- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004314813
作品紹介・あらすじ
日本社会において、ひとり親であるとはどのような状況なのか。なぜこうも生きづらいのか。彼女/彼らの苦境を放置することによって、この社会がこうむる影響とは何か。自らもシングルマザーとして三〇年以上、当事者に寄り添いつづけてきた著者が、現状の課題を整理し、ひとりで子どもを育てる人々の生活を豊かにする道筋を提起する。
感想・レビュー・書評
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別居親の物書きです。
著者が子どもに会えない親に対し、あまりいい印象を持っていないと聞いていました。そのため、買ってはみたものの読む気がせず、しばらく積ん読状態でした。監護親側のさまざまな苦しみを知りたいと切望していたにも拘わらず。今日になり初めてページを開き、目を通したところ、今までわからずにモヤモヤしていた気持ちが氷解していきました。なるほどこういうことだったのかと、膝を打ちました。
ひとり親を支援する側に対し、別居親の物書きである私のような者が話を聞き、現状を把握することは大変に困難です。それだけに、この本は別居親が、ひとり親のことを知る格好の本だと思いました。この本で得た情報を参考に、より公平な文章を書こうと決意を新たにしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本社会において、ひとり親はなぜこうも生きづらいのか。自らもシングルマザーとして30年以上、当事者に寄り添い続けてきた著者が、現状の課題を整理し、ひとりで子どもを育てる人々の生活を豊かにする道筋を提起する。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40205379 -
離婚理由が興味深かった。というのも、経済的DVという言葉を知らなかったので、浪費する以外に生活費を渡さないというのも理由として有り得る、というところに意識が向いていなかったので。
読めば読むほど、日本は「一般的な家庭」に手厚く、そうでない人を弾き出すような社会が形成されてしまっているのだなぁ、と感じた。昔はきっとそれでも困ってなかったのかもしれないし、行政が見て見ぬふりをしてもどこかで拾い上げることができていたのかもしれない。まぁ、たぶんごく少数だったろうと思うけれども。
第5章までは、ひとり親家庭や行政支援の実態、第6章でNPO法人等、民間に広がる支援と施策拡充案(筆者案)を紹介。
もしも将来そうなったときには一人で抱え込まずに、色々な支援を探して、それを利用するだけじゃなく、他の人と繋がっていくようにしようと思った。言うは易しだろうとは思うけれども…。孤立しないよう、折れないよう、頑張れたらいいなぁ。 -
ひとり親(母子家庭・父子家庭)の現状について、多様な問題を抱えている現状が述べられている。
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ひとり親の家庭の暮らしが困難であることは推測していたが、なかなか大変な状況であると分かった。行政支援は、当事者の立場に立っていなかったり、生活保護を本当に必要としている人に支給できなかったりして、うまくいっていないことが多いと分かった。民間団体による支援が行われている今の時代にこそ、制度的な困難を解消していく必要がある。
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なにかとバッシング対象にされがちなひとり親家庭の実状。
主にシングルマザーながらシングルファーザーも忘れず語られている。
子持ちならこうなる可能性は誰にでもあるし、子持ちじゃなくても貧困の構造は他人事じゃない。
これは「ひとり親家庭」の問題ではなく、「ひとり親家庭を包摂できないこの社会」の問題。
知っておくべきこの世界を垣間見せてくれる良書だった。
長時間労働、低収入、ゆえに育児に割く時間も金も確保できないのが日本のひとり親家庭の特徴らしい。
近年では父子家庭の収入も下がって結果的に母子家庭に近づいてきているが問題の形は微妙に違う。
女性は子供を養えるだけの経済力を確保できる仕事がないから貧困に陥る。
男性は家庭生活をととのえる時間を確保できる仕事がないから貧困に陥る。
ひとり親家庭の子供は、性別役割分業からはみださない夫婦だけを想定した社会のゆがみをもろにくらってる。
これの前に読んだ『移植医療』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4004314887と同じく、議論が尽くされず検証もされないまま場当たり的に扱いが決められている。
ひとり親(とくに母子)への対処は、困っているから権利を「保障」するのではなく、不幸だから与えてやる「措置」のままみたいだ。
論理や効果よりも、「倫理(自業自得なんだから助けてやるもんか)」が優先されたような、イメージ先行の政治的対処がひとり親家庭の貧困を助長してきた。
だけど、貧困層を叩いても社会がよくなる訳じゃない。
メインストリートから外れた人を貧困の中に押し込めて未来の貧困層を再生産するより、軽い内に助けに入って未来の納税者を育てる方がいい。
今の社会には「情けは人のためならず」の精神が必要だ。
一番びっくりしたのは子供を育てるための貸付金を子供自身に借りさせる話。
問題視されてない感じの書き方だけど未成年にそんなことさせていいの?それは倫理的にありなの?
一番印象に残ったのは「支援が大変なのは"その人のせい"ではない。支援スキルの問題である。(P237)」という言葉。
本筋じゃないけど。
精神科医の本を読むとたまに「あいつらは無理。近寄らないほうがいい」みたいなこと書いてる奴がいてイライラする。
教育関係でも「膿を出せ」とか未だに腐ったリンゴみたいなことを言ってる奴がいる。
そうか、ああいうのは「その人のせい」にしているから腹が立つのかと納得がいった。 -
ひとり親家庭の現状とひとり親家庭を取り巻く環境や施策の現状について論じた本。新書だけあって、非常にわかりやすく書かれていて、ひとり親家庭の困窮度合いを示す指標なども充実しているとみた。
まずはひとり親家庭の現状について知っておこうと思い、読んでみたのだが、これからの福祉社会や人口減社会の課題が論じられる中で、ひとり親家庭への支援のあり方がどうなるのか、興味のあるところです。 -
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