- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004315506
感想・レビュー・書評
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筆者自身が科学哲学専攻であることもあり、経済書というよりは思想書。
市場経済を通して限りない拡大と成長を志向する資本主義が、生産量に対する需要の限界(物があふれる社会)から定常状態にいたりつつある。なんらかの手段で限界を突破して資本主義が続く可能性もあるが、安定した定常状態を目指すことも可能であり、そちらのほうが好ましいのではないか。
資本主義が進み生産性が上がりきった状態とはごく少ない労働で必要なものを生産できる状態であり、それは同時に大量失業を生む。ごく少数の人間にしか報酬が払われず、大量に生産はされど一向に消費はされない状況。この状況を打開するため、生産性のものさしを変えて、労働集約的で環境負荷の少ない産業をより評価していくべきである。社会保障と再分配の仕組みを見直しローカルなコミュニティを重視していく必要がある。
というような内容(自然の内発性の部分など結構難解な部分もあり抜けや曲解があると思いますが…)。骨太で、哲学の訓練を受けてないと十分に理解するのが難しいように思いました。
脱成長思想の中ではわりと楽観的な立場で、危機を煽るような表現も控えめで、こういう理屈からこっちの案のほうがいいんじゃない?程度の提案が多く、学者然とした態度を感じる。筆者の言う通り物質的な豊かさや富の蓄積でなく、(全員が最低限の物質的豊かさを得ている前提で)精神的な豊かさを重視し追求していく社会となっていくといいなと私も思います。 -
電脳資本主義・ポスト資本主義、定常化社会、グローバル→ユニバーサル、資本主義VS市場経済、個人・共同体・自然、環境論→宇宙論へ、成長・発展→資本主義のソーシャル化、緑福祉国家・持続可能な福祉社会 等
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資本主義の成り立ち、どのようなものかがわかった。これからの視点も論点として述べられており、決して、資本主義に対抗するものではない
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資本主義の次がわかる一冊。
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科学主義に落胆し、高度成長時代の活気を経験しながらもバブル崩壊で自信を喪失し、新自由主義的資本主義にもついていけず、グローバル都市で暮らし仕事する人が、田舎(ローカル)ののんびりした互酬互助的で自然と共存するローカル・コミュニティにノスタルジーを見出したようなお話。コミュニティの維持も定住者でできず、コミュニティ機能も弱まり、自立ばかりを要求され、非正規雇用で凌ぐローカルの現実はどうするんだ?
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→Xマインド:環境倫理、21レッスンズ
→keynote
◯過剰による貧困(楽園のパラドックス):生産性上昇による失業ー増
◯時間再配分
◯時間政策inJapan:祝日増加←日本の空気
◯市場経済と「時間」
◯長期視座=民俗学×近代科学
◯消費〈物質→エネルギー→情報→時間〉
◯未来の収奪・過去の収奪 -
消費の対象は、物質からエネルギー、情報へと変化してきて、ポスト資本主義では時間になります。
それは例えばカフェなどで、あるいは自然の中で、ゆっくりとした時間を過ごす事自体への欲求や歓びだそうです -
著者プロフィール
広井良典の作品





