保育とは何か (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315094

作品紹介・あらすじ

財政難のあおりや度重なる政策変更によって翻弄される保育の現場。待機児童問題は依然、深刻であり、乳幼児をめぐる環境は厳しさを増すばかり。しかし、その間も子どもは成長する。この「待ったなし」の問題で、私たちは何を優先すべきなのか。乳幼児期保育・教育の現状を歴史の中から見直し、ありうべき保育像を模索する。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、長年保育の現場に携わってこられた著者が、現在までの保育の流れや制度、そこで働く保育者たちの実情、全国のユニークな保育の現場などをコンパクトな新書にまとめたものである。

  • 待機児童を解消するために、国は規制を緩和して保育施設を認可している。そういう状況を詳しく説明しつつも、本来幼児期に必要な充実した遊びがどの施設でも保証されるべきだという筆者の思いが伝わってくる。

  • 僕には保育士を目指す姪がいます。
    彼女に薦められるかな?と思って読みました(う~ん、姪にはまだちょっと早いかも)。

    保育をとりまく社会環境や制度について言及しています。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685596

  • 未来の社会を担っていくために子どもの教育により一層、目を向けるべきである。
    保育は今、待機児童や公立保育園の問題、幼保一体の動きなど解決していかなければならない様々な問題があるが、地域の方からの批判や政府の政策によってなかなか進んでいない。

    さらに、保育士不足も大きな問題で保育士は他と比べて明らかに低賃金で責任が重く、労働時間が長い。だから、継続年数も短い。保育士の雇用状態を良くすることが保育士不足の解決にも繋がり、待機児童の解消にも繋がるだろう。
    今後の政府の動きに期待したいと思う。

  • これから保育者を目指す人、育児をしている親に読んでもらえるといいなと思った。

  • これから先保育士として勤務する学生は読んでいた方がいいと感じた。幼稚園と保育園の現状、問題点。保育者の非正規雇用化や雇用状態、現行の制度や新制度についての考察などがまとめられていて勉強になった。

  •  この著作は、現代の保育にまつわる様々な問題について、網羅的に知ることができる
    1冊である。内容は、待機児童問題、保育の現場で起こっていること、優れた保育園の実例紹介、子ども子育て支援新制度について、過去と現在の社会の変化による保育の変化、保育士の置かれている状況など。豊富な参考文献が下支えとなっている良書である。

     良書というのは、良きブックガイドになっていることも多いが、本書はまさにそうで、本書をきっかけに手に取る本を増やしていけば、より保育についての知見を深めていくことができるだろう。

     著者は大学教授であるが、約30年に渡り保育士、園長を経験したスペシャリストでもある。だからこそ、第3章の「保育実践の輝き」で紹介される実例は、著者の人脈やフィールドワーク、現場を知るプロだからこそ着目できる保育園の豊かな実例に彩られている。

     私自身が一番の読みどころと感じたのは、第5章で紹介される1970年代の子どもたちの姿である。ひたすら外遊びに明け暮れる子どもたちの様子が綴られる。最近ベネッセが行った意識調査では、約4割の保護者が、芸術・運動よりも勉強をしてほしいという結果が明らかになっているという。(インターネットで1万6千人が回答)。そういう意識が反映されているのか、子どもが外で思い切り遊ぶ姿というのは、都心においては、あまり見かけなくなっている気がする。
     
     豊かな学びの土台には、遊びがあると著者は主張する。
    現代は、電子機器が普及し、幼い頃からスマホに馴染む子どもがたくさんいる。
    昔のように遊べる場所が激減し、危機意識から子どもを外で自由に遊ばせることに制限ができている現実もいたし方ないのかもしれない。

     しかし、著者は直接的には述べていないが、社会でリーダーシップを取る人は、概ね子ども時代から遊び呆けてきた人だということを改めて認識したほうがよいと思う。

     AIが本格的に登場し、生き残る職業、消滅する職業などど恐ろしい比較論も身近になってきている。機械が様々な面で労働を代替するからこそ、人間は人間にしかできないことに注力していくべきだと思う。

     幼少期に外に出て遊ぶことというのは、社会にどのようなルールがあり、どんな危険があり、どんな楽しいことがあるのか。子どもだからこそもつ豊富な感性の元、喜怒哀楽の要素を身を持って知る又とない機会なのではないか。

     実態を知らずに知識や情報を詰め込まれる子どもと日夜外に出かけていき様々な実物と出会っていく子どもと。どちらがたくましく育っていくだろうか。
    極端な例かもしれないが、フィールドワークをする作家の書いたものとネットで調べたり、本で読んだ内容だけでものを書く作家。どちらのほうが面白いものを書くだろうか。

     保育を考えることは、どういう社会を描いていくかを考えることに他ならないと思う。
    藤井四段を見て、モンテッソーリ教育や将棋に関心を持つ親は多い。これは、自分の子どもには、社会を生き抜いていけるだけの知性を身に付けてほしい思いの表れだろう。

     親が考えるべきは、子どもがのびのび遊ぶためにはどうしたらよいかを考えることかもしれない。

  • 思い込みや視野の狭さが感じられる。学者っぽい感じ。たまたま知った保育所を理想のごとく書いていくのはいただけない。個別事例は客観的に書かないと説得力に欠ける。子ども・子育て支援新制度には精通していないようだ。

  • 平成27年度から保育制度が新しくなるのにあたり、いまあらためて保育とはということを考えた本。保育制度とは、保育の現場、保育者(保育所保育士と幼稚園教諭)の課題など、今の保育にまつわるトピックを網羅的に取り上げられていると思います。保育について学びたい人におすすめですね。

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著者プロフィール

白梅学園大学・短期大学学長・教授。
1953年東京都生まれ。信州大学教育学部卒業、聖徳大学大学院博士課程修了。博士(児童学)。1978年~2004年山梨県、長野県、千葉県にて私立保育園保育士・園長を経験。2004年~2007年長野県短期大学幼児教育学科講師・同付属幼稚園長兼務。2007年より白梅学園短期大学准教授、同大学教授を経て2018年より現職。専門は保育学・保育史。日本保育学会、幼児教育史学会会員。著書は『保育とは何か』(岩波書店、2014年)『保育の自由』(岩波書店、2018年)ほか。

「2021年 『保育の質を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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