日本は戦争をするのか――集団的自衛権と自衛隊 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314837

作品紹介・あらすじ

安倍晋三総理の悲願といわれる集団的自衛権。武器輸出の解禁や日本版NSCの創設、国家安全保障基本法をめぐる議論などを背景に、今、日本が急激に変わろうとしている。政府で何が議論されているのか。それはリアルな議論なのか。自衛隊はどう受け止めているのか。長年日本の防衛を取材してきた著者による渾身の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本は戦争をするのか」半田滋著、岩波新書、2014.05.20
    203p ¥799 C0236 (2022.05.22読了)(2022.05.15借入)
    「はじめに」に以下のように記してあります。
    「本書は、安倍政権が憲法九条を空文化して「戦争ができる国づくり」を進める様子を具体的に分析している。法律の素人を集めて懇談会を立ち上げ、提出される報告書をもとに内閣が憲法解釈を変えるという「立憲主義の破壊」も分かりやすく解説した。
    憲法解釈が変更され、集団的自衛権が行使容認となれば、将来、起こるかもしれない「第二次朝鮮戦争」で何が起こるかを自衛隊の極秘文書を基に詳細に記した。米国から「強固な国粋主義者」と呼ばれる首相の驕り、勘違いの数々と、憲法の枠内で頑張る自衛隊の活動との落差も知ってほしい。」
    「(自衛隊の活動の)見直しが検討されているのは、①離島に上陸した外国人を自衛隊が武器を使って排除する、②領海を潜って航行する潜水艦を武器を使って追い出す、③海外で日本人を救出するのに派遣した自衛隊の武器使用基準を緩和させる、などである。」

    【目次】
    はじめに
    第1章 不安定要因になった安倍首相
    第2章 法治国家から人治国家へ
    第3章 安保法制懇のトリック
    第4章 「積極的平和主義」の罠
    第5章 集団的自衛権の危険性
    第6章 逆シビリアンコントロール
    終わりに

    ☆関連図書(既読)
    「「戦地」派遣 変わる自衛隊」半田滋著、岩波新書、2009.02.20
    「日本に自衛隊がいてよかった」桜林美佐著、産経新聞出版、2011.09.19
    「憲法九条を世界遺産に」太田光・中沢新一著、集英社新書、2006.08.17
    (「BOOK」データベースより)amazon
    安倍晋三総理の悲願といわれる集団的自衛権。武器輸出の解禁や日本版NSCの創設、国家安全保障基本法をめぐる議論などを背景に、今、日本が急激に変わろうとしている。政府で何が議論されているのか。それはリアルな議論なのか。自衛隊はどう受け止めているのか。長年日本の防衛を取材してきた著者による渾身の一冊。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706029

  • 半田さんという方は左寄り、朝日新聞寄りの意見のようだ。憲法改正反対、集団的自衛権反対、安倍政権批判の内容。共感できる部分は少なかった。

  • 自分の知識が足りないせいでもあるとは思いますが、難しくて理解できないところも多かったです。安倍政権が戦前の日本の体制に戻そうとしているのは分かりました。

  • 集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更や安保法制の議論を受けて、反集団的自衛権、反安保法制の立場から執筆された。
    本著は、半田氏の著作の中でも特に安全保障に対する正確な理解が欠けているのではないかというような箇所や、批判ありきな書き方で気になる箇所が多い気がするが、K半島事態対処計画や逆シビリアンコントロールの話は興味深かった。

  • 2014年刊。著者は東京新聞論説委員兼編集委員。

     尖閣問題を初め、個別的自衛権で法的に対応可能であるにも関わらず、何故集団的自衛権を許容する解釈改悪を施すのか。
     この疑問は集団的自衛権の違憲性と憲法順守姿勢への疑義を生む一方、政治的・外交的な意義(有害・有益)に思いを致すことが可能だ。これをわざわざ推進しようとする安倍晋三氏や高村氏、公明党推進派といった政権運営の担う人々のパーソナリティにも関わってくる。
     この負担を被るのが国民(命を張る軍人・軍属は勿論、軍事費・自衛隊の実働費用の増大は増税を来すはず)でしかない以上、為政者の思惑は、その人間性を含め関心を払う要がある。
     本書からは、こういう側面での安倍氏の有り様が解読できそうだ。

     そもそも第一次内閣期の政権投げ出し時にも感じたが、言葉の勇ましさと比較し、メンタリティの面で果たして?と感じることが多かった。批判につき些末な部分まで官邸サイドでファナティックな反論をする有りようが本書でも垣間見れるが、これこそメンタリティの問題を露呈していないか。
     そもそも「自信家には眉唾を持って見る」以前に、「自信家の仮面を被っているのでは」という印象が生まれる読後感だ。

     さて、こちらの勉強不足を感じさせる記載も多く、つまり本書が気付きの書になっている。
     例えば、名古屋高裁平成20年4月17日判決、1994年春ごろ策定の極秘「K半島事態対処計画」等々。

  • 少なくとも戦争をするための準備は着々と整備されている。ただ、はたして国民だけではなく国を率いる政治家たちもその「覚悟」ができているかは不明。危機をあおって不満をそらしているだけではないかという疑問に答えるためにも姑息な言葉尻の議論ではなく、真に抑止力のある国防を目指すには何が必要か真剣に考えるべきだと思う。米国の世界戦略に取り込まれて自己判断できない状況になる危険はないのか? 世界の警察官の立場を降りようとしている米国が今後内向きになっていく中で気がついたら敵意に囲まれて孤立する状況になるリスクはないのか? そもそも最小の犠牲で独立を維持するためにどういった防衛体制が必要なのか、の議論無しに政治家に頭から「この道しかない」と言われても、とうてい納得はできない。
    集団的自衛権と、東アジアの国際情勢を理解するために参考になった。ちょっと不毛な言葉だけの議論もあったけど。

  • 配置場所:2F新書書架
    岩波新書 ; 新赤版1483
    資料ID:C0035932

  • 集団的自衛権以前に考えなければならない安全保障のための問題は、山程あるようだ。差し迫った脅威について煽られることは多いけれど、それに対するために今検討するべきことは、集団的自衛権ではないのではないかと考えてしまった。一度外してしまった箍を戻すことは容易ではないだろうし。
    中には疑問を抱く言説があったり、偏っているように感じるところもあったけれど、これから考えていく手掛かりになった。

  • メモ:絶対に買わない。読まない。

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著者プロフィール

1955年、栃木県生まれ。防衛ジャーナリスト。元東京新聞論説兼編集委員。獨協大学非常勤講師。法政大学兼任講師。1992年より防衛庁(現在の防衛省)取材を担当。主な著書に、『変貌する日本の安全保障』(弓立社)、『検証 自衛隊・南スーダンPKO-融解するシビリアン・コントロール』(岩波書店)、「日本は戦争をするのか-集団的自衛権と自衛隊」(岩波新書)、『零戦パイロットからの遺言-原田要が空から見た戦争』『僕たちの国の自衛隊に21の質問』(ともに講談社)などがある。

「2022年 『戦争と平和の船、ナッチャン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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