が重要なテーマであり、かつそれとの関係で第2のグローバル化と日本との関係も語られる(193〜197ページ)。

    そのほかにも本書の読みどころは多々あるが、近現代に入ると同時代を舞台に作られた映画や文学作品の引用が多くなる。イギリス史の俯瞰図をもって、そうした諸作品を見返したりすることも楽しそうだ。「小冊であるが、手間ヒマかけて制作した」(303ページ)と述べられるだけのことはある。

  • 著者が近世史の専門家ということもあってか、清教徒革命・名誉革命あたりの話がとくに面白くて、学校の歴史の授業で受けたイメージとは全然違う。
    清教徒革命は宗教戦争だったというのはまあ分かるが、名誉革命の実態はオランダによるイギリス征服で、議会派のやったことはほとんど外患誘致に近い。

    時の王権の正統性を、血統、賢人集団の推挙、神/教会の加護という3つの要件でチェックするのも面白い。
    EUとかCKとかの歴史ゲームだと、要件の一つでも欠けると、ライバル国がCBを獲得したり、内乱が起きるよなあ、とニヤリとした。

    氷河期からブレア政権までのイギリス史を新書1冊に詰め込んでいるだけあって、素人には付いて行くのがやっとの濃さではあるが、ところどころで、
    「(ケンブリッジ大学から)ケム川をさかのぼってグランチェスタ村の茶店「オーチャド」まで逝けば、気難しげなB・ラッセル先生とウィトゲンシュタインが、数学か哲学か言語かを論じながら、裸で水遊びした場に立つことができる。」(p258)
    といった洒脱な一節があったりして、ちょっとした息抜きにはなる。

    やっぱり濃すぎる。マイナス1。
    唐突に学者の名前がポンポンでてくるのは、先行研究を幅広く提示するという意味では歴史書として誠実なのだろうけれども、素人にはむやみにハードルが上がる。マイナス1。
    星3つ。でも、いい本だと思います。
    シリーズ(?)の、フランス史10講とドイツ史10講も読まなきゃ。

  • セクハラ・ヘンリー8世の合理主義、錬金術ニュートン先生の科学革命、雪だるまヴィクトリア女王の君臨すれど統治せず、秀才ケインズの同性愛と異性愛、就活に失敗したサッチャー首相の婚活成功・・・。徳川家康も夏目漱石も「80日間世界一周」も、盛りだくさんで、歯ごたえあるイギリス史(世界史)。知的な刺激にみちた読書に自分が向いているかどうかをためす試金石みたいな本。

  • やっばり巻末に「註」がほしいかな…

  • イギリス史の概略だけではなく、歴史の波の中を生きた個人の姿が多々描き出されていて、作者の知識の深さに驚嘆させられる
    東大名誉教授の知識量は半端じゃない

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