ルポ にっぽんのごみ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315551

作品紹介・あらすじ

日本のごみは年間約四億二〇〇〇万トン。分別収集やリサイクルが奨励され、最新型の焼却炉は環境に配慮されるようになっている。しかし日々の「ごみの行方」はどうなっているのか。最先端のリサイクル施設、不法投棄の現場、海を渡った中古品、関連法施行の背景、拡大するリユース事情などを長年取材を重ねてきた著者が活写。

感想・レビュー・書評

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  • 日本のゴミ行政の持続可能性を当時最新のデータで概観した本。
    2015年の本だけど、ごみ行政を俯瞰してみられて、今のタイミングだから内容を理解しながら読み進められた(ただしすげえ時間がかかった)

  • 「ハイ 今日カラレジ袋ハ アリマセン」
    ある写真家さんがライフワークとしてバリ島へ行かれた
    昨年('99年)のお話だそうです。
    いつものように いつものホテルに宿をとり
    いつものように いつものお店で買い物を終えて
    支払いを済ませたところ
    上記のような言葉を笑顔と共に投げかけられた
    そんな記事を目にしました
    バリ島では、そのようなことは日常茶飯事であるらしく
    大いに考えさせられたという記事でした

    さて 本書です
    一枚のレジ袋、一本のペットボトルが
    廃棄された瞬間から
    3/11の災害が始まった瞬間からの
    「にっぽんのごみ」を
    徹底して追いかけていった
    貴重なルポルタージュです

    どれもこれも
    わたしたちの身近な問題であり
    わたしたちの政治へのかかわりである
    そんなことが
    見事にルポルタージュされていく

    これは他人事ではないなぁ
    と見に沁みて考えさせてもらえる
    一冊です

    さて
    もし、今の日本で
    いきなり
    「今日から ○○はありません」
    と 投げかけられたら
    この日本では…
    と 考えさせられました

  • 【目次】(新赤版1555)
    目次 [i-ii]

    序 章 にっぽんのごみ 001
    ごみの基礎データ/ごみを処理するための法律/個別のリサイクル法の仕組み

    第1章 ごみはどこに行っているのか? 013
    九〇〇万人のごみを受け入れる東京湾の埋立処分場/焼却灰の埋め立てをやめ、セメントに利用する多摩地域/“嫌われ者”の焼却灰は全国をさまよう/基盤から貴金属とレアメタルを取り出す

    第2章 リサイクル大国の真実 025
    1 ペットボトルを求めて争奪戦 026
    リサイクルの優等生/浮き沈みが激しい業界/自治体の独自処理ルートで中国へ?/海を渡るペットボトル/石油からつくるバージン原料の市況に影響される/輸出を止めようとする環境省/輸出されるペットボトルの大半は事業系/多額な自治体の収集・選別・保管費用
    2 複雑怪奇なプラスチックの行方 042
    杉並区の容器包装プラスチックが千葉県に一キロ二〇〇円近くする収集・選別・保管コスト/材料リサイクルと化学リサイクル/一キロ一〇~二〇円でしか売れない再生原料/製品プラスチックのリサイクルを進める/費用負担のため収集しない東京都世田谷区と岡山市/焼却発電を主張する学者たち/国が進めた「油化」/認められなかった焼却発電/どうなる製品プラスチックのリサイクル
    3 リサイクルをめぐる三角関係 066
    骨抜きにされた廃棄物処理法の改正/容器包装リサイクル法の制定過程/製鉄会社は容器包装リサイクル法で新たな起業/自治体の負担は二一〇〇億円にも/フランスでは、事業者が自治体の収集費用の八割を負担/家電リサイクルは手作業中心/処理料金を払うのは前払いか後払いか/形骸化する審議会/使用済み製品の三割を占める「見えないフロー」とは/食品廃棄物は品物ごとにバーコードで管理/企業の自主的取り組みに頼る食品リサイクル法/バイオガス化施設の普及/都内の食品廃棄物は、東京スーパーエコタウンへ/中小事業者の食品廃棄物が自治体の焼却施設で燃やされる理由

    第3章 市民権を得て拡大するリユース 093
    1 国内リユースの世界 094
    若者の目当てはオーディオと楽器/時代の波がリユース業を押した/まるで「一卵性双生児」のブックオフとハードオフ/ネットを使ったリユースが大流行/膨れ上がるリユース業界/オークション会場でリユース品を調達/電気用品安全法に反対し、中小業者が結束/リユースの市場規模は三兆一〇〇〇億円/リユース瓶は減っている/ペットボトルとは競争にならない/リユース促進に環境省も乗り出した
    2 リユースと廃棄物の狭間で 114
    不用品回収業者の一日/海外リユースを展開し、三〇か国に輸出/リユースに転身/パトカーに止められ、警察署に連行?/空き地型回収業者を摘発/収集運搬業の許可を取るのは困難/小型家電リサイクル法との競合/小電法の狙いは、スクラップの輸出禁止?/不用品回収業者が組合を設立
    3 海を渡った中古家電 133
    コンテナに五二六台の中古家電/ごみになるようなものは買わない/修理代は、部品の代金だけ/新品の中国製テレビは中古品でできていた/もったいない精神/通電検査に代わるトレサビリティとは/土壌汚染で子どもに健康リスク/製品の寿命を延ばし、資源の消費を節約/プリント基板を日本へ輸出/基盤四八キロで六六〇〇ペソを得る

    第4章 ごみ事情最先端 149
    1 焼却工場が余っている 150
    ごみが足りない!/ごみが減っても清掃工場の建設が続いた/干潟をごみで埋めようとした名古屋市/横浜市はG30でリサイクルに転換/リサイクル率ワースト一の大阪市/競争入札から総合評価方式へ/灰溶融施設の整備義務づけ、税金とエネルギーの無駄遣い
    2 産業廃棄物の不法投棄の歴史 167
    青森・岩手県境事件では、廃棄物と汚染土が一五〇万トン/法律を使った排出責任者の追及は空振りに/リサイクル偽装は香川県豊島で始まった/リサイクル偽装の背後に政治家の影/規制緩和が不適正処理を誘発
    3 生ごみを資源として活かす 178
    生ごみのリサイクルの歴史は古い/生ごみで「地域循環」/市民の力で生まれた/「堆肥化」から「減容化」に転換/生ごみでつくった堆肥を使わない/実験成功なのにバイオガス化をやめて、全量焼却に転換/日本初の機械選別によるバイオガス化施設が産声をあげた/全量焼却と比較し、バイオガス化に軍配が/エネルギー問題を視野に入れたバイオガス化施設
    4 複数の選択肢を持つ合理主義のドイツ 200
    容器包装ごみは無料、その他の家庭ごみは有料/高性能の自動選別機が威力を発揮/ペットボトルや古紙は中国に輸出/ごみを燃やしても熱回収率は抜群/埋め立てを禁止された生ごみはバイオガスに/デポジット効果は疑問、使い捨て容器が増加/家庭ごみのリサイクル率は六五%が目標
    5 行き場のないごみ 放射性物質による汚染廃棄物 215
    微量汚染で反対運動にあった「災害廃棄物」/「町民に不幸をもたらす政策は受け入れない」と訴えた塩谷町長/候補地は、自然が豊かな水源地/宮城県では、候補地のすぐそばで地滑り/最終処分場と焼却施設は安全なのか/茨城県では一四自治体が分散管理を提唱/千葉県では東京湾の東電の火力発電所が候補地に/最終処分場を「長期管理施設」と呼び方を変える/中間貯蔵施設というが、実態は最終処分場

    第5章 循環型社会と「3R」 233
    リサイクルから、ごみのリデュースとリユース重視に/幻に終わったもう一つの循環型社会法案/拡大生産者責任の実現をめざしたが/廃棄物処理法と資源有効利用促進法の統合を/「3R」と焼却施設は、共存できるのか

    あとがき(二〇一五年五月三十一日 杉本裕明) [245-247]
    主要引用・参考文献 [1-3]

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00533565

  • 日本のごみは年間約4億2千万トン。日々の「ごみの行方」はどうなっているのか。最先端のリサイクル施設、不法投棄の現場、海を渡った中古品、関連法施行の背景、拡大するリユース事情などを長年取材してきた著者が活写する。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40229058

  • 2023年1-2月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00519015

  • 518-S
    閲覧新書

  • 少し古いが、日本のごみ問題がどのような変遷を遂げてきたか、また何が課題なのかを明確に記した書。

  • リユース業者に廃棄物運搬業の許可を取る必要があるけど、実は取られないとは不思議だ。カフカの小説のようなパラドクスと思う。

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著者プロフィール

1954年生まれ。早稲田大学商学部卒。1980年より2014年まで、朝日新聞記者。
廃棄物、自然保護、公害、地球温暖化、ダム・道路問題など環境問題全般を取材。環境省、国土交通省、自治体の動向にも詳しい。また、記者時代に、情報公開制度を利用した「官官接待キャンペーン」「公共事業改革」「環境事件の掘り起こし」など、新しい調査報道のスタイルを作った。現在はフリージャーナリスト。NPO法人未来舎の代表理事。
著書に『ルポ にっぽんのごみ』(岩波書店)、『環境省の大罪』(PHP研究所)、『赤い土 フェロシルト――なぜ企業犯罪は繰り返されたのか』、『環境犯罪――7つの事件簿から』(以上、風媒社)、共著に『廃棄物列島・日本』(世界思想社)、『ゴミ分別の異常な世界』(幻冬舎)、『ドキュメント官官接待――「公費天国」と「情報公開制度」を問う』(風媒社)など多数。

「2016年 『社会を変えた情報公開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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