遺骨――戦没者三一〇万人の戦後史 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.71
  • (3)
  • (7)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 67
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315452

作品紹介・あらすじ

沖縄で、硫黄島で、南洋諸島で、シベリアで、いまも親族の遺骨を探し続ける人々がいる。空襲や原爆では、身元不明のまま、多くの市民が「仮埋葬」されたが、その後どうなったのか。戦争の結果、遺骨となった三一〇万人の「未完の戦後」を現地に探ったルポ。戦争とは?国家とは?遺骨から日本の戦後が見える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『ガマ 遺品たちが物語る沖縄戦』は沖縄の地下壕・ガマから掘り出され
    た遺品から、沖縄戦の凄惨さを描いたモデル小説だった。

    原爆が落とされた広島には、身元不明は勿論のこと、氏名が分かって
    いても引き取り手のない遺骨が原爆供養塔の地下に眠っている。それ
    をつまびらかに描いたのが『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』だ。

    この2作を読んだ上で、本書を読んだ。こちらは国内・国外に眠る戦没者
    の遺骨全般についてを追っている。

    海外の戦地で亡くなった兵士が、白木の箱で帰京した時、そこには遺骨
    ではなく石が入っていたという話は何かで読んだ。

    遺骨となって家族の下に還れた兵士はまだよかったのだろう。しかし、
    多くの兵士の遺体は現地に放置され、土に埋もれた。

    戦後、大規模な遺骨収容作業が行われたが、いかんせん、遅すぎた。
    日本が敗戦国だったこともあるのだろうが、もう少し早くに手を付ける
    ことは出来なかったのだろうか。

    兵士だけではない。東京大空襲で犠牲になった多くの市民、敗戦により
    大陸や朝鮮半島に置き去りにされ自力で帰国しようとしながらも果たせず
    に亡くなった人々。

    家族の下へ還れぬ遺骨があまりにも多過ぎる。

    今年は戦後70年。これまでも毎年の終戦記念日には「戦後○年」との
    言葉が繰り返されて来た。だが、何年、何十年経とうとも、本来戻るべき
    場所へ戻れない遺骨は「、それぞれの「あの時」で時が止まっているの
    ではなだろうか。

    経済白書が「もはや戦後ではない」と書いたのは1956年だ。だが、還れぬ
    遺骨がある限り、私たち日本人の戦後は終わっていやしないんだ。

    尚、本書ではイギリスとアメリカの戦死者の遺体・遺骨に関する考え方
    も記述されており、文化や歴史の違いが死者を弔うことにも表れるの
    だなと参考になる。

  • 沖縄で、硫黄島で、南洋諸島で、シベリアで、いまも親族の遺骨を探し続ける人々がいます。東京大空襲をはじめとする各地での空襲や、原爆のあと、多くの市民が身元不明のまま、まとめて公園や学校、寺の敷地などに「仮埋葬」されました。戦後、改葬のために掘り起こされた遺体は、そのほとんどが身元を特定できず、無縁仏として合葬されています。戦争の結果、「遺骨」となった310万人の「未完の戦後」を探るルポルタージュ。

  • 第二次世界大戦でなくなたった方の未帰還の遺骨。といえば、フィリピンなどの海外を思い浮かべる。しかしながら沖縄戦、東京大空襲や原爆によって大量に虐殺された民間人を含む方の遺骨の戦後史がどうだったかを知る人は少ない。この本は、そんな遺骨の戦後史を丹念にルポ。戦争の節目となる日にメディアを含めて、「先人の痛みをおもいやり平和に感謝して決意しよう」を繰り返すが、それ以前に、たとえば沖縄で20万人のヒトが骨になってしまったのは、自然災害のような不可避なことではなく、為政者による意思決定の結果であるということを考えねばならない。だから彼ら、彼女たちの遺骨に対してはやるべきことがあるというのが著者の立場。
    遺骨収集の仕事は、戦地や現地をしる人が鬼籍にはいり、いまは大学生などの若手にうつりつつある。
    人は二度死ぬ。身体的に死ぬときとすべての人に忘れ去られるとき、といいう言葉がたしかヘミングウェイであったんだけど、国家の意思決定で死においやられたヒトが、二度目の死を迎えるというのは残念すぎるしあってはならない。

  • 戦争て亡くなられた未だ故国へ帰ることができない遺骨、国内で埋もれたまま遺骨がこれほどあるとは。

    日本人は須らく知っておくべき事実と思うし、祖父がシベリア抑留帰還者であるため、一層重く感じた。

    皆に読んで欲しい一冊。

  • いろいろと考えさせられる一冊でした。

  • 欲しい情報が得られるかと思い、図書館で借りて読んだ

    著作者は毎日新聞の出身である
    毎日新聞に掲載された大型ルポ、戦後七十年企画などの
    記事を生かし加筆したものである(あとがきに記載有り)

    遺骨収集に熱い思いでもあるのかと読み進めるも
    不思議と書かれていない
    硫黄島で遺骨収容に参加しているが
    読んでいて戦史ものを書いている記者としてどうなの?
    と思ってしまった

    現場では機関銃や手榴弾がでてくる
    一人の遺族が待機している不発弾処理班に
    手榴弾を渡そうと下手から、そっと放った
    二人の間には数メートルの溝があったからだ
    その時、若い隊員が大声で怒鳴った
    という内容を遺族は決して「投げたのではない」を強調
    対する隊員がどんなに大声で怒鳴ったのかは事細かに
    書かれている、そして著作者の感想がこれである
    「遺族なのに、高齢者なのにあんな大声で怒鳴る必要があるのか?」
    その後、その隊員と話す機会があり、事情を聴く
    そこで初めて不発弾の危険性を知る
    なんと著作者は「七十年近くも埋もれていたので
    稼働する武器とは思ってなかった」と書いてある
    民家の庭から見つかったなどと新聞で騒がれることもあるのに
    この著作者は新聞も読まないのだろうか
    毎日新聞に勤めていたのに!
    戦史関連の書物を書いている人物とは思えない

    一緒に参加した人のコメントを載せるときにフルネームで
    当時の年齢まで書いてあるが何故か公人、一般人ともに
    敬称は書かれていない
    あとがきに「省略させていただいた」とある
    なぜ、省略したのかも書かれていない
    この方の疑問や感想がズレていて正直最後まで読むのが辛かった
    そこから、そうやって国家の愚痴につなげるのか!と
    ツッコミながら読むくらいじゃないと、しんどい

    終盤になると新書にありがちなネタ切れ感があり
    国家に対する批判がところどころ書いてある
    「国家のいい加減さが如実にあらわれている」

    あとがきにわざわざ「筆者は日本人だ」とか書いてあり
    「無条件に『愛国心を持つべき』といわれると抵抗がある」
    と書かれている

    私の感想
    岩波だったから新書でも信頼できるかと思ったら
    やっぱり新書はどこも同じでタイトルと数ページだけ

  • 図書館の新刊の棚にあったので、ついつい手に取ってしまった。
    自分の命がはてたとき、生きていたときの名前もそれまでの人生も、もうだれも知らなくて、たくさんの骨のひとつでしかないとしたら…。死は数えるものじゃない。
    英霊っていうことばは好きじゃないけど、硫黄島での遺骨収集の際の菅さんのことばは響くね。
    七〇年、私たちはもっともっと考えて、いや、考える前に行動しなくてはならない。

  • 2015年7月新着

  • 自分用キーワード
    学童疎開の真意 サイパン防衛 東京大空襲 東京都慰霊堂 カーチス・ルメイ(勲章を貰っている) 戦争被害受忍論
    硫黄島の遺骨 ガマフヤー 戦陣訓 近衛の上奏 さとうきび畑(曲) 東本願寺長崎教務所 旧真田山陸軍基地 千鳥ヶ淵戦没者墓苑 

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1967年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、同大学大学院政治学研究科修士課程修了(日本政治史)。1996年、毎日新聞社入社。横浜支局などを経て、現在、毎日新聞東京本社学芸部記者。著書に『戦艦大和』『シベリア抑留』『勲章』『遺骨』(いずれも岩波新書)、『特攻』(中公新書)など。

「2018年 『シベリア抑留 最後の帰還者 家族をつないだ52通のハガキ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

栗原俊雄の作品

ツイートする