アベノミクスの終焉 (岩波新書)

著者 : 服部茂幸
  • 岩波書店 (2014年8月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314950

作品紹介

政府と日銀によって紡がれる「アベノミクスによって日本経済は回復しつつある」という「物語」。しかし、それは真実なのか。異次元緩和の始まりから一年以上がたった今、いくつもの「つまずき」を抱えたアベノミクスの実態が明らかになっている。政治のレトリックに惑わされることなく、客観的なデータにもとづき、警鐘を鳴らす。

アベノミクスの終焉 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2014年刊。著者は福井県立大学経済学部教授。◆本書は反サプライサイド経済学の観点から、アベノミクス(というよりリフレ論)を、各種経済指標を用いて批判的に分析。なお、アベノミクス全体に対し著者は批判一辺倒ではない。◆個人的にリフレ論に懐疑的だったのは、経済事象を極めて単純なロジックで、短期的解決が可能と誤解させる点だと気づかされた。勿論、長期にはありうるとしても…。◆刊行後、貿易収支の赤字は縮小。が、その要因は原油価格の下落。◇最近の株価下落も中国バブル崩壊による。要は、経済現象に関連するのは多様な要因。
    また、リフレ派が、経済回復という目標を物価上昇という手段とを混同しているきらいも。物価の決定・変動要因としては、現実の需給バランスにもあるのだろうから。◆いざなみ景気(02~08年)では経済成長中なのに労働分配率が低下。消費拡大せず。サブプライム恐慌での景気の下支えが皆無。政権の言うトリクルダウンへの懐疑・疑念。◇ソニー・富士通が採用し、逆効果であった成果主義に関する本書の批判はご尤も。◇今後、輸出増がドルベースで認められるか?が課題。なお、円安傾向下での、一般機械・電気製品の輸入増という現実がある。
    従来の主力商品の輸入増は、サブプライム恐慌以降に一層亢進した日本の第二次産業の空洞化という現実に基づき、円安メリットの実在への強い懸念材料(13年)。◆とはいえ、先進国中ほぼ唯一人口減に直面する日本という視座は何れの立場でも等閑視(本書は一人当たりGDPを割に問題にするだけマシ)。◆備忘録。サプライサイドもケイジアンもその提唱時代の相と関わり、現代では一長一短。◇所得再分配目的で見れば、政府が非効率な組織とは限らない。所得再分配が経済成長に果たす役割(特に需要喚起)は真剣に検討すべき。

  •  安倍政権の経済政策の問題点を指摘した本。ただし本書の論法は、ところどころ筋悪に見える。

    【目次】
    まえがき

    第1章 異次元緩和は成果を収めているのか 
     1 天頂からの転落
     2 異次元緩和の成果を検討する
     3 アメリカ経済は本当に回復しているのか
     4 政治のレトリック
     5 別の「物語」
    第2章 異次元緩和を支える経済学 
     1 中央銀行と金融政策
     2 マクロ経済学と金融政策の歴史
     3 金融危機と最後の貸し手機能
     4 非伝統的な金融政策
    第3章 財政政策と公共事業 
     1 財政政策の理論的基礎
     2 世界経済の危機と財政政策
     3 1990年代以降の日本の財政政策
     4 アベノミクスにおける財政政策
    第4章 成長戦略とトリクルダウン 
     1 政府の規模を小さくすれば、成長できるのか
     2 不平等の経済的、社会的コスト
     3 いざなみ景気とトリクルダウン
     4 新自由主義型の停滞
    終章 失敗から学ばない愚か者は同じ失敗を繰り返す 
     1 2008年の危機と経済学の敗北
     2 ゾンビ経済学
     3 学ぶことは未来を作ることでもある

    あとがき――政治のレトリックと経済の現実 
    参考文献 

  • 【配架場所】 図・3F文庫新書 岩波新書 新赤版 No.1495 
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=166961
    ほか、「検証安倍イズム : 胎動する新国家主義」 (岩波新書:新赤版 1566;2015年)などあります。

  •  本書は2014年8月の発行であるが、原稿は4月に上梓されていたそうである。昨年4月時点で現在の状況を的確に予想している点はすごいが、著書は元々「反アベノミクス論者」であるそうだから、内容は妥当なのかもしれない。
     本書での経済予想は、現在から見るとあたっている点もやや的外れの点もあるが、全体的には、ほぼ的確な指摘となっているのではないか。
     「黒田日銀」の「金融緩和」は、円安と輸出企業の好業績は一定程度もたらしたが、物価と経済を持ち上げるほどの力はなさそうだし、「財政政策」も持続性は困難だろうし、「成長政策」も農協の徹底抗戦の佐賀の選挙以来、どうも迫力不足となっている。
     安倍政権は政治的には成功するかもしれないが、どうやらアベノミクスは本書の指摘どうりに失敗に終わる可能性が高いようだと、本書を読んであらためて思った。

  • 12月新着

  • アベノミクス批判の書。私自身は異次元金融緩和には賛成なのだが、礼賛本ばかり読んでも仕方ないので、読んでみた。内容的にはいま一つ。批判ばかりで、だからどうするというのがない。また、的確な批判もあるが、半ばいちゃもんみたいなものも混じっている。
    消費増税がもたらした結果とアベノミクスの結果をある程度区別して論じる必要があると思う。また、異次元金融緩和が円安、株価上昇をもたらしたといえないと論じるが、黒田バズーカ2で一気に円安、株高が進んだことをみてもとてもそんなことはいえないと思われる。第3の矢の成長戦略については、それ自体が曖昧だったため、新自由主義批判に終わっており、批判のための批判というか、成長戦略自体がはっきりしない中で無理矢理批判している感が強い(私も新自由主義は好きでないが)。
    流動性の罠に陥った日本経済をどのように成長させるのか、効果がありそうな財政政策と金融政策をフル動員するしかないと思うのだが、著者はどうすべきと考えているのかさっぱりみえてこない。

  • 自由な金融市場はバブルを作りやすい。

    フード・ファディズム=マスコミに紹介された食べ物に飛びつく。まともな科学者は警告する。
    経済政策のファディズムは、そうではない。専門家も理論に飛びついて拘泥する。

    アメとムチ、はルーティン化した仕事に対しては機能する。創造的な仕事には機能しない。重要なのは内発的な動機付け。
    ソニーの凋落。

    トリクルダウンが機能しない。

    ゾンビ経済学=大緩和時代、効率的市場仮説、DSGE(動学的一般均衡モデル)、トリクルダウン、民営化、経済を拡張させる緊縮財政

  • アベノミクスというよりもその理論的背景となっている金融緩和派や新自由主義を批判する内容となっている。私はどちらかといえばアベノミクス賛成だけどこの本の各種のデータには説得力があると感じた。

  • 安倍政権は賃金上昇も訴えている。
    アベノミクスから1年以上たっているが、トリクルダウンは起きていない。円安政策の目的は輸出拡大だった。しかし、これも今のところ失敗している。逆に円安でも輸入は数量でも急増した。日本の主要な輸出先は中国をはじめとした東アジアとアメリカ。

  • やはりそうだったか、というのが率直な印象。
    景気回復はアベノミクスの開始前から始まっていること、ゼロ金利下での量的緩和(第1の矢)は経済刺激効果がないこと、公共事業(第2の矢)の経済刺激効果は微々たるものであること、規制緩和を主とする新自由主義的な成長戦略(第3の矢)は第2の矢と整合せず、輸出型産業の回復は国民経済に恩恵をもたらさないこと、などがデータを以て論じられている。
     こうなると、どの党が政権を取ろうが、誰が首相になろうが景気変動にはおおよそ関係ないのではないか、との見方もできる。一部の利益享受者(今でいえば旧来型の重厚長大産業の経営者)には大いに関係するけれども。

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