天下泰平の時代 シリーズ 日本近世史 3 (岩波新書 新赤版1524)

  • 岩波書店 (2015年3月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784004315247

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プレミアム

みんなの感想まとめ

江戸時代中期の「天下泰平」の時代を深く掘り下げ、平和の裏に隠された人々の努力や政策を描き出しています。将軍家綱から吉宗、家治までの百年余りの歴史を通じて、戦乱が止んだ後の社会の変化や文化の発展が豊かに...

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代「近世」の泰平の世を説いた高埜利彦先生『天下泰平の時代』は、17世紀半ばの徳川家綱の時代から18世紀半ばの家治に至る約130年を、鮮やかに紡ぎ出す
    17世紀の初め、戦国乱世の記憶が人々にまだ生々しい記憶として残る中、「天下泰平」の基盤がどのように築かれ、文化が花開いたのか、政策の変遷や社会のダイナミズムを通じて解き明かしてくれる本書の魅力は、何と言っても網羅的に社会の出来事を、その構造の明快さと、具体的なエピソードだと言える
    冒頭で家綱・綱吉の治世から始まり、吉宗の享保の改革を経て家治の時代までを追う流れは、まるで川の流れのように武家社会の価値観が「武威」から「学問・文化」へシフトしていく過程(政策の羅列ではない)、身分の流動化や経済の発展と絡めて、人々の生活の営みの根底の意識の変化を、綱吉の生類憐みの令の「動物愛護」政策だけではなく、泰平の世を維持するための人の心の「安定装置」として再解釈されている
    また、都市部の商業発展や出版文化の隆盛が、どのように庶民の生活を豊かにしたかを、具体的な事例を交えながら記述をし、江戸の町人文化、歴史が「過去の出来事」ではなく、「今を生きるためのヒント」として蘇る
    安定した社会を維持するための「仕組み」――参勤交代の洗練や、身分制度の柔軟化――は、今日のグローバル化された社会で求められる「持続可能性」の教訓とも関係づけられる

  • 将軍綱吉の政策は福田千鶴氏よりもわかりやすかった。愛犬のペットロスがおさまりそうにない私には彼の気持ちがわかる気がする。
    時代劇や小説などでのライバルが水戸黄門や忠臣蔵、松尾芭蕉に曽根崎心中などというのは運が悪い。
    彼が低身長症であったというのはほんとうだろうか……。
    将軍よりも老中などのほうが力を持つ時代になっていく過程は幕府がじわじわ滅びに向かっている感じがした。
    キリシタン弾圧は秀吉よりも徳川のほうが過酷苛烈であるが、キリスト弾圧と潜伏キリシタン、それに不受不施派の発生などは太閤秀吉のせいで発生したようなものではないだろうかと私は思う。朝鮮侵略の渦中であり、キリシタンに友好的であった関白秀次の死からすこしあとのことであった。

  • 時代が面白いのか、それとも書き方が良かったのか、おそらくその両方だろう。時代の人々のエネルギーを感じながら、一気に読み切った。大きなダイナミズムというより、個々のトピックが時代とその思想を象徴していた。

    アジアの動乱と平和
    統治の巧さ。デモンストレーションと内容の充実のバランス
    経済と文化
    構造改革。享保の改革と田沼意次
    身分制度の揺らぎ

  • おおよそ家綱時代から家治時代(田沼時代)までの政治社会史を中心とした一書。といえるだろうか。国内の「泰平」の様相だけを描くのではなく、明清交代への対応といった外交関係、大嘗祭の執行をめぐる問題など朝廷との関係、身分の周縁化など、この時期の「社会の変化」にも焦点を当てているのが特徴…というよりも、近世史の研究成果をふんだんに織り込むとこうなる、と言うべきだろうか。単に自分の子供ができないという問題で理解されてきた綱吉の「生類憐れみの令」に対しても、儒教的特色を読み込むといった最近の説に、もちろん言及している。

    1巻は「太平」という言葉にこだわっていたので、この巻も「泰平」という言葉になにか言及があるのかと思ったら、それはなかった。

  • 天下太平はなんと退屈か。記述に面白味がない。ただし、勉強にはなった。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  東アジアの動乱と平和の訪れ
    第2章  江戸幕府の権力機構
    第3章  新たな価値観の創出
    第4章  豊かな経済、花ひらく文化
    第5章  「構造改革」に挑む~享保の改革
    第6章  転換期の試み~田沼時代
    おわりに  格差社会の広がり

    <内容>
    岩波新書 シリーズ日本近世史の第3弾。全集ものの日本史を多く執筆している著者だけに、とてもわかりやすい文章です。新しい知見も取り入れながら、文治政治から田沼時代までが概観されています。勿論、経済や文化の部分はやや物足りないですが、歴史の流れをつかむなら、この1冊ですね。

  • 朝鮮、中国の安定、国内の統一により、天下泰平の時代へと突入した。その中で全国市場の成立、文治政治の確立、新田開発といった大転換が進んでいく。その転換の背景を学べる一冊であり、受験生にも薦められる一冊である。

  • 体制を維持するための政策が、自らを衰えさせていくことになる。江戸幕藩体制の転換点が分かる一冊。
    やっぱり綱吉政権がターニングポイントなんだなぁ。
    今日の勝因が明日の敗因につながるわけだけど、もちろんこれは「歴史の後出しジャンケン」。個人的には田沼意次の政策をうまく継承できれば、時代の変化に対応できたのかな、と思う。

  • 中国と朝鮮半島が落ちついたから、文化を優先に。上洛は全国の大名を動員する軍事演習。末期養子。死にそうになってからの養子で家を守るのを許可して、とにかくざわざわを避けた。

  • 2015年5月新着

  • 天下泰平の時代というのは、やっぱり「経済」と「文化」ですから、読み物としてはちょっとたいくつかな。

  • 勉強になりました。

  • 江戸時代の朝幕関係の専門家であり、多くの通史・概説書も手掛けられてきた高埜先生の巻。岩波の近世史シリーズでは第3巻。四代将軍家綱から十代将軍家治の時代までが扱われる。思想史的にも面白い時代。それを本書では価値観の転換として第3章で扱う。荻原重秀の貨幣改鋳策も第3章で扱われている。

    最後に身分社会の動揺を「身分の集団化」「身分の周縁化」というキーワードでまとめ、次巻(第4巻・吉田伸之『都市 江戸に生きる』)と次次巻(第5巻・藤田覚『幕末から維新へ』)へとつないでいく。

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著者プロフィール

1947年生まれ。学習院大学名誉教授。東京大学文学部卒業。専門は日本近世史。著書『近世日本の国家権力と宗教』(東京大学出版会)、『近世の朝廷と宗教』(吉川弘文館)、『天下太平の時代(シリーズ日本近世史3)』(岩波新書)など多数。

「2020年 『近世史講義 女性の力を問いなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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