ポスト資本主義――科学・人間・社会の未来 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315506

作品紹介・あらすじ

富の偏在、環境・資源の限界など、なおいっそう深刻化する課題に、「成長」は解答たりうるか。近代科学とも通底する人間観・生命観にまで遡りつつ、人類史的なスケールで資本主義の歩みと現在を吟味。定常化時代に求められる新たな価値とともに、資本主義・社会主義・エコロジーが交差する先に現れる社会像を、鮮明に描く。

感想・レビュー・書評

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  • 電脳資本主義・ポスト資本主義、定常化社会、グローバル→ユニバーサル、資本主義VS市場経済、個人・共同体・自然、環境論→宇宙論へ、成長・発展→資本主義のソーシャル化、緑福祉国家・持続可能な福祉社会 等

  • 資本主義の成り立ち、どのようなものかがわかった。これからの視点も論点として述べられており、決して、資本主義に対抗するものではない

  • 2015年副題として科学・人間・社会の未来。
    目次として 
    はじめにー「ポスト・ヒューマン」と電脳資本主義 
    序章 人類史における拡大・成長と定常化ーポスト資本主義をめぐる座標軸 
    第1部資本主義の進化 
    第1章資本主義の意味 
    第2章科学と資本主義 
    第3章電脳資本主義と超資本主義vsポスト資本主義 

    第Ⅱ部科学・情報・生命 
    第4章社会的関係性 
    第5章自然の内発性 

    第Ⅲ部緑の福祉国家/持続可能な福祉社会 
    第6章資本主義の現在 
    第7章資本主義の社会化または「ソーシャルな資本主義 第8章コミュニティ経済 

    終章 地球倫理の可能性―ポスト資本主義における科学と価値

  • 本書は、現在の資本主義体制が、資源の枯渇や格差の問題などが現れている点を含めて、人類の幸福や精神的充足をもたらしているのかという現状を踏まえ、資本主義とパラレルに発展してきた科学技術が人間にとって何をもたらし、それの資本主義との関係性を探っていくものである。
    .
    資本主義とは何かについてまず考察しており、著者は「市場経済+限りない拡大・成長」を志向するシステム、と定義する。これは利潤の量的拡大による全体のパイの拡大が社会の利益につながるという議論が前提としてある。これを達成するために、個人が社会から独立した存在であることと、人間は自然を支配できることを思想的な出発点としている。
    .
    このような思想を前提とした、資本主義と科学技術の発展を歴史的に概観していくと、「拡大・成長」の時代と「定常化」の時代があることがわかる。現在は第3の「定常化」の時代であり、この時代をポスト資本主義社会としている。
    .
    この社会におけるビジョンとは、これまで考えられてきた思想(=機械的自然観・個人の独立性)が持つ外在的な考え方から、内在的な思想(=個人・コミュニティ・自然を相互依存的な観点で考えること)への変化を求めている。その上で、著者は「緑の福祉国家」または「持続可能な福祉社会」を提案している。これは、格差などの構造的な問題に対して①過剰の抑制 ②再分配の強化 ③コミュニティ経済、の方向性を持って対応する新たな社会構想として、提案し、結論としている。

  • 資本主義の次がわかる一冊。

  • 科学主義に落胆し、高度成長時代の活気を経験しながらもバブル崩壊で自信を喪失し、新自由主義的資本主義にもついていけず、グローバル都市で暮らし仕事する人が、田舎(ローカル)ののんびりした互酬互助的で自然と共存するローカル・コミュニティにノスタルジーを見出したようなお話。コミュニティの維持も定住者でできず、コミュニティ機能も弱まり、自立ばかりを要求され、非正規雇用で凌ぐローカルの現実はどうするんだ?

  • →Xマインド:環境倫理、21レッスンズ
    →keynote

    ◯過剰による貧困(楽園のパラドックス):生産性上昇による失業ー増
    ◯時間再配分
    ◯時間政策inJapan:祝日増加←日本の空気
    ◯市場経済と「時間」
    ◯長期視座=民俗学×近代科学
    ◯消費〈物質→エネルギー→情報→時間〉
    ◯未来の収奪・過去の収奪

  • 消費の対象は、物質からエネルギー、情報へと変化してきて、ポスト資本主義では時間になります。

    それは例えばカフェなどで、あるいは自然の中で、ゆっくりとした時間を過ごす事自体への欲求や歓びだそうです

  • 世の中が変わる中、生き方をどう変えるかを考えるための本

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著者プロフィール

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。


「2024年 『商店街の復権』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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