京都〈千年の都〉の歴史 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315032

感想・レビュー・書評

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  • 平安京から”京都”に変わるまでの変遷を、誰もが知っている有名な絵巻や書籍、物語の記載と現在の地名や残っている史跡を踏まえ、京の歴史を綴っている本。
    関東に住まいしているせいか、歴史ロマンの溢れる町というイメージを持っておりますが、ちょうどコロナ禍ではあったものの、二泊三日の京都出張があり、空いた時間に西本願寺と京都御所の中を散歩しました。その時に手元にあったらよかったのに、と思えた本でした。

  • 言葉は悪いかもしれないが、この本は「京都のガイドブック」ではないか。ただ、ふつうのガイドブックが「場所」ごとに整理されているのに比して、この本は「時代」に整理されている。そういうものではないかと感じた。ただ、この本を読んで、「この場所に行ってみようかな」と思わせるものがある。そういう意味で「ガイドブック」なのである。

    ただ中世史が専門の著者だけにそこまで望むのはどうか、という気もするが、おおよそ近世で終わっているのは惜しい気もする。京都の「古都」化は、近代において進むので(高木博志『近代天皇制と古都』とか…)、〈千年の都〉といえば近代の問題は欠かせなかったのではないかな、と思った。

  • 新しい発見があって、面白く読んだ。
    例えば、寝殿造。
    よくいろんなところで見かける東三条殿(藤原兼家邸)。
    あれは寝殿造りの典型なのだと思ってきたが、特に平安前期にはああではなく、コの字型なのだとか。
    京都の近隣の山が都市化による伐採で赤松だらけになっていくという話は、どこかで聞いたことがあったけれど、ヒラタケから松茸へ産物が変わっていくことで後づけられたという話は知らなかった。
    やはり知らないことがわかるのは、面白い。

    前半の方は、発掘された遺跡に基づいて論じるべきだという姿勢が強く出ていたように思う。
    そこに、さすが歴史家だなあ、と思わされた。

  • <目次>

    第1章  平安京の誕生ーはじまりの時代
    第2章  「花の都」の光と影
    第3章  平安京から京都へー中世の幕開け
    第4章  京と六波羅ー内乱と災厄を経て
    第5章  武家の都として-南北朝から室町へ
    第6章  都を大改造するー信長と秀吉の京都
    第7章  イメージとしての古都ー江戸時代の京都
    結び

    <内容>
    中世史の第一人者の京都の歴史本。かなりきちんとまとまっている。著者は林屋辰三郎の『京都』(岩波新書)を目標に書いたという。最新の成果を取り入れながら、平安時代から江戸時代の終わりまでが(幕末はかなりさらっとだが…)盛り込まれている。
    古代~中世のトイレの話(とても不潔で疫病の元)や荘園の端的な説明(これは目から鱗でした)、秀吉の伏見城の話はあまり知らなかった。また、現在の「古都京都」のイメージは江戸時代に出来上がったとの指摘は(もうとっくに上がっていたと思いますが…)、私には納得でした。

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