アホウドリを追った日本人――一攫千金の夢と南洋進出 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315377

作品紹介・あらすじ

明治から大正にかけ、一攫千金を夢みて遙か南の島々へ渡る日本人がいた。狙う獲物はアホウドリ。その羽毛が欧州諸国に高値で売れるのだ。密猟をかさね、鳥を絶滅の危機に追い込みながら、巨万の富を築く海千山千の男たち。南洋進出を目論む海軍や資本家らの思惑も絡んで「帝国」日本の拡大が始まる。知られざる日本近代史。

感想・レビュー・書評

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  • 前提として、著者は2012年に『アホウドリと『帝国』日本の拡大』という学術書を出版しており、日本地理学会賞と人文地理学会賞、地理空間学会賞といった賞を受賞した。

    本書は、これを一般向けに編集したイメージであるとのこと。

    なので、詳しい説明や学術的な解説は抑えて分かりやすく書かれている。

    ウェーク島で羽毛採取と漁業をすることについて、栃木県宇都宮市の住民が願書を出してことについての記述を読んだ時、一気に興味が湧いてきた。

  • 新書文庫

  • 〈目次〉
    プロローグ
    第1章 アホウドリを追って~「海の時代」の到来
    第2章 鳥類輸出大国「帝国」日本と無人島獲得競争
    第3章 糞を求めるアメリカ人・鳥を求める日本人
    第4章 アホウドリからリン鉱へ~肥料・マッチ・兵器の原料を求めて

    〈内容〉
    明治から線前期にかけての日本人の南洋への進出(侵略の一面も)を追った本。目的はアホウドリの羽。結果アホウドリは絶滅直前まで行った。またこの事は歴史的に領土問題と直接的にリンクする。ただ明治期の小笠原や沖大東島、大正~戦前のミッドウェイや南沙諸島、南太平洋地域など、海軍の野心も見てとれる。そこに蠢く人々の野心も赤裸々で面白い(学術書なのでちゃんとは書いてはないが)。『秘島図鑑』を読んでからのインスピレーションだったが、意外とお薦め。
    学校図書館

  • (リリース:あぜやんさん)
    ブログ(沖縄面白本棚)より
    http://azeyan.blog.jp/

    本書は、アホウドリに一攫千金の夢を見た日本人の物語である。

    国家が栄える背景には、自然を破壊する行為、略奪する行為があるという事を
    世界の歴史を見るとよくわかる。

    世界に目を向けると、イギリスでこういう行為が行われていた。
    16世紀から17世紀にかけて、イギリスでは海賊行為という手法で豊かさを追求し、
    200年以上にわたる歳月をかけて大英帝国を築いた。
    たしかに大英帝国は産業革命によって確立されたが、その元手となる資金の一部は
    紛れもなく海賊がもたらした略奪品、つまり「海賊マネー」である。

    一方、日本はどうだろうか。
    16世紀の同時代は戦国時代である。
    本能寺の変で織田信長が倒れ、豊臣秀吉が天下統一を果たした時期である。

    本書はさらに3世紀も過ぎた、明治の時代の話であるが、イギリスの海賊と共通する点がある。
    それは、無人島という島でアホウドリという何も抵抗もできない鳥類を一攫千金を夢見て
    山師的な人々が自分の欲望の赴くままに奪っていく行為が、まさしく明治の時代の海賊である。
    その点を始めにお伝えして、本書の面白いところを紹介しよう。

    本書の主人公である、玉置半右衛門はwikipediaによると、八丈島出身で、19歳のころ、
    横浜で大工として働き、その時に羽毛布団と出会い、アホウドリが布団に使われていることを知る。
    その当時から開拓者としての素質があった。

    現在は、アホウドリは絶滅危惧種に指定されているが、明治以前は、驚くべきことに、
    小笠原諸島、鳥島、尖閣諸島、大東島諸島に数千万羽が生息していたという。
    アホウドリの羽毛は横浜商人に売られ、肉は自給用として食用になり、糞は良質の肥料になるという
    無駄なところがない鳥類であったし、捕獲が用意なため、誰でも簡単に採取できる。
    そこの目を付けたのが、玉置半右衛門である。

    さて、実際の数字を挙げると、
    撲滅したアホウドリの数は明治20年の鳥島上陸から半年間で、10万羽。
    明治35年の鳥島大噴火で全滅するまでに捕獲した数は600万羽。
    すごい数である。現在のお金に換算すると、年収10億円になる。
    アホウドリ豪邸が建つほど、財を残した。

    その細かい手法は本書を読んでほしいが、
    その財産を活かして、玉置はさらに、小笠原諸島近海の無人島にも進出したが、
    他の山師も集まってくる。

    しかし、当時日本では海図を作る技術はなく、ヨーロッパ製の疑わしい地図が出回っていた。
    なぜ、疑わしいかというと、当時の小笠原諸島周辺は、無人島が多数あり、
    ヨーロッパ、及び米国も進出している状況で、海図にとりあえず、確認していないが、
    島があることにして書いてしまえという風潮があり、存在しない島「疑存島」が多数あった。
    その島が万が一あったら、自分の国が確認していたと主張できるからである。

    その疑存島に振り回されて、多くの山師的日本人が無駄な航海を繰り返した。

    玉置はさらに南に目を向けた。
    それが、南大東島である。
    しかし、そこは更に過酷な環境の島で、断崖絶壁の島で、簡単に上陸ができないのである。
    それでも諦めずに登っていき、上陸する。

    念願かなってアホウドリを捕獲しようと思ったら、思ったより数が少なく、
    大きな財が見込めないが、その島にはサトウキビ栽培という農業開拓が可能であった。
    玉置はこの島に八丈島からの移住者を迎え、砂糖生産の島に変貌させたのである。
    これによって、玉置は「南洋開拓の先駆者」として地位を不動のものとしたである。

    本書はさらに興味深い話が満載の面白本である。

  • 日本が近代国家を目指していた明治時代、日本人は太平洋や東シナ海の無人島へ進出していた。その多くは、国家主導の領土拡大ではなく、民間人がアホウドリの捕獲を目的とするものだった。

    無人島に生息するアホウドリは人間を知らないため、人を見ても逃げることがないし、飛び立つには長い助走を要する。そのため、人間は地表で歩いているアホウドリを棍棒で撲殺することができ、その羽毛は高値で取引された。当時の日本人は南洋の小島でアホウドリを乱獲し、その島でアホウドリが絶滅するや、次の島を探すことを繰り返した。その露骨な活動はやがて、アメリカや清国との領土問題にまで発展する。

    ルール、ルールで縛られている現在社会において、こうした日本人の海賊的行為はある意味、痛快だ。その代表が、玉置半右衛門。アホウドリがカネになることにいち早く目をつけ、次々と無人島を見つけては、島の開拓を名目にして日本政府から補助金を分捕る。安い労働者を島に送り込み、ひたすらアホウドリの羽をむしらせて、莫大な財産を築いた。

    ところで、鳥島のアホウドリで思い出すのが吉村昭の小説「漂流」だ。本書とセットで読むとおもしろい。

  • 明治から戦前までに起きた、日本の南進論のきっかけがアホウドリの捕獲だったというお話。

    戦前まで日本の領土はフィリピンやパラオなど、本土からはるか離れた南方にまで及んでいたが、なんとなくその理由が分かったような気がする。

    そんな強引な南下政策を非難していた中国と、日本の立場がいつの間にか逆転しているのも大変興味深いと思った。

  • 勉強になりました。

  • 配架場所 : 新書
    請求記号 : SHIN@334@H100@1
    Book ID : 80100014062

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=002464499&CON_LNG=JPN&

  • 2015年5月新着

  • 自分的には衝撃的な歴史。
    昨今の中国人赤サンゴ密漁を彷彿とさせる。
    100年の差があるようだ。
    当時はカメラも通信も未発達だから「やり放題」だったのでしょう。
    それにしても・・・・撲殺とは。
    著者はためらわず「撲殺・撲殺」と繰り返します。

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著者プロフィール

前下関市大

「2018年 『図説 日本の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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