コーポレート・ガバナンス (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315131

作品紹介・あらすじ

低迷する業績、頻発するスキャンダル。悲鳴をあげる日本企業にとって、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の根本問題は何か。一九九〇年代以降のガバナンス構造の変貌によって企業はどう変わったのか。そもそも銀行をはじめとする日本企業のガバナンスにはどのような特徴があったのか。実証分析によって通説がくつがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 欧米型、日本型、東アジア型のコーポレートガバナンスを読み解きながら、あるべき統治の形を探っているように思える一冊。
    200ページに満たない新書サイズには、膨大な調査や分析により得られた知見が凝縮されている。

    本書ではガバナンスの「効かせ方」に軸足を置いており、もう少し現場よりのガバナンス実践についても知りたいところだ。

  • 脚注もなく、さらっと書かれているが、ベースとなっている先行研究の積み上げが半端でない。新書だからといって、侮るなかれ。

  • 東2法経図・6F指定:B1/4-3/Hoshi

  • 読みやすい入門書

  • 【版元から書誌情報】
    著者:花崎正晴
    通し番号:新赤版 1513
    ジャンル:経済
    刊行日:2014/11/20
    ISBN:9784004315131
    Cコード:0233
    体裁:新書・並製・カバー・198頁
    在庫:在庫僅少

    低迷する業績,頻発するスキャンダル.悲鳴をあげる日本企業にとって,ガバナンス(企業統治)の見直しは必須である.1990年代以降,会社法施行・改正によって企業はどう変わったのか.そもそも銀行をはじめとする日本企業のガバナンスにはどのような特徴があったのか.実証分析によって通説がくつがえる.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b226300.html



    【目次】
    はしがき [i-vii]
    目次 [ix-xi]


    第1章 コーポレート・ガバナンスとは何か 001
    1.1 所有と経営の分離 002
      老舗企業
      産業革命
      アダム・スミスの洞察
      アメリカ合衆国の発展と大恐慌バーリーとミーンズの指摘
      エージェンシー関係
    1.2 エージェンシー問題 013
      情報の非対称性と契約の不完備性
      エージェンシー・コスト
      コーポレート・ガバナンスの広がり


    第2章 アメリカ型ガバナンスの特徴と限界 019
    2.1 株主による経営者のモニタリング 020
      エンロン事件
      アーサー・アンダーセン会計事務所
      企業スキャンダルと規制
    2.2 経営者へのインセンティブ付与 027
      ストック・オプション
      インセンティブ・スキームの限界
      フリーキャッシュフロー問題
    2.3 株式市場を利用するアプローチ 035
      委任状争奪戦
      M&A
      敵対的買収と企業価値
      MBO
      事業部門の切り離し


    第3章 日本型ガバナンスを再検討する 047
    3.1 企業系列 049
      垂直的系列と水平的系列
      水平的系列の変化
      金融系列
    3.2 日本独自のメインバンク・システム 054
      メインバンクとは何か
      メインバンクの機能
        (1) リスク・シェアリング機能
        (2) 情報機能
      モニタリング機能
      メインバンクを高く評価する研究
      メインバンクと金融規制
    3.3 日本のメインバンクはガバナンス機能を果たしたか 065
      メインバンク論に対する代替仮説
      ガバナンスの三つのメカニズム
      株式所有の集中度、所有者の影響
      メインバンクと負債の役割
      市場競争による規律づけ
      市場競争の指標
      実証分析から得られた結果
      日本企業のガバナンスとは


    第4章 日本の銀行のガバナンス 079
    4.1 金融危機の何が問題か 080
      明るみに出た不良債権
      不良債権の累積
      経営破綻と公的資金による救済
      バブル崩壊が金融危機を招いたのか
    4.2 銀行のガバナンスと規制の役割 089
      預金者による規律づけ
      働かない規律づけ
      金融自由化の影響
      規制当局の役割
    4.3 ガバナンスの空白 100
      銀行の株主は金融機関
      機能しない株主の規律づけ
      エントレンチメントの影響
      ガバナンスを機能させるには


    第5章 東アジア企業のガバナンス構造 109
    5.1 家族支配企業のガバナンス 110
      家族支配とは何か
      国際比較研究から
      家族支配とエージェンシー問題
      議決権と収益受取権
      東アジアと西欧の比較
    5.2 アジア危機とコーポレート・ガバナンス 120
      投資家の保護とは
      投資家保護の効果
      情報開示と所有構造の効果
      所有集中度と企業収益率
      アジア危機以前と以後
      クローニー資本主義
    5.3 財閥の功罪 134
      旧財閥系企業グループ
      東アジア企業の二つの仮説
    5.4 中国の経済発展 140
      遅れた制度下での高度成長
      経済発展の背景


    第6章 コーポレート・ガバナンスの将来展望 145
    6.1 アメリカ型ガバナンスは浸透したか 146
      企業法制度の改革
      日本企業の変貌
      増加する社外取締役
      広まるストック・オプション
      委員会設置会社の実態
    6.2 日本の企業行動はアメリカ型に移行するか 156
      ストック・オプション導入により収益性は改善したか
      ストック・オプションの導入は企業のリスク・テイキング行動を誘発したか
      事業の多角化とコーポレート・ガバナンス
      多角化の二面性
    6.3 ステイクホルダー型ガバナンス 166
      ステイクホルダー・ソサエティ
      企業の社会的責任(CSR)
      社会的責任投資(SRI)
      コーポレート・ガバナンスとしてのCSRとSRI
      社会的なガバナンスへ

    あとがき(二〇一四年九月 花崎正晴) [177-180]
    参考文献 [1-4]

  • 会社法改正も、某塚家具の親子間紛争も、 東芝の不正会計発覚も、シャープの減資も、猫も杓子もコーポレート・ガバナン ス。

    法律や経営といった「型」の側面から解説 されるものも多いなか、そのインセンティブでガバナンスが維持できるんですかとい う数字の側面から書かれているので理解が しやすい一冊。

  • メモ
    エージェンシー問題がコーポレートガバナンスの伝統的な課題
     情報の非対称性と不完備契約が原因
     エージェンシーコスト・・・エージェンシー関係に起因して発生する社会的資源の浪費
     
    アメリカ
     エンロン事件→アーサーアンダーセン死亡
    ストックオプションの限界
     ①経営者の手腕と株価は対応するのか
     ②短期的利益と長期的利益の矛盾(株式市場の非効率性に起因
    フリーキャッシュフロー問題・・・これが多いほど株主と経営者の利害対立は深刻に、負債によるモニタリングが必要

    MBOによる、外部株主の利益毀損。株価を下げて買い付けをラクにするインセンティブ

    日本型ガバナンス
    メインバンク制のガバナンス機能に否定的
    銀行にガバナンス能力はなかった

    コーポレートガバナンスの三つのメカニズム
    株式、負債、競争市場

    日本は銀行へのガバナンスに問題
     ①株式は金融機関の持ち合い
     ②負債は個人預金者のためガバナンス能力、インセンティブ無し
    ③ 護送船団方式、預金金利規制

  • コーポレートガバナンスの背景。そして、これからの重要性。そこまで、株主のものというものにも企業はなってほしくないという個人的感想。

  • 2015年2月新着

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著者プロフィール

花崎 正晴(はなざき まさはる) 
1979年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業. 日本開発銀行入行. OECD経済統計局, ブルッキングス研究所, 一橋大学経済研究所, 日本政策投資銀行設備投資研究所長などを経て, 2012年4月より一橋大学大学院商学研究科教授. 現在, 一橋大学大学院経営管理研究科教授. 早稲田大学博士(経済学). 主要著書:Corporate Governance and Corporate Behavior: The Consequences of Stock Options and Corporate Diversification, Springer, 2016. 『コーポレート・ガバナンス』岩波新書, 2014年. 『金融システムと金融規制の経済分析』(共編著)勁草書房, 2013年. 『企業金融とコーポレート・ガバナンス』東京大学出版会, 2008年, 第50回エコノミスト賞受賞. 『コーポレート・ガバナンスの経済分析―変革期の日本と金融危機後の東アジア―』(共編著)東京大学出版会, 2003年.

「2019年 『変貌するコーポレート・ガバナンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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