日本の年金 (岩波新書)

著者 : 駒村康平
  • 岩波書店 (2014年9月20日発売)
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  • レビュー :18
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315018

日本の年金 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 【配架場所】 図・3F文庫新書 岩波新書 新赤版 No.1501 
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=167463

  • 20150724-0906 ほぼ通勤電車内で読んでいるので時間がかかった。2014年現在までの年金制度について概説されている。海外事情もコンパクトにまとまっているので使いやすそう。単純に、所得比例型にすればよいというものでもないのね・・・年金関係は初心者なので用語や文献など目新しいものも多かった。

  • きっぱり、すっきり、アジテーションのない、まんまのタイトルで勝負するだけあって、大変に分かりやすく、読み応えのある内容だった。あまりに複雑な年金制度の成り立ち、国内並びに海外の現況と課題、向かうべき姿に関してはその選択肢をしっかりと示している。少子高齢化は問題というより既に抑えられぬ現実と受け止めた上で、非正規労働者への厚生年金適用や自営業者等の所得捕捉が制度維持に欠かせぬという基本を理論的に学んだ。莫大なコストを必要とするマイナンバー制度への疑問も、いくぶん晴らすことができた。

  • 2025年団塊の世代が75才に到達し、2030年には65才以上が32%、75才以上が20%となると予測されている。人口は9%減少するが単独世帯は11.5%増加して全体の1/3超が単独世帯となる。特に都市部の増加が目立つ。これまでの日本の住宅政策、教育システム、そして年金も正社員の一括採用、終身雇用と言う日本型雇用システムに合わせて設計されており「階保険・階年金」のしくみが成立した。しかし90年代後半から派遣労働などの非正規雇用が増加し厚生年金と健康保険の適用対象者から外れた非正規労働者は国民年金、国民健康保険に加入することになったが、これらの保険料に企業の負担はなく、おおむね定額負担であるため低所得者ほど負担感が高くなる。そのため、未納者が急増している。2013年国民年金(第一号)の未納率は39%、国民健康保険の滞納率は18%になっている。公的年金は2011年現在高齢者世帯の所得の68%を占めており高齢者の生活の柱となっている。

    日本の所得代替率は60%程度とされているがこれは現役時代の年金の6割を受け取ると言う意味ではない。マクロ所得代替率は、現役世代と高齢者世代の所得比の目安でありかつては70%程度であったのがマクロ経済スライドにより60%程度まで下げられた。比率を維持するためには今後も保険料を引き上げ続けることが避けられなくなり、2004年の改革で政府は一定のマクロ所得代替率を維持することは諦めた。こういった手直しは必要なもので年金制度がすぐに崩壊するわけではない。しかし、何も手を打たなければ年金の受給額は確実に減っていく。

    年金制度の抜本的な改革は2009年に民主党が掲げた案がある。職業別に制度が統合されてこなかった年金制度を一元化する。保険料率は15%で固定し、所得が同じなら同じ保険料を負担し納めた保険額を基準にする「所得比例年金にする」。消費税を財源とする「最低保証年金」を創設し全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。そして、所得比例年金を一定額以上受給できる人には最低保証年金を減額する。悪くない案に思えるが所得の定義とその把握、財源確保、そして移行過程の作成で課題があり改革は実現されていない。

    所得の定義については自営業と被用者の所得の定義をどうするかが問題になる。自営業は「事業収入ー必要経費」を賦課対象所得と考えるのが普通だろう。被用者も同様に「報酬ー給与所得控除=所得」とすると保険料率を上げる必要が出てくる。民主党案の15%では財源が足りなくなるのだ。定義をどう変えても必要な財源の額は変わらず国民負担が増えるわけではないのだが制度を一元化しようとすると日本では被用者の所得控除額が大きいため所得税制の見直しが必要になり、自営業者の所得の把握をどうするかと言う点も課題が残る。自営業と被用者の賦課対象の所得が異なるアメリカやスウェーデンでは自営業の所得の把握を厳しくしている。徴税コストはかかるが公平で納得感のある制度を作るための必要経費とみているのだ。

    民主党案の最低保証年金を確立するためには消費税を上げる必要が有る。最低保証受給者の前高齢者に対する割合を58.3%とした試算では元寇年金制度より消費税は1.4%高くする必要が有るが、現行制度では年金受給者の1/3近くが受給額が5万円を下回るのに対し1.4%増加で5万円未満の年金を受ける高齢者はゼロになる。

    むしろ一番難しいのは移行期間をどうするかのように思える。どうやっても財源の確保や不公平感はなくせず、最も不公平でない方法は40年(=加入期間)かけて移行する方法だ。スタートが20年遅れてる様な気がするが。結局一気に改革しようとしてもなかなか上手くいかず連続的に手直しをし続けるしかなさそうだが高齢者ポピュリズムがはびこるとそれもなかなか進まない。

    いずれにせよ年金未納者は年金を受け取れないので財政破綻の要因になるわけではないのだが現在の加入者の負担は上昇する可能性が高い。それ以前に現在年金を払えない非正規雇用の低所得層は高齢になっても生活保障の対象になる見込みが高いのが問題なのだろう。金がないのが未婚率や少子化の原因になるのが人口のデフレスパイラルのように見えてくる。

    駒崎氏の年金改革案は正社員と非正規雇用者が同じ年金制度に加入できるようにすることが一つで、単純に言うと非正規雇用者の厚生年金負担を企業に求めることだ。また高齢化が進展する以上年金給付水準の引き下げ、需給年齢の引き上げも必要になる。最低所得保証は税金など所得の再分配でまかなうしかなく、一方で市場メカニズムを重視したリバタリアン的なアプローチも併用すべきだと言うのが現実的な提案なのだろう。今後の社会保障全体を見渡すと、政府か市場か地域互助かという選択ではなく、三者の適切な連携と役割分担が必要になることがわかると締めくくっている。これからの重たい話を俯瞰的にみわたし、具体的な提案もある。さて、実行できるのか。

  • 2015年1月新着

  • 新書でありながらも、年金制度について歴史的にも、諸外国との比較の点でも、幅広くそして深く論じている一冊。
    理解できるところもあるのですが、特に後半は私にとっては難解なところも多くありました。
    つくづく、年金なるものが巨大で利害関係者も多く時間軸的にも長大なものであることを再認識することの出来た一冊でした。
    この先の年金、どうなってしまうのでしょうかねぇ。

    付箋は28枚付きました。

  • 年金制度について
    やや難解

  • <内容>
    日本の年金制度の現状について解説している作品。
    →従来の男性稼ぎ主モデルを前提として、年金・税制・社会保障制度は相互補完的に機能。
    *非正規労働者→親に依存するという手もあったが、非正規労働者が大半になった今日それも困難に。
    *年金制度の位置づけ→防貧? 救貧?

    <年金制度>
    ・ビスマルクタイプ:職階別年金保険制度
    ・ベヴァリッジタイプ:国民全員を対象とする均一給付のユニバーサルタイプ
    ・ノルディックタイプ:税と年金の一元徴収を強める


    <感想>
    年金・税収の強化のためにも、歳入庁を設ける必要があるかも。担当大臣の格を挙げればいいんじゃね。

  • 年金のことが概観できる好著。これから年金に関する新聞記事が頭に入るようになりそう。

  • 今日の年金制度を概観できるかと購入。前半はわかりやすかったのだが、後半具体的な制度の問題になると、読みにくくなったが、何とか読了。

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