農山村は消滅しない (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315193

作品紹介・あらすじ

増田レポートが「どっこい生きている」地方にショックを広げている。このままでは地方は消滅するのか?否。どこよりも早く過疎化、超高齢化と切実に向き合ってきた農山村は、この難問を突破しつつある。現場をとことん歩いて回る研究者が丁寧にその事例を報告、地方消滅論が意図した狙いを喝破する。

感想・レビュー・書評

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  • もうこれは、表装の裏表紙で既に回答が出てるので‥強いて挙げるので、あれば… #YouTube や #TikTok 、に加えて #Periscope ( #Twitter 公式関連の配信アプリ)更に‥ちょっと昔ならば #ツイキャスライブ や #IGTV ( #Instagram の同)や、 #Facebook ‥等等(などなど)の #Streamer とか出る様に…演劇等の魅せられる舞台等も有れば(適用外の該当者の自分だから敢えて評出来ます)…相当の人じゃ無ければ…地元に残りますので…自治体がそういう設備の整備と、体裁による圧し附けの性悪を問い質(ただ)せば…事実上は解決しますよ。浅慮(せんりょ‥浅知恵)で申し訳ございませんが‥これが現時点での評です。

    PS
    読み重ねての、修正を行いますのですが、それは‥深化して理解した証ですので…悪しからず…。

  • いわゆる「増田レポート」に反対する立場として記された書。
    ここで紹介された事例、それぞれの地域での成功事例や努力している事例については、本当にすばらしい取り組みであり、今後このような動きがどんどん広がっていき、全国各地で活性化できるようになっていけば、非常に喜ぶべきである。

    ただ、現時点では、これらの動きは限定的であり、全国的な人口減少・特に地方における人口減少を押しとどめるだけの動きにはまだなっていないと感じる。
    著者は、これまで農山村の強靭性という指摘もしているが、これから本格的な人口減少が始まる中、その強靭性が発揮できるかは未知数だと言える。全体のパイが縮小している中、各地で人口の奪い合いとなりぇば、必ず勝ち負けが生まれ、負けた地域がどうなってしまうのかが見えてこない。
    また、「増田レポート」は地域に諦めのみを与えたという指摘もあるが、それだけでなく、危機感を与えたと思う。この時代になっても人口が増加傾向とする総合計画を作成している自治体には、真剣にこれからの時代に向き合うきっかけを与えたものではないだろうか。

    増田氏の主張を批判する声もあるが、一定の仮説を元に人口の推移を予測したものであり、評価すべきものであるし、感情的に批判するだけでなく、全体が活性化していくためにはどのような政策が必要なのか、国民的議論がいよいよ必要になってくる。


    地域づくりのフレームワーク
    ①暮らしのものさしづくり(主体づくり)交流・情報
     地域住民レベルには「当事者意識」「気づき」が必要、一層重い課題
    ②暮らしの仕組みづくり(場づくり)住民自治
    ③カネとその循環づくり(持続条件づくり)地域経営
    「内発性」「総合性・多様性」という装いを持ち、地域の新しい価値の上乗せを目標としながら「主体」「場」「条件」の三つの柱を地域条件に応じて巧みに組み合わせる体系こそが、今日求められている「地域づくり」である

    自治体職員は、より積極的な「地域マネジャー」として、地域の組織・団体や個人に対して、「カネ」「モノ」のみならず、「情報」「人」を直接提供したり、あるいはそれらのネットワークへの接続機会を提供したりすることが要請される

    地域マネジメント型行政
    ・地域担当制

    農山村への支援方法の変化
    ①(支援の内容として)補助金から交付金へ
    ②(支援の対象として)補助金から補助人へ
    ③(支援の主体として)中央政府から地方政府へ
    ④(支援の主体として)政府から「新しい公共」へ

    田園回帰
    必ずしも農山村移住という行動だけを指す狭い概念ではなく、農山村(漁村を含む)に対して、国民が多様な関心を深めていくプロセスを指す

    農山村集落は、強い強靭性を持つ、農山村コミュニティのこうした性格は日本的特徴

    <この本から得られた気づきとアクション>
    ・人口減少社会に入り、地方でそれに対抗し、成果を出している取り組みには経緯を評し、この動きが全国に広がっていくのは、うれしい限り
    ・現時点ではこの動きは限定的と思える。本当に人口減少に対抗できるかは未知数。そのために何をすべきか
    ・魅力ある地方をつくる取組が今こそ求められる。その中で、自分は何ができるか?

    <目次>
    序章 「地方消滅論」の登場
    第1章 農山村の実態―空洞化と消滅可能性
    第2章 地域づくりの歴史と実践
    第3章 地域づくりの諸相―中国山地の挑戦
    第4章 今、現場には何が必要か―政策と対策の新展開
    第5章 田園回帰前線―農山村移住の課題
    終章 農山村再生の課題と展望

  • いわゆる「増田レポート(地方消滅論)」には、個人的にも嫌悪感を抱いていて、そもそも増田氏編著になっている新書は、署名が伴っていない(執筆者が明らかにされていない)点で責任所在に思えるので読む気さえしない。
    けれど一方で山下祐介氏の主張はすでに『限界集落の真実』で読んでいたので彼の反論本もとりあえず手に取らず。
    そんな中、代わりにと言っては何だけど、書店で目についてこの本を読むことにしたのだった。

    結果的に、正解だった。
    山下氏ほど文章に力が入っていないし、くどくどしくないので読み易い。それでいて、いくつかの先進的な事例(特にそれらのうち歴史的にも大事なもの)をカバーしているのみならず、過去の意義深い文献をかなり網羅的に引いていて、説得力がある。各地での参考にもなりそう。

    農山村集落では、高齢者のなかで「継承への意識」が強く広がっていること。
    でも自然災害(等)がきっかけで(一歩間違えると)「諦め」が広がり得ること。
    地域づくりには内発性・総合性・革新性が求められること。
    暮らしのモノサシ(交流・情報)、仕組み(自治)、カネと循環づくり(経営)がカギとなること。
    用地協議や住宅建設さえ地域は担いうること。
    地域づくり協力隊のような制度も、きっかけになり得ること。
    移住トレンドが存在すること。
    ――といった、多くの示唆が得られた。

    いずれにしても、「増田レポート」が地域に打撃を与えるようなことがないことを祈る。

    繰り返すが、説得力ある一冊。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/15634

  • 611-O
    小論文・進路コーナー

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17504076

  • 著者:小田切徳美
    通し番号:新赤版 1519
    刊行日:2014/12/19
    ISBN:9784004315193
    版型:新書 並製 カバー
    頁数:254ページ
    在庫:僅少

    増田レポートによるショックが地方を覆っている.地方はこのままいけば,消滅するのか? 否.どこよりも先に過疎化,超高齢化と切実に向き合ってきた農山村.311以降,社会のあり方を問い田園に向かう若者の動きとも合流し,この難問を突破しつつある.多くの事例を,現場をとことん歩いて回る研究者が丁寧に報告,レポートが意図した狙いを喝破する.


    ■著者からのメッセージ
     「地方消滅論」が農山村に強いインパクトを与えている。「どうせここは消滅する地域なのだ」という「諦め」の気持ちは確実に拡がり始めている。「消滅論」は「地方創生にむけた警鐘」どころか、政治的な「地方たたみ」の尖兵となりつつある。
     他方で、農山村の内発的な「地域づくり」は、自らの地域の課題に立ち向かっている。その取り組みは、現場の知恵にあふれている。そして、そこには都市の若者を中心とする応援団が合流しつつある。「田園回帰」の動きである。「地方消滅論」が見逃した、農山村の可能性がここにある。
     いま、農山村では「諦め」と「可能性」がつばぜりあいを演じている。これが、日本の将来に直結する農山村の現実である。それに対して、私たちは何ができるのか。読者とともに考えたい。
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b226306.html


    【目次】
    はじめに

    序章 「地方消滅論」の登場

    第I章 農山村の実態――空洞化と消滅可能性
    1 進む農山村の空洞化
    2 強靭な農山村集落
    3 農山村の展望――増田レポートを考える

    第II章 地域づくりの歴史と実践
    1 「地域活性化」から「地域づくり」へ
    2 「地域づくり」の体系化への挑戦
    3 地域づくりのフレームワーク
    4 地域づくりの三つの柱

    第III章 地域づくりの諸相――中国山地の挑戦
    1 地域づくりの先発事例――山口県山口市仁保地域開発協議会
    2 新しいタイプの地域づくり
     (1)コミュニティによる住宅整備――広島県三次市青河地区
     (2)新たな「村」の創造――岡山県津山市阿波地区
    3 なぜ、中国山地か――事例の位置づけ

    第IV章 今、現場には何が必要か――政策と対策の新展開
    1 補助金から交付金・補助人へ
    2 支援主体のあり方
    3 新しい政策の位置づけ
    4 「補助人」の役割と課題

    第V章 田園回帰前線――農山村移住の課題
    1 田園回帰の今
    2 農山村移住の実態――「あったかく」「かっこいい」地域へ
    3 農山村移住への支援策
    4 農山村移住の課題

    終章 農山村再生の課題と展望
    1 消滅しない農山村の仕組み
    2 政策論議の争点――農村たたみ
    3 都市・農村共生社会に向けて――国民的議論と選択


    あとがき



    著者略歴
    小田切徳美(おだぎり・とくみ)
    1959年生まれ。明治大学農学部教授。農政学・農村政策論・地域ガバナンス論。東京大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学(農学博士)。(財)農政調査委員会専門調査員、高崎経済大学助教授、東京大学大学院助教授などを経て、現職。
    著書に『日本農業の中山間地帯問題』(農林統計協会。1996年日本農業経済学会奨励賞受賞)、『共生と協働によるまちづくり読本』(共著、ぎょうせい)、『日本農業――2005年農業センサス分析』(編著、農林統計協会)、『農山村再生 「限界集落」問題を超えて』(岩波ブックレット)、『農山村再生に挑む――理論から実践まで』(編著、岩波書店。2014年地域農林経済学会特別賞受賞)、『地域再生のフロンティア』(共編著、農山漁村文化協会)など多数。

  • 最後の2ページで少しがっかりしたけど、そんなに簡単な問題ではないので致し方なし。
    事例紹介、反論までは論拠があるんだけど、改善策に具体性を持たせないといけない。

    …無論自分にもアイデアがないので、文句言える立場ではないんだけど。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • <内容紹介より>
    増田レポートが「どっこい生きている」地方にショックを広げている。このままでは地方は消滅するのか?否。どこよりも早く過疎化、超高齢化と切実に向き合ってきた農山村は、この難問を突破しつつある。現場をとことん歩いて回る研究者が丁寧にその事例を報告、地方消滅論が意図した狙いを喝破する。

    ――――
    『地方消滅』で描かれた、増田レポートによる地方の人口再生力の低下とそれに伴う地方人口の激減(=消滅)に対する反論として執筆された本です。

    単純に「再生人口(20~40歳の女性人口)率」だけで議論するのではなく、地方において「何人」田園回帰による「流入」があれば地方の農山村がその生活を維持できるか、という実数を上げたり、これまでに取り組まれてきた、各地方農山村が自らの魅力を確立していく(人口の流出を食い止め、新たに移住者を集めるきっかけとなる)事例を紹介したりして、増田レポートの主張が間違っていることを証明しようとしています。

    個人的には、どちらの見方も「完全に間違っている」ということはないのだろうと感じています。

    東京を中心とする大都市圏に若者が流入していることは確かでしょうし、それに伴う地方の「空洞化」は進行しているでしょう。一方で都心から農山村へと「田園回帰」して移住を決めている人もゼロではありません。

    「このままでは農山村がしょうめつしてしまうかもしれない」という危機感を抱きつつ、本書に描かれているように「諦め」ることなく各地の”魅力”を高め、それぞれの地方が(外部の資産(リゾート開発など)によらずに)人(移住者や観光客)をひきつけることができるような体制を作っていくことが必要だと思います。

    農山村があるからこそ、「都市」が生活できている、という側面もきっとあるはずです。これからのバイオマス燃料や食糧自給問題など、今後も農山村がはたす役割は決して少なくはないと感じます。
    都市部に暮らす者として、地方の”再生”にしっかりと関心をもって考える必要性を痛感させられました。

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著者プロフィール

〔略歴〕 明治大学農学部教授。1959年、神奈川県生まれ。
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。博士(農学)。

〔主要著書〕 『農村政策の変貌』農山漁村文化協会(2021年)など。

「2023年 『新しい農村政策 その可能性と課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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