憲法への招待 新版 (岩波新書)

著者 : 渋谷秀樹
  • 岩波書店 (2014年2月21日発売)
3.53
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314707

作品紹介

「憲法は私たちが守らなくてはならないものか」「憲法改正手続を定める憲法九六条は改正できるか」「日本の上空を通過する他国を攻撃するミサイルを撃ち落とすことは合憲か」など、24の問いに答えながら、日本国憲法の思想と骨格を平明に解説。社会問題となっている事象と憲法との関係をときほぐす、市民のための憲法入門。

憲法への招待 新版 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 現政権が憲法改正の必要性を盛んに叫ぶ中、そもそも「憲法」とは何であるかを再確認するために読んだ一冊です。全体を通して、日本国憲法の精神を伝えようとする著者の情熱が感じられました。
    内容については、概ね憲法の入門に相応しいものでしたが、随所に著者の意見がみられる事については、読み手によって評価の分かれるところであろうと思います。特に、プライバシー権の根拠を21条に求めるべきとの意見は、かなりユニークなものであり、一般的ではないと思われます。
    また、八月革命説や憲法制定権力などについては、やはりあの分量で説明するには限界があるのでしょうか、分かりづらいと感じる読者がいてもおかしくない書き方になっています(そもそもが難解な議論なのでしょうがないのかもしれませんが)。他にも、取り上げられていない議論や、説明不足の項が多くあるので、本書はやはり入門書として位置付け、興味がわいたら他の教科書にも手を出してみるべきでしょう。
    いずれにしても、本書は非常によく練られた憲法入門書だと思われますので、うんうんと頷きながら読むもよし、疑問や反論を持ちながら著者と脳内議論しつつ読み進めるもよしで、有益な読書時間を提供してくれるだろうと思います。

  • 法学に精通する著者が日本国憲法について自身の見解とともに解説した一冊。

    改正手続きを定める96条や集団的自衛権と自衛隊と9条の問題、憲法の成り立ちから人権についてなど日本国憲法において重要になる事柄について著者の見解とともに解説されていて、非常に勉強になりました。
    法学に精通する著者であるだけに深い見識を感じるところが多くあるだけでなく、裁判の判例も多く載っておりそこから解釈に展開していくところも面白みを感じました。

    基本的人権や民主主義や立法主義など憲法の本質に関わる事柄が勉強でき、理解が深まった一冊でした。

  • 2014年刊。著者は立教大学大学院法務研究科教授。◆死刑制度など若干議論のある箇所も含むが、オーソドックスな普通の憲法本。法学部生なら、憲法学習前の予習の為に一気読みするのも良し、法科大学院生なら、復習のために一気読みするのも良し。また、法学部卒の人なら、現代の問題意識にブラッシュアップする上で有益な一気読みになるか。◇が、他学部生、憲法を少ししか齧ったことのない人、高校生では一気読みは苦しいか。実質的平等と形式的平等、絶対的平等と相対的平等と言われて??ならば、本書はじっくり読むべき書と化すだろう。
    あるいは、取材・報道の自由、知る権利が、憲法21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保証する」によって保障されるとの説明に、すっと腑に落ちてこない場合も同様かも。◇理解すれば何てことはない概念も、前振りがなかったり、説明過小な箇所が散見されるためだ。逆に言えば、新書なのに記述が広範囲で、細かな部分も取り上げているからでもある。◆ただし、論争部分もある以上、参考文献を自著しか提示しないのは如何なものかと思うけど…。
    後半の統治関係は再読必要。内閣帰属の行政=執政など。

  • 憲法の入門書。24の小テーマに分類し、憲法の成り立ちから憲法改正までを解説。日常生活で、日本国憲法を意識しなくてもいいのは、憲法が有効に機能しているからだという指摘にもっともだと思う反面、憲法改正議論が盛んになる中では、もう少し憲法への理解を深めてもいいのではないかと思いました。今後は、憲法の成り立ちを学べたらいいなと思う。

  • 【目次】
    はじめに [i-vi]
    目次 [vii-ix]

    第1章 憲法とは何か 001
    01 聖徳太子の十七条憲法は「憲法」か 002
    西欧起源の憲法/国家はどう作られたか/国家は想像の産物か/聖徳太子の十七条憲法
    02 権利の規定に比べて義務の規定が少ないのはなぜか 009
    憲法にある義務/法的義務か/授権規範と制限規範/政府に義務を課すこと
    03 憲法は私たちが守らなくてはならないものか 015
    法の支配と人の支配/高次法思想と自然権思想の合流/日本国憲法と「法の支配」
    04 憲法改正手続を定める憲法九六条は改正できるか 020
    序列のある憲法規範/憲法を作る権力と憲法で作られた権力/八月革命説/八月革命説の問題点/どう正統化できるか/憲法改正規定の改正

    第2章 人権とはそもそも何か 031
    05 人権は無制限に保障されるのか 032
    自然権思想/道徳理論/日本国憲法の規定が示す根拠/人権の性質/人権の限界/「公共の福祉」とは何か/権利の類型化とその制限/「二重の基準論」の考え方
    06 「国民」と「外国人」の間に人権保障の差はあるのか 041
    人権の固有性と普遍性/「国民」とは何か/日本国憲法における国民/「国民主権」でいう「国民」=国籍保有者+定住者/外国人の参政権/判決の「国民」理解
    07 「いじめ」は憲法に反する人権問題なのか 051
    「個人の尊重」としての人権/なくならない差別/憲法上の権利は政府と私人の間を規律する/人権規定の私人間効力/ストレートな適用はなぜダメなのか/政府と私人の決定的な違い/政府のなすべきこと/法律整備の必要性
    08 憲法の明文にない「知る権利」は保障されないのか 061
    社会は変わる/憲法を改正する/人権規定を解釈する/「包括的基本権」条項を使う/新しい人権/一三条固有の権利/プライバシーの権利の登場/プライバシーの権利の本質/プライバシーの権利の根拠条文/情報公開法と「知る権利」/特定秘密保護法

    第3章 どのような人権が保障されるのか 077
    09 女性の再婚禁止期間の規定は「法の下の平等」に反するか 078
    平等の問題/形式的平等と実質的平等/平等は比較の問題である/所得税は不平等か/男女の間の異なる取扱い
    10 「日の丸」と「君が代」の強制はなぜ問題か 087
    国旗・国歌と政府の対応/思想及び良心の自由/教育をめぐる権利・義務/公教育の果たす機能/「日の丸」「君が代」のもつ意味/公立学校の儀式における強制/教師の権利
    11 内閣総理大臣の靖国神社への参拝はなぜいけないのか 098
    軍国主義のバック・ボーン/宗教の自由/政教分離原則の本質/宗教的活動との分離/靖国神社の何が問題か/平和主義との抵触
    12 無修正ポルノはなぜ売ってはいけないのか 109
    なぜ「表現の自由」を保障するのか/規制はどう正当化できるか/規制根拠を再考する/ヘイト・スピーチ
    13 犯罪者にはどのような権利が保障されるのか 119
    刑事事件と憲法の規定/令状主義/裁判員制度/裁判員制度と憲法/死刑について
    14 都市計画で土地を自由に使えなくなった所有者は補償されるのか 126
    所有権の絶対性/財産権の変化/二九条の矛盾/補償の要否をどう判断するか/土地利用のあり方
    15 生活保護の支給額が低すぎるとき裁判で差額を請求できるか 133
    貧困者の救済/恩恵から権利へ/国政の指針に過ぎない?/裁判所も法的効力は認める/生存権と裁判所の救済/生存権と立憲主義の原点
    16 選挙区間の一票の価値の不平等は許されるか 142
    選挙に関する諸原則/投票価値の較差/最高裁判所の判断/一人別枠方式の合憲性/どう考えるべきか

    第4章 政府を動かす原理は何か 151
    17 内閣総理大臣の公選制に合理性はあるか 152
    権力分立思想の誕生/権力分立の本質/権力分立原理のさまざまな制度化/日本の議院内閣制/「首相公選論」の問題点
    18 国民代表が決めた法律を裁判所が違憲・無効とできるのはなぜか 162
    憲法の定める民主主義/民主主義と立憲主義/裁判にも民主的正統性がある/違憲審査権の正統性/立憲主義の精神
    19 「象徴」としての天皇には何ができるのか 172
    天皇は主権者かつ統治権者であった/天皇は主権者でも統治権者でもない/象徴とは何か/女系または女性の天皇は認められるか/象徴としての行為?/どのように考えるべきか?/天皇の政治的中立性
    20 日本の上空を通過する他国を攻撃するミサイルを撃ち落とすことは合憲か 182
    自衛権とは何か/自衛戦争を放棄したか/警察力と軍事力/戦力でない軍事力/現実は規範と乖離しているか/集団的自衛権と日本/9・11報復戦争とイラク戦争/自衛隊の変容/九条改正論について

    第5章 政府の活動内容は具体的にどのようなものか 199
    21 国会は何を法律として定めることができるか 200
    ルールを作る権限はどこに?/ルールとは何か/「ルール」でないものも作っている/国会が暴走したらどうするか
    22 内閣は「法の執行」以上のことをしているのではないか 207
    内閣とは何か/行政とは?/内閣の職務としての執政/三権分立か/権力分立か
    23 裁判所は事件に法律を機械的に適用しているだけか 213
    裁判所は機械か/裁判とは創造的な行為である/裁判官の職権行使の独立/憲法判例が変更された例①――尊属殺重罰規定/憲法判例が変更された例②――非嫡出子法定相続分差別規定/違憲判断の及ぶ範囲
    24 都道府県や市町村は独自にどのような仕事ができるのか 224
    二元的な統治構造/地方統治の根拠は被治者の同意/中央と地方の衝突/中央と地方の事務配分/改正地方自治法の原則/法律と条令/道州制の問題

    表1 「憲法の体系」 [235]
    表2 「個別の人権の分類」 [236]
    あとがき(二〇一四年一月五日 産婆として地域の人に愛され、自分が最後にとりあげた子として私を慈しんでくれた祖母・ふゆが産湯をつかった赤子のごとく入浴したまま八〇歳で逝ってから四〇年目の日に、正義が邪悪なものに打ち克ち、美しい日本の平和と自由が永遠に続くことを祈って 渋谷秀樹)  [237-239]

  • 第1章 憲法とは何か
    第2章 人権とはそもそも何か
    第3章 どのような人権が保障されるのか
    第4章 政府を動かす原理は何か
    第5章 政府の活動内容は具体的にどのようなものか

  • 7月新着

  • 2014年6月4日読了。
    憲法とはそもそも何か、国家とは何か、を知るには良かった。文体だけが気になる。

  • 現代の様々な諸問題と、憲法との関わり合い。学生時代学んだことを思い出しながら、読んでみると、改めて憲法というものの本質が理解できたような気になる。

  • 渋谷秀樹『憲法への招待 新版』岩波新書、読了。「憲法は私たちが守らなくてはならないものか」「『いじめ』は憲法に反する人権問題なのか」等、24の問いに答える形で、日本国憲法の思想と骨格を平易に解説する「市民のための憲法入門」。憲法を取り巻く風雲急の状況に、大幅に加筆した待望の「新版」。

    日本国憲法に通底する精神とは「一人ひとりを個人として尊重することに一番価値を置くことを前提に一貫して組み立てられている」こと。憲法の本質と人類普遍の原理を知らぬまま思い込みで論じる論調が多い中、その本質を浮き彫りにする本書の意義は大きい。

    特定秘密保護法の問題は、1)原則公開・例外非公開という政府情報のあり方が原則と例外を逆転させてしまう点、2)特定秘密の内容があいまいで情報が恣意的に特定秘密とされる点、3)報道機関の取材活動を萎縮、4)公務員のプライバシーの侵害、と指摘する。

    特定秘密保護法は、知る権利を侵害して民主主義の基盤を掘り崩そうとするだけでなく「国民相互の監視と密告を奨励して息苦しい監視社会を築きあげ、さらに真理を追求する科学的精神を萎縮させようとする毒素を隠し持った法律」あり、時代を巻き戻すもの。

    「本書を手に取ることで、憲法の理解が深まり、素人談義ではなく、熟慮に裏付けられた討議(deliberation)が真剣になされることを期待したい」(著者)。憲法に関する議論が過剰と過小に揺れ動く現在、根本原理からその具体的展開を見通す本書は学生に読んでほしい。

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