ルポ 保育崩壊 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.57
  • (8)
  • (30)
  • (20)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 255
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315421

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 暗く、重い内容だが受け止めなければいけない現実。保育の質を追求すると同時に保育士ひとりひとりの人生、ライフプランが潰されることのない保育現場が一般的に実現すれば良いと思う。振り回される子どもが迷惑どころか、その子の一生も左右してしまう時期をもっと大切に考えられる国になってほしい。民間の参入で利益重視の株式会社が悪者になっているが、果たしてそれだけなのだろうか、打開策はないのか。不安になる一方だが、問題提起としては良い本だと思う。

  • 働く女性のために保育園の拡大を急激に推し進めた結果のレポ。よくまとまっているとはいえ、一面的な見方にも感じる。子供をぞんざいに扱ったり、子供を無理やり集団行動に従わせたりといった例が挙げられる。しかし確かに子供を大事にとはいえ、子供を集団行動させるには、全てが子供中心に出来るわけではないと思う。もちろんそれが理想とはいえ、それを追求することがこの本で指摘する保育士への過剰な労働に繋がってしまうのではないか。保育園に子供を預ける母親は心配になってくるので、あまりオススメしづらい。
    とはいえ保育士が薄給であることはその通りだし、改善しなければいけない。現状を知らしめるということにおいては価値がある。

  • よくわかる…

  • 重い
    知れてよかった
    暗い気分になる

  • 読みながらひたすら震え上がっていた。前半はひたすらネガティブ面の話で,後半(というか第4-5章あたり)はポジティブ面の話もありつつ,それと対比して現状把握(として実質的にネガティブ面)の話。
    産むとしても仕事辞めたくないと思ってたけど,厳しい世の中だなと感じる。1年以上休職したら保育園辞めさせられるってどこかできいたことあるなと思ってたら,この本の最後の方にも出てきていて,あーやっぱり本当なんだと思ったり。授かりものだから本来は時期とか気にせず,授かったときにと思うべきものなんだろうけれども,4月とそれ以外の月の入所しやすさの話を見ると,やっぱり年度前半に産む方が安心感はあるんだろうなぁ…。
    気になったのは,「待機児童」を減らすために認可外でも半ば強制的に認可をとらせようとする動きもある,というあたり(第3章)と,母乳保育について(第4章)。特に母乳育児については,正しい知識が現場にないというのも問題だろうけれども,これだけ人手不足で現場が切羽詰まっていると,手間だから,というのがとても大きいのではないかな,と感じた。そして,やっぱり保育士さん本人たちのQOLが崩壊してしまっていることは無視できない問題だと思う。お金を増やしたからといって解決する問題ではないだろうし,増やせばまた食い荒らすところが出てくるだろうとは思うけれども,保育園に預けたい人たちのことだけじゃなくて,保育園で働く人たちのことにもきちんと目を向けて,対策を講じていける社会であってほしいなぁと思う。

    実際に出てきたところで,あとで調べてみたいところ↓
    ・第3章: 神奈川県内認可外保育所(仮名桜井さん・20人前後・ほぼ毎日・時間外)
    ・第4章: NPO法人WOMOO(ぽかぽか保育園,みやした助産院)
    ・第5章: 損保ジャパン日本興亜スマイルキッズ江戸川橋保育園
    ・第5章: キッズタウンにしおおい

  •  保育園をめぐる問題というと、まず頭に浮かぶのが「待機児童問題」であり、その原因たる保育園不足・保育士不足にばかり目が向けられがちだ。
     これは逆に、“保育の質・保育士の質の低下こそが深刻な問題なのだ”と主張する本である。

     利益優先で、人件費を削るために低賃金重労働になり、疲弊する現場。保育士の人数を確保するために採用の間口を広げ、経験不足の保育士に重くのしかかる責任。……などという実態から、保育の質が劇的に低下し、崩壊の危機にあるのだと、著者は警鐘乱打する。

     ていねいな取材がなされたルポだとは思うが、あまりにもマイナス面ばかり強調しすぎだと思った。まず「保育崩壊」というタイトルありきで、それにふさわしいひどい事例ばかり集めている印象なのだ。

     登場してコメントしている議員が共産党・社民党・民主党(現・民進党)だけだったりして、取材対象の偏りも感じられる。「保育崩壊というテーマにかこつけて安倍政権を叩きたいだけちゃうんか」と言いたくなる。

     本書を読むと、「保育園は、子どもが事故死したり、虐待まがいの扱いを受けたりしかねない恐ろしい場所だ」という、極端なネガティブイメージだけが心に残ってしまうだろう。
     中にはひどい保育園もあるだろうが、それはごく一部なのではないか。

     いずれにせよ、読後感はけっしてよくない本である。

  • 本当にこんな保育園があるのかと思うほどだった。

  • 少子高齢化社会での保育と介護こそ、IT活用や働き方変革が必要だと思う。

  • 「新人いじめの張本人リーダー保育士にとって、仕事ができる、できないというのは保育士の質ではなく、段取りのこと。ダメダメと言われてばかりで振り返りもなくては、本人が自分のどこが悪いかもわからない。これでは、自分が相手から信頼されている、期待されている、だからいい仕事をしようと思う気持ちが育たないまま、潰れてしまう」

    運営費(補助金)の人件費部分の積算基準が低く抑えられたままであること、現場の実態に合わない不十分な職員配置基準

  • もうすぐ出産予定、保育園見学も片手以上の数はした上で読みました。
    都市部に住んでいて、保育園は選びようがないというのが正直なところです。

    感想としては、保育園に預けなければ仕事を続けられない身として、暗澹たる気分になりました…。
    今までの見学で自身が感じたことすら、「実は◯◯なのでは…」と疑心暗鬼に陥ってしまいます。
    見学時に、それぞれの先生個人の保育に対する考えも聞いてみたいなとは思うようになりました。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ジャーナリスト

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小林美希の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×