ヒョウタン文化誌――人類とともに一万年 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.50
  • (1)
  • (3)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 45
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315643

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ひとえにヒョウタンと言っても、楽器からアクセサリーから、食器から様々。
    昔、科博でヒョウタンの企画展をやっていたことを思い出した。

  • 新書文庫

  • 世の中にはいろいろなマニアがいるものだ。食虫植物、蝶、古銭、鉄道、蕎麦、フィギュア・・・ひょうたんマニアがいてもおかしくない、と思っていたらいるどころではなかった。全日本愛瓢会は40年の歴史を持ち、名誉総裁は秋篠宮殿下だそうだ。ひょうたん四天王を倒してついに大ボスにたどり着いたら、お、おまえは・・・いや、あなたは・・・というパターンなのか。楽しい世の中だ。

    ひょうたんかわいい。ちょっと植えてみたくなった。あれは実なんだよな。中に種が入っているそうだが、どうなっているのだろう? そのまま地面に落ちてひょうたんからひょうたんか生えてくるのだろうか・・・思わずいろいろ調べてしまった。

  • ヒョウタンと言われるとまずは、中央がくびれたユーモラスな形を思い出すだろう。だが、このヒョウタン、見た目がかわいいだけではない。
    世界最古の栽培植物の1つと言われ、その歴史はなんと1万年以上。
    世界各地でさまざまな用途に利用され、珍重されてきた。
    ヒョウタンのルーツを探ることで、人類移動の謎までも解けるかもしれないという。
    めくるめくヒョウタン・ワールドである。

    一般的には、ヒョウタンというとくびれた形を思い浮かべるが、ずんぐりと丸い形のものもあり、逆にびよんと伸びた細長いものもある。上部が柄のように長く先が丸いもの、表面に疣上の突起を持つものなど、変わり種もある。
    ヒョウタンは漢字では「瓢箪」だが、元々は「瓢」がヒョウタン、「箪」は竹で出来た食器を指す。ヒョウタンの名称は、論語で、孔子の弟子、顔回が「瓢に一杯の汁、箪に一杯の飯の清貧の暮らしで満足していた」というエピソードが日本に伝わる際に、「瓢箪」で1つの容器と誤解されたことに始まる。
    和語の別称としては、ひさご、ふくべがある。

    ヒョウタンの用途といえば、七味唐辛子などの薬味入れだろう。それから酒を入れる徳利。世界でもさまざまなものを入れる容器として使われている。
    乾かせば中は空洞になる。軽くて丈夫、液体も漏れない。栓をすれば虫も入らない。そうした長所を持つヒョウタンは、土器や金属器が現れる前から、天然の入れ物として利用されてきた。水筒、油入れ、香辛料入れ。長期保存に加えて、熟成・発酵にも利用できるため、酒やバターも作れる。
    もちろん、椀などの食器にもなる。液体を掬う柄杓にもなる(「柄杓」は「ひさご」を語源とするらしい)。
    調理器具としても使える。水をよく染み込ませれば、直火にも掛けられる。天井から囲炉裏に吊すなど、火の側に置いて、燻製様の保存食品を作ることも可能だ。

    容器のほか、特筆すべきは楽器としての用途だろう。果皮が堅く、内側にやや柔らかいスポンジ状の繊維があるため、まろやかによく響く音が出る。
    叩けば太鼓、中の種を残しておけばマラカス、吹けば笛、弦を張れば弦楽器。八面六臂の大活躍である。それ自体を楽器とするだけでなく、マリンバで使うように、共鳴器としても用いられた。
    小型のものをつないで首飾りにすれば、踊っただけで楽器となる。凝ったものでは、21本もの弦を持ち、ハープやギターの原型となったと言われるもの(コラ)もある。

    少々変わった用途としては、頭部手術で頭蓋骨の代わりとした(!)例、海女が使う浮き輪、衣装代わり(ペニスの鞘)といったところがある。
    いずれも、形状や特質を利用したものだ。
    ユウガオや干瓢など食用として、また薬としての用途もあるが、世界的には果肉や種子を摂取するより、道具として果皮を利用する方が多い(ヒョウタンの果肉には往々にして毒があったり苦みがあったりするため)。

    ヒョウタンはおそらく、アフリカをルーツとする。栽培種としてのヒョウタンが広がった陰には、人類の移動があったはずだ。ヒョウタンの系統の流れが解き明かされれば、人の移動も見えてくるかもしれない。
    DNA解析等から、アメリカに見られるヒョウタンは、アジア系のものであると考えられている。アフリカから直接どんぶらこっこと海を渡ったと考えるよりは、アジアを経て、アメリカに渡った可能性が高いのだ。氷河時代には陸続きであったから、植物として陸地伝いに広がった可能性はなくはない。だが、ヒョウタンが温暖な気候を好むことを考えると、水を携える容器として、人々とともに海を旅したと考える方が妥当かもしれない。ポリネシアやイースター島にもヒョウタンは見られる。何より海を渡るヒョウタン、何だかロマンがあるではないか。

    加工がしやすいため、民芸品や芸術作品も数多く創作されている。
    水墨画を初めとする絵に多く描かれ、「ひょうたんぽっくりこ」と歌う童謡もある。
    長年、愛され、親しまれてきたヒョウタン、見かけによらずすごいやつなんである。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=6264

  • ひょうたんはすごいなぁ。
    著者のひょうたんオタクにも脱帽・完敗。

  • S618.9-イワ-R1564 300442803

全7件中 1 - 7件を表示

プロフィール

(一財)進化生物学研究所主任研究員。元・東京農業大学農学部バイオセラピー学科教授。1940年兵庫生まれ。兵庫農科大学(現・神戸大学)卒業。東京農業大学大学院博士過程修了。農学博士。生き物文化誌学会会長。世界50か国を訪れ、植物を調査、研究している。著書は『世界の不思議な植物ー厳しい環境で生きる』『世界の不思議な花と果実ーさまざまなしくみと彩り』『世界の葉と根の不思議ー環境に適した進化のかたち』(誠文堂新光社)、『花おりおり』(全5巻)『植物ごよみ』『植物と行事』(朝日新聞社)など多数。

湯浅浩史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エラ・フランシス...
村田 沙耶香
ジェイコブ ソー...
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする