天下泰平の時代〈シリーズ 日本近世史 3〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315247

作品紹介・あらすじ

戦乱止み、文化の花開く泰平の世へ。家綱・綱吉から吉宗を経て家治まで、一七世紀半ばからの百年余をみる。安定には安定のための仕組みがある。武威重視の価値観を転換する、どのような政策が打ち出されたのか。新田開発や流通網の整備、歌舞伎・相撲などの娯楽の広がり、朝鮮や琉球との往来など、躍動する時代を存分に描く。

感想・レビュー・書評

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  • 将軍綱吉の政策は福田千鶴氏よりもわかりやすかった。愛犬のペットロスがおさまりそうにない私には彼の気持ちがわかる気がする。
    時代劇や小説などでのライバルが水戸黄門や忠臣蔵、松尾芭蕉に曽根崎心中などというのは運が悪い。
    彼が低身長症であったというのはほんとうだろうか……。
    将軍よりも老中などのほうが力を持つ時代になっていく過程は幕府がじわじわ滅びに向かっている感じがした。
    キリシタン弾圧は秀吉よりも徳川のほうが過酷苛烈であるが、キリスト弾圧と潜伏キリシタン、それに不受不施派の発生などは太閤秀吉のせいで発生したようなものではないだろうかと私は思う。朝鮮侵略の渦中であり、キリシタンに友好的であった関白秀次の死からすこしあとのことであった。

  • 時代が面白いのか、それとも書き方が良かったのか、おそらくその両方だろう。時代の人々のエネルギーを感じながら、一気に読み切った。大きなダイナミズムというより、個々のトピックが時代とその思想を象徴していた。

    アジアの動乱と平和
    統治の巧さ。デモンストレーションと内容の充実のバランス
    経済と文化
    構造改革。享保の改革と田沼意次
    身分制度の揺らぎ

  • おおよそ家綱時代から家治時代(田沼時代)までの政治社会史を中心とした一書。といえるだろうか。国内の「泰平」の様相だけを描くのではなく、明清交代への対応といった外交関係、大嘗祭の執行をめぐる問題など朝廷との関係、身分の周縁化など、この時期の「社会の変化」にも焦点を当てているのが特徴…というよりも、近世史の研究成果をふんだんに織り込むとこうなる、と言うべきだろうか。単に自分の子供ができないという問題で理解されてきた綱吉の「生類憐れみの令」に対しても、儒教的特色を読み込むといった最近の説に、もちろん言及している。

    1巻は「太平」という言葉にこだわっていたので、この巻も「泰平」という言葉になにか言及があるのかと思ったら、それはなかった。

  • 天下太平はなんと退屈か。記述に面白味がない。ただし、勉強にはなった。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  東アジアの動乱と平和の訪れ
    第2章  江戸幕府の権力機構
    第3章  新たな価値観の創出
    第4章  豊かな経済、花ひらく文化
    第5章  「構造改革」に挑む~享保の改革
    第6章  転換期の試み~田沼時代
    おわりに  格差社会の広がり

    <内容>
    岩波新書 シリーズ日本近世史の第3弾。全集ものの日本史を多く執筆している著者だけに、とてもわかりやすい文章です。新しい知見も取り入れながら、文治政治から田沼時代までが概観されています。勿論、経済や文化の部分はやや物足りないですが、歴史の流れをつかむなら、この1冊ですね。

  • 朝鮮、中国の安定、国内の統一により、天下泰平の時代へと突入した。その中で全国市場の成立、文治政治の確立、新田開発といった大転換が進んでいく。その転換の背景を学べる一冊であり、受験生にも薦められる一冊である。

  • 体制を維持するための政策が、自らを衰えさせていくことになる。江戸幕藩体制の転換点が分かる一冊。
    やっぱり綱吉政権がターニングポイントなんだなぁ。
    今日の勝因が明日の敗因につながるわけだけど、もちろんこれは「歴史の後出しジャンケン」。個人的には田沼意次の政策をうまく継承できれば、時代の変化に対応できたのかな、と思う。

  • 中国と朝鮮半島が落ちついたから、文化を優先に。上洛は全国の大名を動員する軍事演習。末期養子。死にそうになってからの養子で家を守るのを許可して、とにかくざわざわを避けた。

  • 2015年5月新着

  • 天下泰平の時代というのは、やっぱり「経済」と「文化」ですから、読み物としてはちょっとたいくつかな。

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著者プロフィール

1947年生まれ。学習院大学名誉教授。東京大学文学部卒業。専門は日本近世史。著書『近世日本の国家権力と宗教』(東京大学出版会)、『近世の朝廷と宗教』(吉川弘文館)、『天下太平の時代(シリーズ日本近世史3)』(岩波新書)など多数。

「2020年 『近世史講義 女性の力を問いなおす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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