幕末から維新へ〈シリーズ 日本近世史 5〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.84
  • (4)
  • (13)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 189
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315261

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  天明の大飢饉から大政奉還まで、1780年代から1860年代までを対象とする通史。近年の江戸時代後期の通史は、国際関係と日本国内の社会変動の関連がうまく把握できていないことが多いが、本書では明治維新を生み出した必然的な国内・国際要因の関係性がバランスよく叙述されている。ただし狭義の幕末期については、近年の近代史サイドの研究潮流とは異なり、伝統的な「植民地化による民族の独立の危機」「尊皇攘夷と公武合体の対抗」といった枠組みを前提とし、なおかつ近代主義的な発展段階説に拠っており、異論があろう。琉球にほとんど言及がないのもマイナス。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  近世の曲がり角~維新の起点
    第2章  内憂外患の時代へ
    第3章  近代の芽生え
    第4章  開国・開港
    第5章  幕末政争から維新へ
    おわりに

    <内容>
    岩波新書近世史シリーズの最終巻。よかったのは、宝暦・天明期から化政期の文化がコンパクトにまとまっていたこと。政治史の流れはかなり早めだけど、要点は抑えてあるので、受験生も教科書を一通り読み終えたらこのシリーズを通して読むのもいいかもしれない。

  • 静かに幕末維新期の歴史が語られる。幕末物はどうしてもドラマティックな人物中心の歴史が語られがちで、それを期待してしまうが、実際はこのような本の記載が正しく時代の様子を表しているのだろう。

  • 私には、日本の歴史は幕末から第二次世界大戦敗戦から米軍による占領期までが一番興味を惹かれます。異国船打払令を出しても、日本と戦争をするために軍艦を派遣することはないという甘い現状認識(アヘン戦争の情報で目が醒めるのですが)の当時の幕府と、想定しがたい危機感の煽りよう(ホルムズ海峡の封鎖が現実となるのでしょうか)のいまの政府とはとても対照的であります。安政の改革が、近代的な陸海軍創設の出発点となったと記載されています。翻って、安倍首相が推し進めようとしている一連の政策は、遠い将来どう評価されるのでしょうか。

  • ペリー来航より前から、ロシア南下も幕府をあわてさせている。

著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2022年 『もういちど読みとおす 山川 新日本史 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤田覚の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×