子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314677

作品紹介・あらすじ

二〇一三年、「子どもの貧困対策法」が成立した。教育、医療、保育、生活。政策課題が多々あるなかで、プライオリティは何か?現金給付、現物(サービス)給付、それぞれの利点と欠点は?国内外の貧困研究のこれまでの知見と洞察を総動員して、政策の優先順位と子どもの貧困指標の考え方を整理する。社会政策論入門としても最適な一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  5年前に刊行された『子どもの貧困』の続編である。

     この5年間で、日本の「子どもの貧困」をめぐる社会の空気は大きく変わった。5年前にはまだ「日本に子どもの貧困問題なんてあるの?」などと言われ、問題自体が可視化されていなかったのだ。
     
     しかし、リーマンショックの影響もあって困窮者が増えると、子どもの貧困もおのずと深刻化した。また、貧困問題自体が大きな社会問題としてクローズアップされるにつれ、子どもの貧困にも社会の目が向けられるようになってきた。

     昨年6月には「子どもの貧困対策法」が成立したが、これは著者によれば「貧困を研究するわれわれの予想を遙かに超えた急展開」であったという。日本は子どもの貧困対策において先進諸外国に大きく立ち後れている国だったのだが、その後れをいま、急ピッチで取り戻そうとしているのだ。

     本書はそうした5年間の変化を受け、前著の内容を一歩進めたもの。
     前著の終章にも著者なりの貧困対策が書かれてはいたのだが、その対策――すなわち「解決策」の部分をメインにもってきた本なのである。
     
     私も、貧困問題の関連書を読むたび、「問題が深刻なことはわかった。じゃあ具体的にどうすればいいのか?」と著者に問いたい気持ちになることが多かった。解決策に的を絞った本が待望されていたのだ。

     ただし、著者は研究者だから、アジテーターとしての資質が勝った一部の評論家のように、「この人にまかせれば貧困問題は解決できる」と思わせるような単純明快な書き方はしていない。むしろ、著者自身が「あとがき」で言うように、「どのような社会問題にも当てはまる社会政策論の色合いが濃い」本である。また、思いのほか学術的で堅い本でもある。
     したがって、魔法の特効薬のような画期的解決策が書かれた本を期待すると、肩透かしを食うだろう。

     それでも、ヘンに感傷的にならず、冷静な社会政策論として子どもの貧困問題が論じられた一冊として、読み応えがあった。

     とくに印象的だったのは、子どもの貧困対策を「未来への投資」と見なす視点。

    《子どもの貧困に対する政策は、短期的には社会への見返りはないかもしれない。しかし、長期的に見れば、これらの政策は、その恩恵を受けた子どもの所得が上がり、税金や社会保険料を支払い、GDPに貢献するようになるので、ペイするのである。すなわち、子どもの貧困対策は「投資」なのである。子どもが成人するまでに、長くは二◯年かかるので、この「投資」は長期的な観点でみなければならない。しかし、「費用」ではなく「投資」と考えることによって、政策の優先順位も変わってくるであろう。たとえば、貧困の子どもに、ただ単に最低限の「衣食住」だけを提供するプログラムと、その子どもに「衣食住プラス教育」を提供するプログラムがあった場合、たとえ後者のほうが費用が高いとしても、投資のリターンとしては前者よりも後者のほうが優れているのは自明である。》

  • 貧困と聞くと、途上国や紛争地での話しのように聞こえます。一億層中流と言われながら育った自分には、貧困問題と日本とを結びつけるのに、少し違和を覚えます。
    この本を読み、統計を見ると、違和が小さくなりました。特に、子どもや母子家庭での貧困の状況は急いで対処しなくてはならないと感じました。
    「日本では貧困対策が取られているでしょ」という指摘があるかもしれませんが、どうやら、効果はあまり上がっていないようです。

    この本を読み、一番驚いたのは「再分配の逆転現象」(前著『子どもの貧困』の中に詳しいらしいのですが、僕はまだ読んでいません)。
    政府は、税や社会保険料などでお金を集め、生活保護などの形で国民に再分配します。裕福な層から貧困層への所得分配が貧困削減策として行われているわけです。が、日本では再分配後の貧困率が再分配前よりも高くなるのです(この「貧困率の逆転現象」はOECD諸国の中ではにほんだけ)。

    経済成長による分配は自然に貧困層に行き渡るとする「トリクルダウン」に対して否定的な検証結果がでているようです。
    政府の所得再分配もトリクルダウンも効果薄となると、どのような策を講じればよいのか。
    その提示がこの本のキモです。

  • 著者は中途半端だと書いているが、本書が提起した問題のありかと解決への道筋は十分にインパクトがあった。日本の財政も見据えながら、まずは何に取りかかれるのかが分かったからだ。

    ・ひとり親世帯の貧困率は日本は最低
    ・貧困層への自然なトリクルダウンはない。経済成長で。
    ・現代は習い事を通さないと豊かな経験が積めない。
    ・社会的地位ホルモンがセロトニン
    ・個別学習指導は学力向上だけでなく、大人社会への信頼感の回復、対話能力の向上、忍耐力の養生がある。
    ・選別主義のパラドックスから、再分配のパイの大きさへの注目
    ・現金給付に有意な効果はある
    ・放課後の子供の孤立は深刻
    ・子どもの学習費調査

  • 前著で子どもの貧困の実態を示した著者が、具体的にこの状況を解決していくにはどのような政策が考えられるか、調査や海外での実際の事例などを参考に挙げていっています。限られた財源の中で、数ある政策候補の中からどの政策を取っていけばよいのか、という視点も随所に現れています。
    「第4章 対象者を選定する」では対象者を絞り込むことの利点・欠点や、対象者選定の考え方の様々が示されており、興味深かったです。ここにも書かれているとおり、日本においては対象者を選定しない給付型の社会政策は「バラマキ」と批判されることが多いと思いますが、安易に対象者を線引きすることで本来サポートが必要な層に給付が届かないのは本末転倒だなと思ってしまいます。社会政策の制度設計の難しさを感じられました。

  • 今を生きる日本人が向き合うべき、そして近い将来向き合わざるを得ない問題。
    男女間格差が問題視されるようになって久しいが、世代間格差ももっと議論されるべき問題だろう。

    ✏所得制限(生活保護制度の生活保護基準額の1.1倍〜1.3倍)を下回る世帯は就学援助費(低所得世帯の子どもの義務教育にかかる費用を国と自治体が支援する制度)を受給できる。
    公立小中学校に通う子どもたちの6人に1人が就学援助費を受給していることは、子どもの貧困が極一般的な世帯においても進行していることを表している。

    ✏貧困問題は「働けない」高齢者や障害者、母子世帯などの「特殊なケース」(と理解されてきた)における問題と理解されてきた。しかし、年齢層別に貧困率をみると、女性の高齢者の貧困率は高いが、男性においては25歳未満の子どもの貧困率が65歳以上の高齢者の貧困率を超えている。
    つまり、人生の中で最も貧困リスクが高い時期が子ども期である、という現象が起きているのだ。

    ✏世界とくらべた日本の貧困率は、先進20カ国ではワースト4番目(1位アイスランド4.7%、17位日本14.9%、20位アメリカ23.1%)である。
    特に、日本のひとり親世帯に育つ子どもの貧困率は58.7%と突出しており、OECD諸国の中で最悪である。これは、ひとり親世帯の大半を占める母子世帯の貧困率が特に高いためである。

    ✏子どもの貧困が「自尊感情が低い」「不安」「自己肯定感が持てない」「精神的不安定」「希望が持てない」などといった心理面への影響を引き起こしている。

    ✏もし国がA君の子ども期に、彼が貧困を脱却する可能性を高めるような支援をしていたら、どうだろう。国は、A君が払ったであろう税金・社会保険料を受け取ることができるうえに、生活保護費や医療費などの追加費用を払う必要がなくなる。つまり、長い目で見れば、子ども期の子貧困対策は「ペイ」する可能性が高い。逆に、貧困を放置することは、「お高く」つくのだ。

    ✏強いストレスを抱えた母親から生まれた子どもは、低出生体重児で生まれるリスク・生まれた後も情緒的な問題を抱えるリスクが高くなる。
    つまり、親のストレスによる子への影響は、生物的な帰結であり、精神論の問題ではないのである。

    ✏経済学において子どもを「将来の人的資本」と見なすことは、貧困に対する政策をただ単に「可愛そうだから」という論理でなく「社会に対する投資」という論理で考えるという点では説得性がある。

    ✏「ビッグブラザー・ビッグシスター」プログラムは、アメリカにおいて100年以上の歴史があるメンター・プログラムで、比較的低コストで高い収益率をあげている。子どもと1対1の関係を持ち「見守る」大人をつくるというだけで、子どもの学力向上に貢献している。

    ✏どんな綿密に対照者を絞り込む制度をつくっても、結局のところ漏れてしまう子どもがいる。普遍的制度として全ての子どもを対象とすれば、このような漏れは発生しない。貧困の子どものことを考えれば、普遍的制度にするのが一番ということだ。

    ✏制度の対象者が「弱者」であればあるほど、対象が絞られれば絞られるほど、その対象者になることは社会的排除の引き金となる。

    ✏生活保護制度では疎遠にしている家族や親族に、福祉事務所が扶養意思の有無の確認の連絡をとる。それが苦痛となって困窮していても受給しない人々も多い。

    ✏結局のところ、貧困削減に有効であるかどうかに一番効いてくるのは再分配のパイであって、普遍主義か選別主義かという違いではなさそうである。普遍主義であっても選別主義であっても、小さいパイでは貧困削減は進まない。

    ✏「最貧層を選別すること」ではなく「富裕層を除外すること」を目的とすれば、貧困者を「選別」することによる偏見や、本当に必要な人が給付を受けることができないといった漏給の問題が少ない。

    ✏学力や将来の収入などに重要であるのは、学力テストなどで表される認知能力のみならず、対人能力・自己規律・粘り強さなどの非認知能力であり、これらは幼児期から成人に至るまでの家庭環境に培われる。乳幼児期における介入政策が最も効果的であると結論づける。

    ✏保育所は、小中学校やその他の子どもに関わる制度に比べて、ほぼ毎日親との接触があるという点で、親へのアプローチをする絶好の場である。

    ✏子どもの居場所づくりを目的とした放課後プログラ厶は、いかに子どもたちが自発的に継続して通うようなものにするかが最も大きい成功の鍵である。そこにさえ行けば、子どもがなんでも相談できる大人がおり、魅力的な活動があり、友達がいる。「家」「学校」が必ずしも安らぐ場所でない子どもたちにとっての「ほっとできる」場所であることが必要だろう。
    「待つ」という姿勢では恐らく成功は難しい。

    ✏メンター・プログラムの特徴は、子どもとボランティアが「1対1」の関係性を築くところである。そのボランティアにとって、自分の担当する子どもは「特別な子ども」であり、子どもにとってもそのボランティアが「特別な大人」となる。このボランティアはあくまで素人であり、支援をする側に専門性がない中においても効果が得られていることは、日本における子どもの貧困対策を実施するうえで貴重な知見である。

  • 【電子ブックへのリンク先】
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/hokudai/bookdetail/p/KP00048315

    ※学外から利用する場合は、以下のアドレスからご覧ください。
    SSO-ID(教職員)又はELMS-ID(学生)でログインできます。
    https://login.ezoris-hokudai.idm.oclc.org/login?url=https://kinoden.kinokuniya.co.jp/hokudai/bookdetail/p/KP00048315/

  • ・母子世帯は124万世帯、父子世帯は22万世帯、子どものいる世帯数は1180万世帯。貧困の子どものうち、ひとり親世帯に属するのは2割程度と言われている

    ・貧困であることは、「生活に必要なお金が足りない」という物質的な困窮、「来月の家賃が払えるか?」というような生活の不安・不安定さのみではなく、負け組であることも加わった心理的ストレスがダブルパンチ

    ・先進諸国においては、自然に貧困層に「トリクルダウン」するわけではない。日本は、GDP比で見る品高層への社会支出は極めて小さいのである。そもそもが貧弱な貧困対策なので、GDPの増加と同じ比率で増加したとしても、急激にその貧困削減効果が大きくなるわけではない。

    ・日本は、子どもの教育における私的な負担の割合が、OECD諸国の中で最高

    ・習い事でチームプレーの経験や、アートや自然を吸収できる。一昔前であれば、お金がなくても近所の付き合いで身につけられていたが、現在に置いてはお金で買うものになってきている

    ・海外の研究によると、相対的貧困の子どもに対する一番大きな影響は、親や家庭内のストレスがもたらす、身体的・心理的影響だという。
    慢性的になったとき、ゆとりを持った子育てなど、とうていできなくなってしまう。情緒的、非認知能力の成長を止める。

    ・母親の帰宅時間が18時を超える母子家庭は5割、20時以降の母子家庭も1割ある。

    ・どのような子どもを対象とする普遍的制度・普遍主義と、貧困の子どもに対象を絞る選別的制度・選別主義に分かれる。

    ・川上対策と川下対策

    ・乳幼児期に貧困を経験した子どもは、その後世帯の状況が改善して、貧困から抜け出せたとしても、乳幼児期の貧困が悪影響を及ぼす可能性が高い

    ・公的年金の給付を除いたら、子どもの貧困率の逆転現象は起こっているのである。

    ・格差をどこまで解消すべきかという問いには答えがないが、貧困は撲滅すべき目標となる。

  •  あまり面白くない。

  • 日本の貧困の特徴はワーキングプアが多いこと。これは母子世帯の場合子どもを抱えながらの労働が難しく、非正規就労が多いことが実態としてある。
    貧困層の子供は、学力と健康状態が低い傾向にある。
    また、貧困層は、子どもの自己肯定感や将来への希望を持たない傾向にある。家庭内においてもストレスに溢れ、健全な成長を妨げる要因になる。その結果、貧困の親から生まれる子供も、将来貧困の親になる可能性が高い。

    経済が成長すれば貧困層の所得も増える、という理論は先進国には当てはまらない。スゥェーデンやアイルランドといった高福祉国でも、低所得者の勤労所得自体は上がらず、GDPの拡大により国からの給付金の割合が上がっただけだった。

    【家庭環境を介した経路】
    親のストレス、親と過ごす時間、家庭内文化資本、親の孤立

    逆に、遺伝子的経路は、そこまで重要な要素ではなく、むしろ家庭環境により子供の認知能力、身体能力が制限される可能性のほうが高い。

    貧困には家庭環境や遺伝や地域差、親の遺産など、様々な要因があるが、一番相関関係のある経路は、
    「子ども期の貧困→低学歴→非正規労働→現在の低所得→現在の生活困窮」である。
    要因は一本一本が独立しているのではなく、様々に絡み合って影響している。

    財政には限りがあるため、貧困対策は「社会に対する将来への投資」と読み替え、費用対効果の高い政策から実施していく。
    日本はこの計測がまだ進んでいない。
    そのため、長期的な収益性の観点を持ち、その収益性が測定できる制度設計、モデル事業を取り入れ、対象者を吟味して政策を行うべき。

    貧困対策には、選別主義(生活保護のような、貧困の人だけを対象とする政策、小さな政府)と、普遍主義(義務教育のような、全員対象、大きな政府)のものがある。
    選別主義の欠点は、政治的な批判、偏見の対象、選別にかかる費用、労働インセンティブの低下がある。
    普遍主義の欠点は、財政負担の大きさがある。
    結局、研究の結果、選別か普遍のどちらが優れている、というよりも、再分配のパイの大きさによることが分かった。

    そして、日本では、普遍的な現金給付を「バラマキ」と感じる一方で、貧困層への給付も厳しい目にさらされた。しかし、現物の普遍的支給には批判はなかったため、結局、現金を配るといった札束ポリティクスにアレルギー反応を示しているだけに思える。
    日本においては、現金外支給(教育の機会の拡充など)は、より普遍的に、現金支給に関しては、より選別的に行うのが望ましい。
    また、年齢を絞るのが望ましい。特に、就学前(0~6歳)に対して貧困対策を行うのが、特に効果があるとの研究結果が出ている。乳幼児期に貧困を経験した子供は、その後貧困から抜け出せたとしても、乳幼児期の経験が悪影響を及ぼすという結果がある。

    【現金給付vs現物支給】
    現金給付の効果は、「ある」。
    現金給付の利点は、効果が確実であること。現物支給は何をどのように給付するかによって大きく効果が異なるため、効果にばらつきがある。
    現物支給であっても、教育プログラムへの投資といったものであれば、将来はかけた金の何倍ものリターンが得られることがある。一方、無駄になる恐れもある。現金は安全資産、モノは危険資産。
    現金はかゆいところに手が届き、汎用性に富む一方、市場にそぐわないサービス(保育、教育)には効果が表れにくい。

    日本では、富裕層→貧困層への所得再分配前と、所得再分配後の、貧困率の改善が低い。昔は再分配前のほうが所得が多いという逆転現象が起こっていた。
    結論としては、現金給付は、児童手当や児童扶養手当など、特に未就学児、小さい子供のいる家庭への手当てを厚くするべきである。

    【現物支給】
    保育所の拡充は圧倒的に効果あり。子供だけではなく、親に働きかけるソーシャルワーカーの配置が◎。また、小中高学童保育の給食実施により、「バランスのある食」の拡充を。
    また、放課後プログラムの実施により放課後格差を縮小する。「親が働いているから預ける」ではなく、より行きたいと思える「居場所」を提供する学童づくりが大切。
    ビッグブラザー・ビッグシスタープログラムにより、ボランティアの大人と子供が一対一の関係になれる活動が、海外で効果を上げている。
    また、親への現物支給として、貧困層妊婦への支援、親の疾患や障害への支援が上げられる。

    【教育】
    家族が負担する教育費の割合が先進国の中でかなり高い。費用の大部分は学校外教育。義務教育の授業料の無償化はもちろん、教科書代、給食費、クラブ活動費など、就学にかかる全般的な費用も援助していくべき。
    費用のほかに、学力格差の縮小も貧困をなくす上では重要。
    少人数学級に編成し直す、適切なカリキュラムによる落ちこぼれをなくす、など
    学校生活への包摂(ひとりひとりが友達や先生から認められ、自分の居場所が学校にあると思える環境)の取り組みが重要。貧困層の子供は、対人関係の苦手意識、自己意識の欠如など、社会に必要なコミュニケーション能力が劣っていることが多いからだ。

    【子供の貧困指標】
    ①相対的貧困率
    ②剥奪指標(毎日3食食べる、定期的なレジャー活動、行事への参加など、生活の質を具体的に測るもの)

    【優先順位】
    ①実験的な枠組みにより効果が測定されている物
    ②長期的な収益性が確保できるもの
    ③とくに厳しい状況におかれている子供を優先するもの

    また、現金給付は必要。家庭の経済状況は子供の生活状態にモロにでる。
    ①子どもの貧困率の逆転現象を解消する。
    ②乳幼児期の子供の経済状況を改善する。

    現物支給は、所得制限方式ではなく、学区ごとの選別や、地域ごと、定時制高校への予算拡充、メンタープログラム、親へのサービスなど、プログラムごとに効果的に支給するのが良い。

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著者プロフィール

首都大学東京教授

「2017年 『20年後、子どもたちの貧困問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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