プラトンとの哲学――対話篇をよむ (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315568

作品紹介・あらすじ

ソクラテスを中心に、数々の登場人物が言葉を交わし、思索を深めていくプラトンの対話篇。「君はこの問いにどう答えるか?」。作品の背後から、プラトンが語りかけてくる。『ソクラテスの弁明』『国家』『饗宴』などの代表作品を読み考えながら、永遠の問いと対峙する。二千年の時を超え、いまも息づく哲学の世界へ。

感想・レビュー・書評

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  • プラトンなら何と言うか、何とこたえるか?と言う観点からプラトンとソクラテスの哲学を論じる。ディアロゴスのプラトンにぴったりのアプローチではないだろうか。
    現代の思想や哲学はプラトンの哲学の上に層をなして積み上げられており、プラトンなどを今更引き合いにしても意味がないように思う人もいるかも知れないが、「プラントンなら今の世界について、自分の考えについて何て批判するんだろう?」と仮想プラトンと対話することでむしろ逆に新鮮な答えを得られるような気がしてきた。
    プラトンの本は実は『ソクラテスの弁明』くらいしかちゃんと読んでなかったけれど、他も読んでおくべきだと思った。この世界はプラトンの上にできているのだから。
    ところで、岩波新書は最後のページに『岩波新書新赤版1000点に際して』という文章が載っている。読んでいない人も多いと思うがぜひ一度は読んでほしい。学ぶことの大切さを身に染みて知らされると思う。本文を読まなくてもいいけれどここだけでも読んでほしいと思う文が書かれている。あと、岩波文庫の最後のページも熱いです。

  •  6章宇宙の想像力で頭がこんがらがって挫折してしまった。
     著者が読者の方を向かずにプラトンさんと対話しているので、あまりプラトンさんのことをわかっていない読者である私は置いてけぼりをくらって寂しかったのも挫折要因の一つ。自分の考える能力、読解能力の低さに気づけたのでもう少し哲学の世界に慣れてから出直したい。

  • プラトンの哲学を解いているのではなく、プラトンとの哲学を学んで考えていこうという趣旨の本。
    私としては、前者を期待してたのだが。
    うーん、わかりにくい。
    そして、難しい

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB19104498

  • プラトンの哲学はなく
    プラトンとの哲学のみがあると納富さんは説く。

    プラトン自身は対話篇には登場せず、
    もっぱらソクラテスとその他の人達によって対話は進む。


    プラトンはこういったニュアンスのことをソクラテスのセリフとして伝えている。
    「私の言うことを全て鵜呑みにするな」と。

    自分の頭で考えることの重要性、
    そこにこそ哲学の真価があるということをプラトンは伝えたかったのではないだろうか。


    たしかに、
    プラトンの本を読むと中期作品以降には答えが出てくる。
    だが、だからと言ってそれが正しいという答えをプラトンは伝えたかったわけではない。

    対話を通して、
    絶えず探究していくというこの「哲学」するという姿勢を伝えたかったのではなかろうか。


    ゆえに、
    弟子アリストテレスもイデア論を否定し形而上学を打ち出し、
    ニーチェも神や哲学を否定し超人を打ち出す。


    まさに
    アリストテレスやそれに続くものたちは、
    プラトンを批判しながらプラトンの教えに真の意味で忠実だったのではないか。

    そこような所感。

  • この本はプラトンの哲学ではなく、プラトンとの哲学である。プラトンからの問いかけにどのように答えるか。それを考えることで、その時哲学が始まる(らしい)。スーッと読めるけど、真摯に「善いとは」、「美とは」、「善き生きる」とは、と思考するのはなかなか骨である。対話篇が家の本棚でほこりを被っているので、また取り出してみよう。

  • 哲学とは厳しいものだなー。8章中2章で挫折。

  • プラトンとの哲学 納富信留 岩波新書
    対話篇を読む

    プラトンもソクラテスも答えを用意して臨むわけでなく
    問い掛けによって自問自答を引き出そうとしていることに
    強く共感を覚える
    答え在りきの質問か一つの確かな答えを求めようとする
    数学的な学問と違い
    哲学や倫理学あるいは文学や音楽などには対話と
    自問自答のプロセスしかないということだ

    多分物理学や数学も現象面から距離を置くと
    具象的な枠を超えて抽象的な形のぼやけた答えに近づくのだろう
    究極の全体で見ればどの学問からスタートしたとしても
    この世の真理を目指している同じ方向に辿り着くはずだ

  • 哲学の本にしては妙に情緒的で、特に倫理を論じるところなんかすごい飛躍を感じた。
    が、最後の辺りはちょっと感動的でもある。

  • いろいろ考えた。自分の考えをまとめるべきと思ったし、行動しようと思う。

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著者プロフィール

納富 信留(のうとみ・のぶる):1965年生まれ。東京大学大学院教授。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ケンブリッジ大学大学院古典学部博士号取得。専門は西洋古代哲学。著書『ギリシア哲学史』(筑摩書房)、『ソフィストとは誰か?』『哲学の誕生――ソクラテスとは何者か』『新版 プラトン 理想国の現在』(以上、ちくま学芸文庫)、『プラトンとの哲学――対話篇をよむ』(岩波新書)、『世界哲学史』全8巻+別巻(共編著、ちくま新書)など。

「2024年 『世界哲学のすすめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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